軍事力の使い方
護憲改憲の論議でいつも気になるのは、護憲派の「戦争のできる国にしていいのか」という言い方です。
戦争は誰だっていやなのです。人を殺したくないし、殺されたくもありません。
護憲派はあたかも改憲論者が「戦争をやりたがっている」かのごとくの論調で、「平和でなくっちゃ」と言い続けます。
「平和でなくっちゃ」は当たり前のことなのだけれど、護憲派の思い込みは堅固で、どうしても「戦争のできる国」「戦争をしたがる人々」という言い方を改めようとはしません。
私は、「一国が武装し、必要とあらば出兵も辞さない、という体制を整える」、というのは、次のようなことだと考えます。
尖閣諸島での中国の振る舞いはもう誰もが知っていると思いますが、日本がいくら話し合って解決しようと持ちかけてもあちらは聞く耳持たず、日本の資源までもどんどん吸い上げる勢いです。 周辺海域では中国軍艦が数隻うろうろして日本の行動を監視し、海自のp3c哨戒機に、威嚇のつもりなのでしょうが、砲身を向けたこともあったそうです。
こういう場合、日本はどうしたらいいのでしょうか。 何も手を出せずおとなしく中国のやるがままに任せるしかないのでしょうか。
海上自衛隊を出動させたらどうでしょう。
中国軍と一触即発の危機に直面するかもしれません。
こわいですか?
日中がそんな状況になった時、世界はどうするでしょうか。 しろうと考えですが、おそらく、第三国が、まあまあ、と間に入ってくるんじゃないでしょうか。東アジアで戦争が勃発したら世界経済にも大きな影響を与えるでしょうから。
または、水面下で、日本がアメリカのような大国に仲介を打診するかもしれません。 そして、第三国立会いのもと、日本と中国の本格的な話し合いが行われ、双方が少しずつ譲り合い妥協し合って何らかの着地点を見ることになるのではないでしょうか。
軍事力というものは、そういう風に利用されるものではないかと思います。 なぜなら、お互いに、こぶしを突き出すほどに怒りを表さなければ、真剣な話し合いなど行われないからです。 本気だぞ、という態度を見せなければ、向こうも真剣になってはくれないのではないでしょうか。
それに、第三者が入ることや、紛争が国際的に注目されることは、公平性を増すことにもつながると思います。
やられっぱなし、取られっぱなしというのでは、あまりにも日本が可哀想です。
二国間の争いで、一方があまりにも理不尽であれば、国際世論は理のあるほうに味方してくれるのではないでしょうか。
こういうのを、「外交の手練手管」というのではないんですか。
また、例えば、マラッカ海峡なんですが; 国内で消費する石油の75%を中東に依存している日本。その石油を運ぶタンカーが必ず通るマラッカ海峡には海賊が頻繁に出没するそうですね。これに対応すべくアジア地域の警察機構としての集団的自衛体制を確立する必要にも迫られているといいます。
集団的自衛権というとアメリカとの関係だけで論じられることが多いですが、私たち自身のまわりにも協力して防御しなければならない相手はたくさんいます。
日本が一番よく利用しているこのマラッカ海峡の安全保障を「怖いから」とか「戦いたくないから」とか「集団的自衛権が行使できないから」とか言って知らん顔してていいのでしょうか。
どうしても危険なことはしたくない、戦うのはいやだ、キツイ仕事危険な仕事は他の国にやってほしい、というなら、もう勝手になさいませ。 人気blogランキングへ
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コメント
はじめまして、ゆうきと言います。憲法改正の問題について考えていらっしゃるようですが、私も個人および国家を守れるだけの軍事力は必要だと考えています。関連記事をトラックバックさせてもらいました。
投稿: ゆうき | 2005年12月12日 (月) 20時23分
戦争云々ということよりも、そもそも有事であっても、現行の法律では陸上自衛隊さんは道路で移動中に赤信号で停止しなくてはなりません。もー憲法がどうこうのレベルではないですね。根本的なところから考え直す必要があります。
投稿: 真魚 | 2005年12月13日 (火) 01時44分
>ゆうきさん、
はじめまして。
TBとコメントありがとうございました。
ゆうきさんの記事にコメント入れられませんので、ここに書きます。
>論理でわからないのだったら経験させてやればいい<
北朝鮮の拉致やテポドン、中国の横暴などを「経験」して、日本人も目覚めましたよね。
投稿: robita | 2005年12月13日 (火) 10時03分
>真魚さん、
>そもそも有事であっても、現行の法律では陸上自衛隊さんは道路で移動中に赤信号で停止しなくてはなりません。もー憲法がどうこうのレベルではないですね<
え、そうなんですか。緊急車輌扱いにならないんですか。
まるで漫画ですね。
投稿: robita | 2005年12月13日 (火) 10時04分
漫画ですね。漫画みたいなことをやっています。航空機で行けばいいと思うかも知れませんが、そもそも大規模の部隊を輸送できる輸送機を自衛隊は持っていません。例えば、ですね。関東と新潟方面を結ぶ大規模な道路は関越道しかありません。で、もし新潟に某国の軍隊が上陸して来た場合、新潟県民の人々は関越道を通って関東へ逃げてくるでしょう。では、我らが陸上自衛隊さんは、渋滞している関越道をどうやって進めばいいのか。民間の避難民を押しつぶして進めばいいのか。このへん明確になっていません。
つまり、憲法解釈や憲法改正とかで「すわ戦争か」とかわーわー言っているのは、空理空論の観念論をこねくりまわしているんですよ。本当に国防ということを考えるのならば、憲法論議の前にやることは山のようにあるではないかと思います。
投稿: 真魚 | 2005年12月14日 (水) 01時30分
>真魚さん
「改憲」というのは、今のところ、「日本国内での有事」は念頭になく、専ら海外派兵についての是非論を下敷きにしてるんですね。
もちろん、防衛関係諸官庁では一般国民の考えも及ばないような想定で作戦が練られているとは思いますが。プロですからね。
投稿: robita | 2005年12月14日 (水) 10時30分