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2004年11月22日 (月)

神の領域

これも、数年前に書いたものに加筆しました。

人工授精、体外受精、代理母、クローン等、人間が生命を操作することについて、「侵すべからざる領域を侵す」ことに対する倫理的歯止めが必要だ、と言われます。
たしかに自然の摂理というものに反して何か人工的なことをするのは勇気もいるし、慎重にならなければなりません。

でも、果たして人間ってそもそもそんなに倫理的に生まれてくるものでしょうか。

あ、いえ、決して「子どもを作るにはおよそ神聖とは言えない作業をせねばならないではないか」などという浅薄なことを言っているのではございませぬ。

婚姻関係を結んでいない若い者同士、快楽の果てにできちゃったからしようがなくて結婚でもして生むか、とか、誰の子とも知れない赤ん坊をトイレで産み落として生ゴミで捨てちゃうとか、中学生同士が何の気なしにじゃれ合ったって、妊娠してしまうんです。ただ、精子と卵子が出合えば、簡単に一個の人間ってできてしまうんです。
生命の誕生のなんと重みのないことか。
昨今の若いモンの無造作な生命の作り方を見ていると、なんら神聖な手続きなど経ているわけでもないのに、人為的な受精のほうが悪いかのような言い方はおかしい、と思わずにはいられません。

望んでも望んでも自然受精ができない人々が、人為的であれ、努力して子どもを作った場合が、「できちゃった」「失敗しちゃった」という出来かたより悪いと誰が言えるんでしょう。
人が子を成すことにおいては、どう生まれたかより、どう育てるかのほうに大きな意味があるのではないですか。

あるタレントが癌かなんかで妊娠が不可能になり、どうしても子どもがほしい、ということで、アメリカまで行って代理母を依頼して子どもを得た、という話題がありました。
ある女性作家が、このタレント夫婦の選択に否定的で、「人生には、手に入れられなくても我慢しなければならないことがある」と批判していました。
それはその通りだと思います。何でも手に入ると思ったら大間違い。人間は我慢が必要。

でもね、「倫理」とか「聖域」なんて言葉を盾に批判するのは理屈に合わないのではないか、と、私は常々思っておりますが、反論ありやなしや。

幼児虐待や、中学生高校生が赤ん坊を生み捨てたというニュースを聞くたび、ふーん、自然の摂理ねえ、ふーん、神の領域ねえ、なんてややシニカルな気分になります。
倫理倫理とうるさく言うなら、性に対してもっと厳粛になること、そして国を挙げてのそういう教育が必要、ではないのでしょうか。
それをしたくないなら、人為受精人為出産くらい大目に見てあげなさい。

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この記事へのコメント
はじめまして。
あまり神聖でないからこそ種が存続できるのかもしれないですよね。だって分別がつくのを待ってから子供を作ってたら遅すぎるかもしれないでしょ。
”縁側”つながりもあって、こちらのブログ前から見てます。女の人の考え方はだいぶ違うんだなぁとよく思います。これからもいい記事期待しています。
Posted by ちょび爺 at 2004年11月25日 11:23
ちょび爺さん、コメントありがとうございます。
(二重投稿になっているので一つ消しておきます)

 >あまり神聖でないからこそ種が存続できるのかもしれないですよね。だって分別がつくのを待ってから子供を作ってたら遅すぎるかもしれないでしょ。<

中学生がセックスすることないじゃないか、と私は思いますけど。
猿じゃないんですから。

 >女の人の考え方はだいぶ違うんだなぁとよく思います<

私の考え方は女性の中でも少数派かもしれません。

ちょび爺さんのブログこれから読ませていただきますね。

Posted by robita at 2004年11月25日 12:30
私もこの問題は悩みますね。
子供は授かるという受動的なものから産むという能動的なものに変わってしまいました。だから、産むことに関して、産んでから先の事も考えなくてはならない。
だから、分別が付けば付くほど産むという行為に慎重にならざるを得なくなってしまうように思います。
でも、それくらい慎重に考えてから産むのも悪くないと思います。遅くなるという批判は真摯に受け止めますが、産むのに間に合わなければ、養子をもらってもいいのではないかと思います。
Posted by おまーにゃ at 2004年12月05日 12:13
おまーにゃさん、初めまして。
コメントありがとうございます。

子どもを持つにあたっての分別も、早まらず、考えすぎず、ま、ほどほどに、というところでしょうね。
Posted by robita at 2004年12月06日 15

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