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2006年4月17日 (月)

慈悲深い独裁者がいい・・・かな?

業田良家の「世直し源さん」という漫画を読んだ。

業田良家は名作「自虐の詩」の作者なので、ご存知のかたも多いだろう。

「世直し源さん」は、素性不明のステテコ姿のおっさんが突如として政界に現れ、国会の承認を得て総理大臣に就任するところから始まる。

ステテコ総理はとんでもない独裁者なのだが、愛国心に満ちあふれ、国民みんなに幸せになってほしいと願うヒューマニストでもある。漫画なので思いっきり荒唐無稽ではあるが、国家や大衆への皮肉っぽい視点が面白い。

ステテコ総理を選んだのも大衆だが、独裁者に反発するのも大衆だ。

15年も前の作品なのだが、小泉首相の出現と大衆の反応を予見していたかのような筋書きに驚く。    
小泉さんが国民を愛しているかはさておいて、要するに、「独裁者でなければ国家運営は効率良く進まない」「大衆は自分のことしか考えないから彼らの言うことなど聞いていては国はおかしくなる」という民主主義のやっかいなところを、業田氏はとてもわかりやすく描く。

前回の衆院選挙、大勢の有権者が投票に行ったために小泉自民党は大量に得票し、おかげでちょっと「?」な議員も誕生した、投票率が上がればいいってものじゃない、愚かな民衆が選ぶ政治は愚かなものになる、などと言われる。(しかし、いつも組織票でがっちり固める党にとっては打撃であり、それはそれで意味のあったことだろう)

宮沢元総理がこんなことを言うのを聞いたことがある。
【中国が外交に関してしたたかで、着々と事をうまく運んでいる、というが、独裁政権ならば迅速に物事が進み、日本のような民主主義の国では、色々な意見が出て議論を重ねるという手順を踏むので、ぼちぼちと進む、というふうにならざるを得ない。わかりきったことです。】

わかりきったことですと。

そうだね。政府が弱腰だとかやることが遅いとか、あまり責めるのも、それは結局、民主主義を自ら否定していることにほかならないのだね。

日曜日のTBS「サンデーモーニング」で、こんなことを言っていた。
【世界各地で大規模なデモが起こり、民衆は蜂起している。
 フランスのデモは法律制定をストップさせるほどの大きな力を見せつけた。
 ひるがえって日本の民衆の何とおとなしいことよ。】

日本人はおおむね従順だ。
しかし、それはやはり何だかんだ言っても政府を信頼しているからではないか。

福沢諭吉は「民は権力に対する抵抗精神を持たねばならない」と言ったそうだが、あの時代と違い、民主主義、個人主義を民衆が手にした今の世の中では、「お上に対する抵抗」を徒党を組んでことさら声高に叫ぶ必要も感じない、ということではないか。

私など、私たちが選んで出来た政府なんだから、そんなおかしなことをするはずがない、と思ってしまう。

国庫の利権絡みの無駄遣いは別にして、国民がなんだかんだ文句をぶつける様々な政策は、国の偉い人たちが「日本のため」を思ってやっているに違いないのだから、と思ってしまう。

これを「羊体質」とでも言うのだろうか。

フランスのデモが勝ち取った「法律廃案」は、国のためにあれで良かったのだろうか。

たぶん、フランス人は、自分たちが起こした行動がもたらす結果には、きちんと責任を取る国民にちがいない。

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