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2006年7月25日 (火)

禁止事項を課す

子育てに関しての「政策」というものが、それぞれの家庭にあると思う。
それはいわゆる「躾け」とか「道徳」、のような抽象的なものだけではない。

虫歯予防のためチョコレートとあんこは食べさせない、とか、味覚がおかしくなるといけないので、カップ麺だとかハンバーガーなどのファストフードは食べさせない、とか、考える力をなくすのでテレビは親の許すもの以外見せない、とか、これらは私が子育て中に実際に見聞きした家庭の方針である。

小さい頃住んでいた神戸の家の近くに駄菓子屋があって、私たち兄妹や近所の子どもはよくそこで1円単位の駄菓子、今から考えるとぞっとするような添加物が入っていたであろう得体の知れない駄菓子を買って食べたものだ。
近所にちょっと上流の家があって、そこの同年齢の娘たちとはよく遊んだが、彼女たちはその駄菓子屋には決して行かなかった。山猿のような自由な遊び方をなすがままにさせていた他の親たちと違って、その家庭はきっちりとしたポリシーを持って子供を育てていたのだろう。

しかし、チョコレートやカップ麺やハンバーガーを味わうことのできなかった子供時代、くだらないテレビ番組にバカ笑いすることもなかった子供時代、そういう子供時代は果たして子供にとって幸せなのだろうか。
小銭を持って駄菓子屋の中をうろちょろした子供時代は、たとえ悪いものが多少体の中に入ったとしても、それを上回る楽しい思い出を蓄積することができたのではないか。

昔読んだSF作家レイ・ブラッドベリの短編にこんな文章があって印象に残っている。
「・・・そうやって、水遊びをしなかった川や食べなかったお菓子が心の中にたまっていって、大人になった時、そういうものがたまらなく懐かしくなってくるんだ。」
正確ではないが、こんな文章だった。

それぞれの家庭で、子供に課す禁止事項というのはあると思うし、締めなきゃいけないことはきっちり締めなきゃいけないとも思う。親はひたすら「将来のお前のためだ」と思ってやっているのだから。
でも、生活全体を通して息苦しさだけを感じるのでは子供も辛かろう。
「遊び」「逃げ」の部分や「抜け道」を見て見ぬふりをする大人の度量がなければ、子供時代ならではの面白味を経験することなく人は大人になってしまう。

たいていの親はこういうことはわかっていて、適当に手綱を緩めたりしているわけであるが、今の世の中、手綱を緩めるにもひどく気を遣う。適当にヒョイヒョイなどといかないのが現実なんである。
昔も今も子育てには悩みがつきものだ。(それを上回る楽しみもあるけどね)

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