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2005年11月24日 (木)

愛は力

今の若者はどこかおかしい、と私たちは言う。

いじめや登校拒否、万引きや覚せい剤などの犯罪はまあ、昔からあったにしても、理由もなく人を殺す、ましてやそれが自分の親となると、まあいったいどうしちゃったんだろう、と驚きあきれる。

そういった現象を抜きにしても、若者のけだるさというものは現在の日本全体に漂っているような気がする。

最も危惧しなければならないことは、よく言われるように、「頑張って勉強して、それでどうなるの」という、答えようのない疑問を彼らが持っていることである。

いや、答えはあるのだ。「そりゃオメェ、良い暮らしができるようになるからに決まってるぢゃァねえか」。

しかし、生まれながらにそれなりの良い暮らしが用意されている彼らには、「さらに良い暮らしが」とつけ加えるぐらいしかないのが情けない。

それぞれの家庭で、それぞれの子どもの育て方があり、潤沢な小遣いを与える家庭もあれば、そこそこ厳しく自律を教える家庭もあろう。

しかし、この国全体が豊かである時、社会の動きに反して清貧を貫いたり、誘惑を拒絶して勤勉であることを子どもに教えるのは容易なことではない。そのポリシーを貫いたがために子どもが心を閉ざしてしまった家族の例を私は現に2.3、知っている。

だいたいが親からして生活に緊張感がなく、我慢というものをしなくなっているのに、子どもにだけそれらを強いることには無理がある。

たしかに、質実剛健、質素倹約、日々鍛錬を心がける家庭もあるだろうし、「頑張る若者」「ガッツのある若者」も存在する。しかし、そうでない家庭や若者のほうが圧倒的に多いのではないか。

もうこれは仕方がないとしか言いようがない。

現行憲法を死守して国際協力もできず、「ひきこもりの国」として自らを貶め、やがては資源や市場からも見放されて貧しい国になるのか、それとも、戦争に巻き込まれてもう一度焼け跡から出発するのか、それとも、貧しさに戻る、という発想から離れて、平和で豊かな日本のままで、何か根本的に日本人の精神を叩き直す方法を模索するのか、それとも、こんなことは杞憂であって、子どもの犯罪も無気力も全体からすれば、ほんの一部なのだから、なにも精神を叩き直すなどとムキにならなくてもいいのである、という意見もあるだろうか。

私自身は今、まあまあ幸せに暮らしているので、早急にどうこうして欲しいという急いた気持ちはないし、どうすればいいのかもわからない。しかし、いつなんどきどうなるかわからないのである。子どもが事故で死ぬかもしれない、通り魔に殺されるかもしれない、全財産をなくすような災難に遭うかもしれない、あるいは戦禍に巻き込まれるかもしれない。

争いや悲しい出来事は人間社会に起こるものとしてとらえるしかない。

世界中に不満がなくなり、戦争がなくなり、みんなが幸せに暮らせる世界が実現したとして、その次に来るものはいったい何だと思われるだろうか。
恒久平和は理想だがあり得ない。

私が最も大切だと思うのは、人のコミュニティの最小単位である家族の信頼関係だ。
これさえしっかりしていれば、戦争が起ころうが、日本が沈没するほどの天変地異が起ころうが、夢や希望や、復活への情熱を失わずに済む、と思う。

家族の愛に育まれた記憶があるからこそ、人は、もう一度やってみよう、と再び立ち上がるのではないか。

愛が土台になければ人は脆い。生まれついて孤独な身の上の子どもも、属するコミュニティで愛を受けることができればそれはとても幸せなことである。

愛によって確立される人の根っこと太い幹は、憲法9条死守のシュプレヒコールでは到底育ち得ない。

戦後の復興期を経て、日本が豊かになる過程で、目標を失った家族はバラバラになり、「あるべき家族像」が崩壊の一途をたどっていると言われる。

「昔の家族に戻れ、といった見当違いのバックラッシュも、過去の記憶を持つ世代が退場すれば、じきに終わる。・・・中略・・・地域社会が崩壊した今、再帰的に自分のホームベースを構築し、そこから世界を把握しなければ、多くの人は自分を保てない。今の日本は、個々人がその居場所を自分で模索しなければならない過渡的な状況だと思う。」と社会学者の宮台真司氏は言う。

なるほど、昔の家族の形態を取り戻そうなどと足掻くのは、愚かな幻想と言われても仕方がないのかもしれない。おそらく人間は進化し、家族に代わる何か別の「巣」を構築するようになるのかもしれない。

しかし、それでも、私は「人の心を強靭にするもの」として、今のところ「家族の愛」以外に何も思いつかないのである。

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コメント

いい記事ですね。

家族愛、地域社会。

僕もこのキーワードを常に考えてました。

(深夜のNewsの真魚さんも、家族の教育を

重点に考えておられるようです。

まあ、ユダヤ人みたいなのですがw)

あと、情報の大切さ。

スパイ防止法も、国家反逆罪もない日本では

外国のスパイは旅券法違反ぐらいでしか捕まえ

られません。(アメリカでは最高死刑です。)

情報は、人にも金にも物にも変換できるので、

僕は、日本からいろんなものがどんどん盗まれ

ていっているのではないか?と考えています。

日本国民が、もうすこし情報の価値に気づけば

「所得倍増計画」

も達成可能なのではないでしょうか?

(ドイツはもう気づき始めています。)

投稿: あるとき | 2005年11月24日 (木) 14時13分

あ・・

ユダヤ人みたいというのは

ユダヤ式教育に似ている

という意味です。

誤解を与えそうな表現をしてすいません。。

投稿: あるとき | 2005年11月24日 (木) 14時20分

>あるときさん、

>情報の大切さ<

国家戦略の詳しいことについては私は何もわかりませんが、日本にもちゃんとした諜報機関を作るべきだという論議がありますね。日本で独自に情報を得て取捨選択すればアメリカに引きずられっぱなしということも少なくなるでしょう。

ユダヤ式教育というのは、家庭を大事にするという教育なんですか?

投稿: robita | 2005年11月25日 (金) 09時57分

robitaさん、

必ずしも家庭が万能ではないのではないでしょうか。子供が10代になると、それはそれでまたたいへんなのではないかと思います。子供もさまざまですから、あまりややこしくない子供もいると思いますが。

投稿: 真魚 | 2005年11月28日 (月) 00時31分

あまりくわしくは知らないのですが、

どうも父親が教育に参加するとか

いうのが軸になっているらしいです。

けど、専門でないのでよくわかりません。。

すいません。。

投稿: あるとき | 2005年12月 2日 (金) 01時56分

>あるときさん、

ちょっと検索してみたら、「ユダヤ式教育」というのは、「優秀な子どもを育てて勝ち組にする」というサバイバル術のようです。
その方法、手順についてはわかりませんが。

投稿: robita | 2005年12月 6日 (火) 10時34分

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» また、専業主婦さんと意見交換(笑) [あるときの屁理屈っぽい独り言]
幸か不幸か専業主婦のページの 愛は力 という記事でコメントをしてみました。 タイ... >あるときさん、 ちょっと検索してみたら、「ユダヤ式教育」というのは、「優秀な子どもを育てて勝ち組にする」というサバイバル術のようです。 その方法、手順についてはわかりませんが。 [続きを読む]

受信: 2005年11月24日 (木) 14時18分

» なぜ、このようなことになったのか その2 [深夜のNews]
 前回の文末で、「洞窟の中にはただ深い暗闇があった、僕はその暗闇の前でたたずむし >あるときさん、 ちょっと検索してみたら、「ユダヤ式教育」というのは、「優秀な子どもを育てて勝ち組にする」というサバイバル術のようです。 その方法、手順についてはわかりませんが。 [続きを読む]

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