慶祝
秋篠宮家に親王さまご誕生。まことに喜ばしいことです。心からお祝い申し上げます。
赤ちゃんの誕生とはかくも人の心を明るくするものでしょうか。
ましてそれが皇室の男子ともなると、日本中が慶びに包まれます。
花火は上がるわ、祝賀の垂れ幕は翻るわ、号外は乱れ飛ぶわ、かっぽれ社中の皆さまは踊り出すわ、わーい、祭りだ祭りだ。なんとお目出たいことでしょう。
日本人、皇室がほんとうに好きなのだなあ、とつくづく思います。
皇室典範改正問題も、一応はホッと一息といったところでしょうか。
しかし、皇室の安定的な存続のためには、男系女系の議論は続けていかなければならないようです。
昨日、ラジオ番組で聴取者参加のコーナーがあったのですが、その中でこういう意見を言う人がいました。
「やはり、伝統の男系でつなげていただきたい。医学の進歩により男女産み分けは容易で、男系を保つことは可能だ」
大胆な意見に、スタジオでは「倫理的に問題が・・」という声も上がりました。
私は以前こういう記事を書きました。→「神の領域」
自然にまかせることは良いことだし、自然に反することはよくないことが多いと思います。
でも、人間社会はすでに自然に反することだらけで成り立っています。
生命操作、遺伝子操作だけは特別だ、踏み込んではならない、と言いながら、すでにその領域に踏み込むことで恩恵を受けて幸福になっている人はたくさんいます。
皇統はなぜ男系でならなければならないのか、そのわけを納得いくように説明できる人はいないのではないでしょうか。(私個人は、DNAの問題を抜きにすれば、女性天皇の配偶者を得るのは困難を極めるだろうという懸念は非常に強くあります。)
「2千年以上続いた日本国の伝統だ、とか、世界のどこを探しても万世一系の王族などない、その血筋が尊いのだ」などと力説されても、「珍しいから尊いのか、伝統が変わったって国民の幸福に関係あるのか」などという疑問も当然出てきます。
しかし、私はこう思います。
「女系のどこがいけないのだ、おかしいじゃないか」と言うなら、「それなら、天皇制自体がおかしいじゃないか」と思いませんか。
皇族のかたがたは同じ人間でありながら、自由がなく、監視され珍しがられ、人格者であることを期待され、決まった人生しか歩めない、人としての普通の権利がありません。皇室を支える費用もバカにならない。
この民主主義の世の中で、おかしいじゃありませんか。
しかし、そのおかしなことを、大切にしたい、と人間は思うんですね。
そんなことはこの世の中いっぱいあります。それが人間社会というものだと思います。
男系の伝統に固執することは、合理的に考えればおかしなことかもしれませんが、伝統を守り、綱渡りの皇統維持に一喜一憂することもまた、日本人の日本人たる所以かもしれません。
天皇制の作り出した数々の文化、皇室の醸し出す品格と貴い空気、親王内親王のご誕生や成長ぶりに日本中が湧く。皇室はまさに国民の求心力としての役割を担っているという他ありません。
皇室のない日本、想像ができません。
たぶん、なくなってみればその珠玉の輝きに初めて私たちは気付くのかもしれません。
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コメント
robitaさん、
>>皇室のない日本、想像ができません
ゴネルわけではありませんが(いや、ゴネてる)(笑)
江戸時代の長屋の八さんと熊さんは、京都に天子様というものがいることは知らなかったと思います(大家さんは知っていたかもしれませんけど)。今の天皇制は「明治政府が作ったもの」であって、日本の古い時代からあった姿ではありません。
>>皇統はなぜ男系でならなければならないのか、
これについては以前書いたことがあります。
http://night-news.moe-nifty.com/blog/2005/04/post.html
http://night-news.moe-nifty.com/blog/2005/04/post_1.html
天皇は祭司の役割を持っています。女性である場合、宮中儀式ができないものがあるんです。(まあーこの宮中儀式も江戸時代にできたものですけど)
投稿: 真魚 | 2006年9月 8日 (金) 01時04分
>真魚さん、
どんどんゴネてくださいねえ(笑)
真魚さんゴネてもぜんぜん嫌味じゃないので(あのさ、いわゆる左翼みたいじゃないので)
>江戸時代の長屋の八さんと熊さんは、京都に天子様というものがいることは知らなかったと思います<
実は私も知らなかったんですよ(笑)
子供の頃や若い頃ってそんなものにほとんど関心なかったですね。
今だって、なにか皇室に慶事や問題が起こらないかぎり、無関心です。
多くの日本人も、何かアイドルのようなものが欲しい気持ちがあって、普段は無関心でも、何かあるとあのようにお祭り騒ぎをしたくなるのだろうと思います。
でも、この「アイドル」、実は国民統合に大変重要なものではないだろうか、と私は思っているのです。
(天皇制反対の人々にとっては、そんなもの統合の象徴にされては困る、というところでしょうが)
yahoo掲示板やってた頃に、kakuさんが、『「日本の好きなところ。世界の国々に比べてここは自慢できるぞ」というものを挙げてみませんか』という提案をなさって、色々な人が、あれもこれもと書き込みました。
その「日本の良いところ。特徴的なところ」というのはすごくたくさんありまして、結果をまとめてくださったkakuさんによると、実はそのほとんどが、天皇制に由来する、ということでした。
真魚さんのお書きになった記事、もう一年半も前になるんですねえ、覚えていますよ。
天皇制を大切に、というのは、本来それが「善である」とか「正しいから」とか「合理的である」という理由からではもちろんなく、日本の歴史、文化を大切にしたいのであれば、それを否定することなど到底できない、ということだと思うんです。
宮中には我々の計り知れないいろいろなことがどろどろと巻き起こっていたのでしょう。そういう場所でもあるということです。
また、時代によって形も変わり、国家体制に利用されたり、いろいろなことがあったでしょう。
でも、平成の今、天皇家は多くの日本人にとって「模範」であり「平和の象徴」であり「癒し」ともなっているのは誰も否定できないのではないでしょうか。
今朝のワイドショーで、天皇皇后両陛下が背中を丸めて手をつないでいる後ろ姿の写真が紹介され、キャスターが「この写真は朝刊各紙に掲載されています」と言っていました。(うちでとっている朝日新聞には載ってなかったですけれども)
これがまた泣けてくるような良い写真でした。
私たち日本人は、千年以上かけて醸成されてきたこの国の文化に無意識に浸っているわけですけれども、その土台とか背骨が表面的に見えにくいだけに、「そんなものなくたって」と思いがちですよね。
舶来品と信じて「どうです。やっぱり外国のものはいいですよねえ」なんて悦に入ってる人が、「それ、日本の製品ですよ」なんて指摘されるのにちょっと似てるかな。
投稿: robita | 2006年9月 8日 (金) 10時14分
>天皇制を大切に、というのは、本来それが「善である」とか「正しいから」とか「合理的である」という理由からではもちろんなく、日本の歴史、文化を大切にしたいのであれば、それを否定することなど到底できない、ということだと思うんです。
しかしその歴史と文化が雅子妃を病気にしているとなると深刻です。伝統も日本人の良さも、人が健康でこそ活きてくるもの。一体、皇室の何が悪いのでしょう?
昨今は愛国ブームなので、こうしたコメントを見るとネトウヨの嫌がらせでも受けるかな??
投稿: 舎 亜歴 | 2006年9月10日 (日) 01時03分
>舎さん、
男の子が生まれないのは雅子さまのせいではないのに一人プレッシャーを感じていらっしゃるのはほんとうにお気の毒だと思います。
必死で支える皇太子さまにも心から同情申し上げます。
週刊誌などで「雅子様のわがまま」などとよく報じられているようですが、こういった意地の悪い小姑根性、なんとかならないものでしょうか。
私は昨年2月「天皇制について語ってみる」という記事で( http://robita-48.cocolog-nifty.com/blog/2005/02/post_0b45.html )、「私はいずれ天皇制は終わりがくると思っていますし、世界中の王室もまたそういう運命にあると思っています。不条理そのものだからです。」と書いています。
この綱渡りの皇位継承は時を経る毎に難しくなってきています。
でも、この日本の成り立ちそのものである天皇制を維持する努力は最後の最後まで怠ってはならないのではないかと思います。
無理が生じてきているから、と簡単に女系に変更したり、天皇制を廃止したりするのはもう少し待って、現在のところ新宮様がお生まれになって少し時間的余裕ができたのだから、数年かけて熟考していけば良いと思います。「女系天皇」と「女性天皇」の違いの認識も行き渡っていないようですし、世間一般で言われる「男女平等」というような単純な問題でもないようです。
なにより、この特殊で困難な立場、役割を担おうと自ら決意している家系が存在するという事実を我々は重大に受け止めたほうがいいのではないかと思います。
投稿: robita | 2006年9月11日 (月) 07時44分