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2004年8月18日 (水)

負け犬の本音

酒井順子著「負け犬の遠吠え」・・ずいぶん話題になりましたね。

いまさらですが、感想を書きます。

これは、そんじょそこらの学者や評論家のご高説なんかぶっ飛ぶほどの国家論だな、と私は思いました。(そんじょそこらの国家論を読んだことがないので適当に表現したまでですが)

要するに(要約しちゃっていいんでしょうか)、「日本にはいいオトコが少ない!なんとかしてくれー」という叫びなのです。いや、著者はそういうことを書くつもりはなかったかもしれない。しかし私はそう受け取りました。
言っとくけど、「いいオトコ」というのは、何もスーパーマンのようなオトコのことを言うのではありません。ごく普通に年相応に成長してる常識的なオトナのオトコであります。
そういうオトコが日本には少ないと言うんですね。

で、著者はそこで終わりなんだけど、私はその先をいきたい。

「日本はいいオトコを育てるための体制を整えなければならない」

どうです、これは立派な国家論ですじゃ。


どーんと余っている「30代独身キャリア女性」の大部分は、結婚したくないわけではないのです。仕事に生きがいを感じブランド品で身を固めゴージャスレストランに通って充実した毎日を送っているようにみえても、実は結婚願望はすごく強い。
正確に言うと、結婚もしたいし、子どもを2・3人持ちたいし、できたら仕事も続けたい、のだと思います。

そんなに多くのことを抱え込むのは大変かもしれない。でもその大変なことは、「いいオトコ」と結婚できさえすればなんとか乗り切れるような気がする・・・・・、あの本は女性のこんな本音を語っているんじゃないでしょうか。
まともな女性は、けっこう情熱も純朴さも備えているものだと思うのです。

それよりなにより、酒井さん文章がうまい。毒の出し加減が絶妙。

30代未婚女性だけでなく、子育てまっさいちゅうの親たちや、若い男性諸君、年配のかたがた(つまりこの国の全オトナ)に是非読んでいただきたい。今からでも是非。
あの本はブームなどではなく、国の根幹に関わる問題を提起しているのです。

「ちょっとちょっとォ〜」って酒井さんは仰るかも知れないけど。

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コメント

「負け犬の遠吠え」私も読みました。

同性にも売れる本というのは自分に対しても「自虐的」かつ
「本音トーク」が入っていますね。遠くは林真理子などもそうですよね。自分の「ブス」や「デブ」を笑いにしながら、
辛らつに女性の本音を見せる。これもまた、女性の一面であり、ロビタさん前述の「渡辺淳一」などが描く女性像とは全くかけ離れていると、比べて読めば分かると思います。

これは女性漫画に描かれる男性と、男性漫画に描かれる女性像とのギャップに相当すると思えます。

さて、話が横にそれましたが、私も少子化には強い危機感を持っています。若い男女が子供を持ちたがらない理由のひとつに「今の生活を変えたくない」というのがあるように私には見えるのですが、いかがでしょう。

つまりは「自分のことにだけ責任を持ち、経済的にもゆとりのある生活」を続けていたい・・インテリといわれる人たちに特にその傾向が強いように感じられてなりません。

子供を持つ持たないの選択における個人の自由は尊重しながらも、社会的生物の一員である責任を果たすために、ある一定の年齢を超えて子供を持たない人には、子育てに充当するほどの・・とまでは言わないにしても、結構「あほらしいなあ・・」と感じるほどの税金を課すという政策はどうでしょうか?

そしてその税金は年金や介護保険やその他、子育て支援の財源にする。

動物の一種でしかない人間なのに、「子孫を残す」という生物がもっとも大切にしてきた本能を「現在の快楽の享受」の楽しさに負けて忘れてしまった・・というのが結局のところの本質だと思います。

投稿: naomi | 2004年8月20日 (金) 13時28分

naomiさん、コメントありがとうございます。

よかったら、アーカイブズで、タイトル「少子化」と「子どもを生むということ」の文章も読んでみてくださいね。私もほぼ同じ意見を書いています。

でも、勇気ありますねー。
  >ある一定の年齢を超えて子供を持たない人には、子育てに充当するほどの・・とまでは言わないにしても、結構「あほらしいなあ・・」と感じるほどの税金を課すという政策はどうでしょうか?
   そしてその税金は年金や介護保険やその他、子育て支援の財源にする。<

あんまり大きい声で言わないほうがいいですよ〜。下手すると、森前総理みたいに袋だたきに合いますから。

ほしくても出来ない人もいるし、ほんとに経済的体力的に子どもを持つことを断念する人もいますしね。

でも、たしかに、
  >つまりは「自分のことにだけ責任を持ち、経済的にもゆとりのある生活」を続けていたい・・インテリといわれる人たちに特にその傾向が強いように感じられてなりません。<

こういう傾向はあると思います。

ただねー、少子化問題は、我々団塊の世代がいなくなればそれほどの問題ではなくなるんですよね。まだ50代だからまだまだ生きると思うけど。しかし、この巨大な塊が消費の大きな動向を握っているわけだし・・・、しかし、もうじき定年を迎えて、年金額も減らされるとなると、消費活動はどうなるのか・・・、書き出すときりがなくなるのでやめときます。


またのお越しを!

投稿: robita | 2004年8月20日 (金) 20時48分

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» “負け犬”か“オニババ”か [ニッポンを生きる!]
『オニババ化する女たち〓女性の身体性を取り戻す〓』(三砂ちづる・光文社新書)と言 naomiさん、コメントありがとうございます。 よかったら、アーカイブズで、タイトル「少子化」と「子どもを生むということ」の文章も読んでみてくださいね。私もほぼ同じ意見を書いています。 でも、勇気ありますねー。   >ある一定の年齢を超えて子供を持たない人には、子育てに充当するほどの・・とまでは言わないにしても、結構「あほらしいなあ・・」と感じるほどの税金を課すという政策はどうでしょうか?    そしてその税金は年金や介護保険やその他、子育て支援の財源にする。< あんまり大きい声で言わないほうがいいですよ〜。下手すると、森前総理みたいに袋だたきに合いますから。 ほしくても出来ない人もいるし、ほんとに経済的体力的に子どもを持つことを断念する人もいますしね。 でも、たしかに、   >つまりは「自分のことにだけ責任を持ち、経済的にもゆとりのある生活」を続けていたい・・インテリといわれる人たちに特にその傾向が強いように感じられてなりません。< こういう傾向はあると思います。 ただねー、少子化問題は、我々団塊の世代がいなくなればそれほどの問題ではなくなるんですよね。まだ50代だからまだまだ生きると思うけど。しかし、この巨大な塊が消費の大きな動向を握っているわけだし・・・、しかし、もうじき定年を迎えて、年金額も減らされるとなると、消費活動はどうなるのか・・・、書き出すときりがなくなるのでやめときます。 またのお越しを! [続きを読む]

受信: 2005年3月12日 (土) 17時12分

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