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2007年7月13日 (金)

「しょうがない」

北朝鮮に拉致された5人のかたがたが帰国された時、「日本にいてつまらないサラリーマンになってありきたりの人生を送るより有意義だったのではないか」というような発言をして、激しいバッシングを受けた女性作家がいた。
被害を受けた方々やその家族の長年にわたる苦しみは想像を絶するものであり、第三者が言うべき言葉ではない。

昨日、テレビ朝日のワイドショーで、ジャーナリスト鳥越俊太郎が拉致被害者蓮池薫さんをインタビューしていたのを見た。

蓮池さんは「朝鮮語は好きで覚えた言語ではなく、生き残るためにやむなく身につけたものではあるが、今、その言語は生活を維持するための手段となっている。自分はこういう運命を受け入れる」と言っていた。

それはもちろん、「拉致を今さら恨んでも仕方がない。もう済んだことだからあきらめて忘れよう」という意味ではない。不幸な出来事を容認する、という意味ではない。

理不尽な出来事が自分たちに降りかかった事実や意味を問い続けつつ、そのことがもたらした自分たちの立場や使命を見据えること、そして当然のことながら、個としての自分たちの幸せのためにどう生きたらいいかを合理的に判断し、現実的に使えるものは使って実行していくということだろう。強固な精神がもたらす柔軟さと潔さに感銘を受ける。
拉致されたことについても「すべてのことには意味がある」という、ある種宗教的達観のようなものを持つことで心の整理をしておられるのではないかと思う。

日本中から非難の声を浴びた久間前防衛大臣の「しょうがない」という言葉にも私は実は同じニュアンスを感じていた。

「しょうがない」は、「原爆を落とすより他に方法はなかった」「落とさなければ戦争は終わらなかった」という意味で使ったのではないだろう。そうでなければアメリカの原爆投下を容認する意味となり、久間さんはまさに「ひとでなし」ということになる。しかし私は「ひとでなし」などという人間はそうそういるものではない、と思っているので、久間さんもそんな悪魔のような人だとは思わない。

長崎出身の久間さんに、被害を受けた家族とか知人がいるのかどうか知らないが、どちらにしても部外者としてではなく、被害国の国民として言ってしまった言葉であろうと私は思う。実際に被害を受けたかたがたのことを考えれば公けに言うべき言葉ではもちろんなかったが、蓮池さんが「拉致を容認する」と言ったのではないと同様、久間さんも「原爆投下を容認する」と言ったのではないに違いない。

どうだろうか。こういう考え方は「無理な弁護」であり、やはり私も「原爆を容認するのか!」と非難されてしまうだろうか。

     
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コメント

ロビタさんの言われていること、なんとなく、わかります。
「すべてのことには意味がある」に共通する考えかもしれませんが、
「どんなことでも、宇宙では最善のことが起きている」
という言葉をどなたかのブログで拝見しました。

ビッグバーンから始まって、地球ができて、人類が生まれて・・・という大きな宇宙の流れの中で、
私たちに与えられた時間を、私たちがどういう気持ちを感じながら生きていくか。。。
それは、私たち一人一人の選択なのではないかと感じています。

自分自身、振り返るきっかけになりました。
ありがとうございます。

投稿: アンナ | 2007年7月25日 (水) 10時14分

>アンナさん、

はじめまして、でよろしかったでしょうか?
記憶力の減退いちじるしく、ご無礼あったらお許しください。
私はものすごく失言の多い人間なので、失言で責められている人を見ると我がことのように苦しく、つい良いように解釈してしまいます。

>「どんなことでも、宇宙では最善のことが起きている」<

「われわれの想像するどんな形態の生き物も宇宙に存在する」という理論もあるそうですよ。関係ないかな。
人間たまに哲学すると肩の力抜けますね。
ところでアンナさんは独身ですか?あ、不躾な失言でしたね。すみません。

これからもどうかよろしくお願いします。

投稿: robita | 2007年7月25日 (水) 16時34分

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