うわついた社会
今日本中が教育問題に関心を持っている。そのように見える。
いじめ自殺などの事件や高校の必修科目未履修問題、教師の不祥事など、良からぬ出来事が続発してこその現象だ。
でも、「教育をなんとかしなければ」という気運が盛り上がっている今がやはり、教育改革の好機なのだと思う。
昨日テレビ朝日「サンデープロジェクト」で教育問題を取り上げていた。政治経済問題が中心のこの番組では珍しいことではないかと思う。
教育再生会議の義家弘介さん、海老名香葉子さん、民間から中学校長に起用された藤原和博さんたちが意見を述べた。
海老名さんが、「親がしっかり育てないからです」とか「昔は近所のおじさんおばさんが注意してくれた」だとか、「原因」を力説していた。
この人はよくこういうことを言うが、そんな当たり前のことを言うために会議のメンバーになったのだろうか、と思う。
たしかにそれは事実である。家族関係と子供の人格形成は因果関係がある。
しかし、それをいくら言ったところで何の解決にもならないのである。
家族の愛、近所のおじさんおばさんの優しい言葉、そういうのが大事、そんなことをいくら力説しても、それでは、はい、そうしましょう、と言って、思いやりにあふれた家族が増えるのか、近所に優しいおじさんやおばさんがたくさん出現して癒しの言葉をかけてくれるのか。
そんな意見は具体的な対策でもなんでもない。単なる「こうなったらいいなあ」という願望に過ぎないし、精神論でしかない。
願望や精神論に過ぎないものを何遍繰り返そうが、実働はしないのである。
民間から公立中学の校長に起用された藤原さんが、実際に地域住民と学校との協力を図る具体的な対策の実施状況を報告していた。
子供たちにいじめ問題について討論させる授業にも取り組んでいる、との藤原さんの報告を受け、義家さんが言う:
義家:「先生の学校は恵まれていますよねえ。例えば今問題になっている学級崩壊などが起こっている学校で、そんなことさせようとしたってみんなしませんから。討論以前の問題です。」
藤原:「ええ、ですから、生活指導はかなり厳しくやっています。靴のかかとを踏むなだとか、シャツはきちんとズボンの中に入れろとか、本来は家庭でお母さんたちが躾けるべきことをですね・・・」
ああもう、先生たちのご苦労はいかばかりかと同情申し上げるが、いずれにしても、民間校長の起用だとか、地域住民を学校に巻き込むとかの対策は、国の規制緩和の流れによって義務教育を取り巻くさまざまな環境の変化がもたらしたものなのだろう。
着実に、あちこちで動きは起こっていると思う。
さて、子供たちがおかしくなったのは、社会が悪い、とよく言われる。
それはたしかなことなのであるが、ではこの、社会とはいったいなんだろうか。
人はよく、政治家があんなことする、公務員がこんなことする、と公人の不祥事を持ち出して、あれらの大人がいけない、あんなのを見てるから子供が悪くなる、などと言う。
でも、そういう偉い人ばかりが悪いのだろうか。
今の日本の大人が全体的に「うわついて」いる、と私は思う。親がうわついている、と思う。
夫や妻以外と恋したい、子育てより自己実現、孫の世話より自分探し、そしてそれを容認する社会。例えばそんなことだ。
これらを指して、うわついている、と表現するのは酷なのだろうか。(酷だろう。恋はともかく、自己実現や自分探しは人として当然の権利なのだ)
しかし、こんなことをいくらブログで言ってみたところで、何の解決にもならない。
だって、そういう人たちは教育問題を真剣に考えたこともない、新聞も読まない、ネットの議論も読まない、ただ、マスコミの尻馬に乗って「政治家がああだから、教師がああだから、大人がああだから、子供がおかしくなる」などと言っているだけなのである。その「大人」に自分自身は含まれていない。
子供は一番身近な大人に最も強く影響を受けるものではないのか。
うわついた親の元に生まれた子供は気の毒だ。
結局、うわついていない親の元に生まれた子供だけがちゃんとした躾けを受け、ちゃんとした人間に育っていく。それだけのことかもしれない。
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コメント
こんにちは^^
すごく胸の染みるというか、共感した話でした。
今、汚職とか談合とか、はたまた復党問題とか、あと、公務員のモラルだったり、学校教師の不祥事などなど、もうどうしようもないなあという事件が多い。
かといって、いじめが社会がどうのとか、政治が悪いとか、言うのも、しっくりしない。
なんだろうなあとおもったのですが、子どもは親の鏡というように、子ども社会は親社会の鏡なのではないかと、そう思いました。
以前、記事に書いたのですが、電車で老人に大人が席を譲らないのに、子どもが譲るはずはない。それが、今の社会なのだなあと。
大人が浮ついている。正にそうなのでしょうね。
>結局、うわついていない親の元に生まれた子供だけがちゃんとした躾けを受け、ちゃんとした人間に育っていく。それだけのことかもしれない。
私もそう思うのですが、ちゃんとしたものが、ちゃんとしてないものから迷惑を受ける。
こうしたことを、どう考えていけば良いのかと、思っています。
投稿: ぐーたん | 2006年12月 4日 (月) 13時34分
ああ、そういうことだったのだなぁ、、、と思いました。
私は、実は「なんで、今時の子どもの名前は芸能人ぽくなってしまうのか?」を考えていたのです。
芸能人ぽい、ではなく「漫画の主人公ぽい」のかももしれませんけど。
「翼」ってなんじゃ?お前はサッカー選手か?
昔は、どんな馬鹿親でも「飛雄馬」とつけるやつは居なかった(笑)
女の子の名前なんか、本名だか源氏名だかわからない(苦笑)。あれなら、すぐにも本名でキャバレーに勤められそうじゃないかと。手間が省けていいんでしょうかね(イヤミ)
で、わかりました。
「親がうわついているから」そうなんだ、とね。
単純明快。そのとおりだなぁ。「世の中が悪い」のでも「政治家が悪い」のでもないですねぇ。
といって、どうしろとも言えませんけどね。。。なんだか、ガックリくる話ではあります。
投稿: single40 | 2006年12月 4日 (月) 14時46分
>ぐーたんさん、
>ちゃんとしたものが、ちゃんとしてないものから迷惑を受ける。
こうしたことを、どう考えていけば良いのかと、思っています。<
そうですねえ。これが問題だからみんな教育問題に熱心になるんでしょうねえ。
でも基本はぐーたんさんがご自分のブログで書いていらっしゃる「自分が幸せになるためにどうしたらいいかを考える」 http://blog.goo.ne.jp/ale-cole/e/25ca3ac4a08c250d0fb3cc657e00263d なんですよね。そうするとやっぱり「自分だけ幸せ」はだめなんだろうなあ・・って。
投稿: robita | 2006年12月 5日 (火) 10時09分
>single40さん、
あいかわらずsingle40さんの着眼点は面白いです。
親のうわつき加減は、結局そういうところに象徴的に表れているのかもしれませんね。
でも、平和で豊かになれば誰だってうわつきますよね。人間って悲しい生き物なのですね。
投稿: robita | 2006年12月 5日 (火) 10時10分
海老名香葉子さんは、見た感じや話し方からして、
討論できない人だろうと高をくくって見ていたが、
言いにくいことをはっきり言っていたのでびっくりした。
正確に書かないといけないのでしょうが、
記録してないので、私の記憶だけで書くと、
「自殺する事がいけないということを教えない親が悪い」
ということです。
こういう論点で話す人は少ない、
恐らく放送終了後からバッシングが相次いでいるのではないかと思う。
「被害者の親の気持ちを考えているのか!」
「いじめる側を擁護する発言だ!」
等等、想像するに易しい。
内容はそれぞれ意見があるでしょうが、
はっきりと発言される姿に好印象を受けました。
投稿: りょう | 2006年12月 6日 (水) 18時25分
りょうさん、はじめまして。
>「自殺する事がいけないということを教えない親が悪い」<
そうですね、彼女はっきり言いましたね。
>恐らく放送終了後からバッシングが相次いでいるのではないかと思う。<
私もそう思いました。
でもね、「自殺することがいけない」と教えていたとしても、死にたいほど辛い目に合えば、親の教えに反して自殺してしまうでしょう?
親がそれを教えなかったことが悪いのでなくて、「死んだりしたら大好きな家族が悲しむ。大好きな家族にもう会えなくなる」と子供が思えないような状況に置かれていることが問題なのだと思うのですよ。
こんなこと言うと、海老名さんよりもっとバッシング受けちゃいますね。
だけど、家族の事情もいじめの度合いもさまざまですから、愛情をたっぷり受けていた子供でも死にたくなるほどのひどいいじめが横行している、と判断するしかないのでしょうね。
投稿: robita | 2006年12月 7日 (木) 10時50分
はじめまして。「幸か不幸か専業主婦」仲間で、
やはり、「いじめ問題」が気になる私です
「学級崩壊」で、辿ってきたら、ここに着きました
サンデープロジェクトは見逃しましたが…
確かに、娘のクラスで授業の邪魔をして居る子は
この前まで、小学生なのに、髪を染めて
靴のかかとを踏んでいましたね…
小学生の男の子が自分で髪の毛を染めるわけも
無いので…
>うわついた親の元に生まれた子供
って事になるのでしょうね…
先生は、親まで指導しなくてはいけない
社会なのでしょうか?
投稿: ぷりむら | 2006年12月11日 (月) 13時46分
>ぷりむらさん、
はじめまして。
複数のブログを持っていらっしゃるんですね。英語の日記も!
小学生のお子さんをお持ちで、ブログのタイトルも教育関連が多いですね。
ざっと読ませていただきましたが、丁寧に子育てをしていらっしゃる様子が伝わってきます。
>先生は、親まで指導しなくてはいけない
社会なのでしょうか?<
学校の荒れは日本だけじゃないようで、イギリスでは、子供をちゃんと指導できない親に対する罰則規定があるそうですよ。今朝のテレビでチラッと耳にしたんですけど。厳しい~。
今後ともどうぞよろしく。
投稿: robita | 2006年12月12日 (火) 10時34分