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2007年8月12日 (日)

うんこ

『いきなりで恐縮、これは「うんこ」の話である』とkakuさんがうんこの神秘を語る。→ http://kaku.cocolog-nifty.com/mybooks/2007/04/post_b864.html

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私もひとつ、うんこの話を書いてみよう。

ただいま19歳の末っ子のオムツが取れて以来、久しく他者のうんこには無縁だった私だが、介護中の母を通して、再びうんこに触れるようになった。
一日600ccの流動食でも、結構大量に出るものである。便通すこぶる良好で一日2回から3回出る。時には4回出る。
めでたいことである。
「便秘のほうがずっとやっかいですからね」と訪問看護の看護師さんも喜んでくださる。

私自身も、25年ほど前に3ヶ月ほど寝たきりの状態になったことがあるが、寝たままで用を足すというのは至難の技だ。
寝たままでしてくださいという看護婦さんの言葉を無視して起き上がってポータブル便器にまたがってしていた。
しかし、母は便秘になることもなく、たまに一日出ない日があっても翌日にはちゃんと出してくれる。ありがたい。

母のうんこはとてもわかりやすい。
固形物のないさらさらの流動食のみのせいか、形状、匂い共にいつも同じ状態で現れる。

まずトイレットペーパーで何回かぬぐってから、湿らせた布の端切れを3.4枚使ってきれいにふき取る。
少しゆるくて広範囲に汚れてしまった場合は、シャワーボトル(口に穴のあいたプラスティック容器)を使って洗い流す。
乾いた布でふき、新しいオムツをあてる。

実に簡単でどうということのない作業ではあるが、最初の頃は、人の体の意外な重さに驚いた。
元々痩せ型の母の体の重量をあなどっていたが、半身傾けてこれらの作業をするのに思いのほか力がいることを知った。
こんな細い人でさえこうだから、体重のある人の介護にはさぞかし力が必要だろうと思う。

オムツ交換の時だけでなく、寝間着の着替えや、体位の転換、すぐ体が下方にずれるので上に引き上げる、など、結構力を要する。

しかし、良い経験をさせてもらっている。
第一、介護保険制度の手厚いこと。
週一回の訪問看護でのベテラン看護師さんの丁寧なアドバイス、二週に一回の医師の往診、入浴サービス、そして、週一回のリハビリも先日始まった。歩けるようにはならないけれど、体が固まってしまうとオムツ交換もできなくなるとのこと。
そして電動ベッドや痰の吸引機のレンタル。
これらのサービスが一割負担で受けられる。
私がずっと家にいる人間なので、ヘルパーさんは頼んでいない。
外に仕事を持っている妹と基本的に二人態勢で、比較的余裕をもってこなしている。
母には申し訳ない言い方だが、「寝ていてくれる」ので、おぼつかないながらも歩くことのできた以前よりのんびりできるのだ。

介護保険がなかった時代にはこんなのんびりしたことは言っていられなかっただろう。
つくづく有難い。

おお、そうであった、話をうんこに戻す。

昔、「暗い光年」(B.W.オールディス)というSF小説を読んだ。

恒星間航行が可能となった遠い未来、太陽系外宇宙に進出した人類はある種族と出会う。
高度な文明を持つにもかかわらず、彼らはなによりも排泄物との接近の度合いを文明の尺度と考え、泥と糞尿にまみれることに最高の喜びを感じていた。
地球人が、排泄物や汚泥などの汚物を最も汚いものとしてそれをできるだけ遠くに追いやることが文明の証であるとしているのに対して、である。

この小説は当たり前とされている「人類の価値観」についてちょっと立ち止まって考えてみるというSFの常道をいっていたのだろうが、物語の運びが退屈であったからか、それとも他に興味をひかれることができたからか、今となっては思い出せないが、終わりまで読んでいないと思う。

今回、kakuさんの記事を読んでこの小説を思い出し、久しぶりに本棚から引っ張り出してパラパラめくってみた。
昔の印刷の細かい文字にはさすがにひるむが、物語の最後のほうにこんな女性の言葉があり、育児や介護の視点から、うーんと唸らされた。

「あなたがた男って、みな同じね!____略____それから、糞尿に対するこの恐れのことよ__わたしたちが捕らえたあの哀れで不運な生物たちにとっては、自分たちのの老廃物は肥沃さのしるしであり、糞をするときには、自分たちが廃棄した鉱物性の塩を土に戻す儀式をやっていることがわからないの?いったい、どうしてそんなに嫌悪するのかしら?さまざまな神様を考え出して、それに人間の生けにえを捧げた地球の宗教と、どちらがぞっとさせるかしら?人間の文明の厄介な点は、それが汚いものや毒や排泄物に対する恐怖に基礎をおいているということよ。あなたがたは排泄物は悪いと思っているけれども、悪いのは排泄物に対する恐怖なんだわ!」

「糞尿への恐怖がない」、地球ではこれを母性と呼ぶのかもしれない。

      

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