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2005年12月 7日 (水)

「脳と犯罪」

小さな女の子を狙った残酷な犯罪について、誰もが「何故こんな酷いことができるのか」「理解できない」「悪魔の仕業」と口々に言い、憎しみをあらわにする。

なぜ、彼らはこんなにひどいことを平気でするのか。 残虐な人間だから。 ではなぜ、彼らは残虐性を持っているのか。

かくして我々は、彼らの脳のどこかしらが壊れているのではないか、と推測する。異常な脳を持っているのではないか、と思う。 となれば、そういう脳を生まれつき持たされてしまった、あるいは生育環境によってそうなってしまった人はとても不幸で気の毒というより他はない。 私だってあなただって、脳がそんなふうになっていたら猟奇殺人を犯していたかもしれないのだ。 しかし、このように考えることには問題もある。精神障害を持つ人は「脳のどこか」が異常なので犯罪を犯すかもしれない、という偏見を導きかねないからだ。

そんなことを思っていたら、何と、きのう発売の週刊誌「AERA」に「脳と犯罪」と題する記事があった。

「脳」で有名な養老孟司氏、生物学者の池田清彦氏、作家の吉岡忍氏による鼎談である。

印象的なところを書き出してみると:

【一般的傾向として、「犯罪者の脳は皮質が萎縮し、脳室が大きくなる」とか「扁桃体に異常が見られる」ということがあるらしいが、全部にあてはまるわけではない。】(池田氏)

【衝動的殺人者の前頭葉には機能低下が見られるが、連続殺人者の場合は、その機能低下が見られない」ことから、脳が犯罪に何らかの関与をしていることは間違いない。】(養老氏) 【宮崎勤は医学的には、脳に障害があった可能性が高いと思う。】(養老氏)

【当たり前だが、脳がない人間は行動しない。逆に言えば、行動とは脳そのもののこと。だから、行動異常があるというのは、脳が普通じゃないってことになる。だけど、やっかいなのは、そこに意識とか理性とか意思とかが絡んできて、脳と行動との関係が見えなくなっている。】(養老氏)

【意識も理性も文化や時代に左右されるから。何が普通で、何が異常かの指標自体が一定じゃない。ますますやっかいだ。】(吉岡氏)

【脳の仕組みについての解明はまだまだで、どういう環境とどんな遺伝子が組み合わされば脳の基本的構造はこうなる、と言えるほどわかってはいない。】(池田氏)

こういう話はどこまで書いていいのかわからない。しかし、この座談で言われている程度のことなら書いてもいいのだろう。「これはデリケートな問題でできれば触れたくないテーマだ。」と養老氏は言い、「白か黒かと単純に理解したがる風潮が強い中で、こういう研究をクローズアップすると、精神障害者に対する差別を助長しかねない危険性もある。難しい問題だ。」と池田氏も同調する。

こういう問題を安易に議論の俎上に乗せることは避けたほうが良いとは思うが、「こんな鬼畜のようなヤツは憎んでも憎みきれない」という当たり前の感情とは別に、「脳」が犯罪にどう関わっているのかを解明していく努力も必要なことではあると思う。

いずれにしても、脳の中がどうなっているのかもわからないのに、これが正しい、あれが正しいと主張すること自体、ヘンなのかもしれない。そう、あるときさんの言われるように。また、以前私も記事に書いたように。→「正しいって何」 何が正しいかわからない。だからこそ人間は「法」というものでしばりをかけ、秩序を保とうとするのだろう。

池田氏の意見には納得する。【ぼくの考えでは、精神状態がどうであろうと、「結果責任」だけを問えばいいんだよ。人を殺したら極刑とか、やったことに対してきちんと罰すればいい。】

私も、感情論だけで言わせていただければ、偶然見つけたジャーナリスト勝谷誠彦氏の過激なコメントにちょっと引きながらも、溜飲を下げてしまうのである。

【それにしても仰天すべきは左巻きがまだここに至って「社会のせい」にしていることだ。朝日新聞は次のような落合恵子週刊金曜日編集委員様(笑)のコメントを載せていた。 <「勝ち組」「負け組」と拝金主義がはびこる荒廃した社会の息苦しさが、弱い子どもへの暴力や攻撃を誘発している。野放しの児童ポルノも犯罪の一因だろう>。 あのな。「野放し」にしてきたのはあんたら人権屋が、変態やキ**イを、だろうが。どんなに生活が苦しくても人生が困難でも幼い子供に手をかけることなど考えもしないのが良民常民である。そういう人々までもが「社会のせい」で変態になりうると言う「***的文化人」の傲慢と非礼。他ならぬあんたらがこういう日本にしたんだよ。】

こわいので、あとで削除するかもしれない。

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コメント

はじめまして。
記事を読んで、投稿途中だった記事を書き、TBさせていただきました。

脳の成長や社会が罪を作ることはあるかもしれませんが、理由がどんなであれ罰は受けなければいけません。
結果責任を明確にすることは重要ではないかと思う近頃です。
子どもを叱る時も、なぜしたの?どうして?と優しく諭すことを良しとする風潮ですが、理由がどんなであれ、やってはいけないことはいけないと頭ごなしに叱る事も大切なのではと思うようになりました。

投稿: ぐーたん | 2005年12月 7日 (水) 13時01分

個人と社会のどちらが悪いのかについて、もちろん、犯罪行為の責任は、その個人にあるのは当然です。当然ですが、では、「その個人が悪い、以上、オワリ」で終わって果たして良いのだろうかと思います。

robitaさんが言われていることはよくわかっている上で書くのですが。例えば、ここに座っていると疲れやすい椅子があったとします。人には個人差がありますから、ある人は座っていて全然疲れないのですが、別のある人は疲れるという場合、これは疲れるその人が悪いのであって、その人の責任になってしまうのでしょうか。そもそも、椅子の設計上どうであるのか、ということを問うことは、「疲れるのを椅子のせいにしている」ことになるのでしょうか。

投稿: 真魚 | 2005年12月11日 (日) 08時14分

(続き)
これは、間違いやすい操作手順、見にくい道路標識などについてもそうです。世間一般のみなさんは、その操作をちゃんと行っている、その標識をちゃんと見ている。だから、間違ったアンタが悪いになってしまうのでしょうか。もちろん、悪いのはその人なのでしょうけど。その人「のみ」にすべての原因を見い出し、それで問題は解決するのでしょうか。必要なのは、個人とその置かれている状況や環境の双方を見るバランスではないかと思います。

投稿: 真魚 | 2005年12月11日 (日) 08時15分

>真魚さん、

>必要なのは、個人とその置かれている状況や環境の双方を見るバランスではないかと思います。<

バランスはとても大事だと思います。
でも、世間は「鬼畜」を許しませんし、当然のことながら許してはなりません。
私はよく思うのですが、「これは絶対に許せない。置かれている状況など斟酌する必要はない。抹殺されるべきだ。」とか「やはり、生まれつきの性向や生い立ちを考慮してあげなければいけない」とか、個々の事件により、また、人の感じ方により、判断は本当に違うものですね。

テロリストの無差別大量殺人には「彼らの事情」にシンパシーを寄せる人も、幼児殺人は何が何でも許せない、と思ったりします。

「あまりのむごたらしさ」の違いなのか、それとも他の理由が複雑に絡んでいるからでしょうか。

(続く)

投稿: robita | 2005年12月12日 (月) 14時21分

社会や脳の異常が犯罪を起こす要因であろうがなかろうが、私は私にできることをしようと思います。街中で小さい子に気を配るとか、挙動不審人物の顔や不審車輌のナンバーはなるべ覚えておこうとか。

投稿: robita | 2005年12月12日 (月) 14時22分

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モラルとか、社会通念とか、道徳心とか、会社理念とか… 消え去っているようなニュースばかり流れる。 バブル崩壊後、デフレに突入し、働いている人も専業主婦の人も、必死に働いて、必死に倹約をし、会社や家庭、そして国を建て直した。 やっと経済が上向きになってきて、... 社会や脳の異常が犯罪を起こす要因であろうがなかろうが、私は私にできることをしようと思います。街中で小さい子に気を配るとか、挙動不審人物の顔や不審車輌のナンバーはなるべ覚えておこうとか。 [続きを読む]

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