民意
安倍首相に対する風当たりが強い。
「民意がわかってない」「党内の空気も読めない」「人事能力がない」「責任をとらない」「リーダーの資質にそもそも欠ける」等々、散々だ。
野党からも与党からも国民からも洪水のように批判の言葉が溢れ出している。
朝日新聞の世論調査によると、自民が大敗した大きな理由は:
・年金の問題(44%)
・大臣の不祥事(38%)
・格差の問題(12%)
だそうだ。
安倍さんとしては、「私が辞任して他の誰かがやってもたちどころに年金や格差の問題が解決するわけではない」「ようやく本丸に攻略を仕掛けるところまできたのだから、これを続行する努力をするのが私の責任だ」というつもりなのだろうし、そう考えてもいいと思う。
しかし、政界というのはそういうところではないらしい。
多少の不祥事があっても一生懸命政治を行おうという意志さえあれば周りが協力してくれる、というものでもないらしい。
まさに、失点をみつけては足をすくう、総理の座から引き摺り下ろす、そのために虎視眈々と機を窺い、野党どころか与党内でさえもそういう権力闘争が常に勃発しうる場所、それが政界なのだろう。
私は首相は「かばいきれない」とは思わない。確かにあの惨敗の原因は、さまざまな問題に対する安倍さんのまずい対応であり、政治家としての経験不足やリーダーとしての資質も関係あると思うが、政策の失敗ではない。
しかし、「民意」は「もう安倍さんじゃ嫌だ」に傾いているし、安倍さんはその空気が読めない、とみんな口々に言う。
参院政審会長の舛添さんなどは、テレビに出ずっぱりで首相批判をしているようだが、「こうなった以上総理を支えるしかない」と言いながら、あのように厳しい言葉で党の総裁をこきおろすというのはどういうことだろうか。もし本当に自民党や総理を守る気があるのなら、心でどんなに苦々しく思っていても公の場所であのように自分たちのリーダーをボロクソに言うということは控えると思うのだが。
自民党が壊滅してもかまわないという腹なのであれば不思議はない。
しかし、冷静に考えて、自民党が壊れるのはかまわないとしても、民主党が政権をとってもそんなに政治がうまくいくとも思えない。
ついこの間まで、国民もマスコミも、民主党のぶざまさを嘲笑っていたではないか。
国民はもうこんな首相じゃ嫌だと思っている、その民意を汲む、というのは民主主義では正しいことかもしれないが、今のように「空気」で民意があっちへ行ったりこっちへ行ったり、それにつれて政治家が右往左往することは果たして良いことなのかどうなのか。・・・仕方のないことだけれど。
どうしても政界再編は必要だと私は思うので、自民党も民主党も早く分裂すりゃあいいと思っているが、今がその時なのだろうか。景気のほうは大丈夫だろうか。
まあしかし、どんなことになろうと、それは「民意」の結果なのだから。
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コメント
自民党が責任を取らねばならないと考えているのであれば、一人の代表者である安倍首相の退陣を言うのではなく「下野」するのが筋だと考えています。
但し今回の選挙は首相指名権のない参議院の選挙であり、有権者もそれを認識して投票を行っているはずだとの「筋」で考えるならば、当然それには及びません。
自民党内の正式な手続きで選ばれた「総裁」であり、衆議院の正式な手続きで選ばれた「内閣総理大臣」でもあります。
その時に仮に他の人を押したとしても、当人が続ける意志を示してる以上、苦境に立ったら支えるのが当然であり、自民党内で雑音が聞こえるのは見苦しいと感じています。
もし責任論を展開するのであれば、自らは関係なかったかの如くスケープゴートを作り出すのではなく、「下野」の議論が展開されて叱るべきではないのでしょうか?
(私はそれを望みませんが....。)
投稿: 山本大成 | 2007年8月 4日 (土) 16時10分
>山本大成さん、
>自民党が責任を取らねばならないと考えているのであれば、一人の代表者である安倍首相の退陣を言うのではなく「下野」するのが筋だと考えています。<
なるほど。大統領制ではないのだからひとり安倍さんの責任ではなく、自民党自体の問題というわけですね。
>当人が続ける意志を示してる以上、苦境に立ったら支えるのが当然であり、自民党内で雑音が聞こえるのは見苦しいと感じています。<
同感です。
でも、見苦しい光景を見せてくれるというのも、私たちにとってはいろいろなことがわかっていいのかもしれないなあ、とも思いますけど。
やっぱり、政界再編ですね。政治の混乱停滞で景気が後退しようとも(よくわかりませんがそうなんですよね?)、私たちはもうしばらくそれに耐えないといけないのでしょう。
投稿: robita | 2007年8月 5日 (日) 09時11分
robitaさん、はじめまして。
興味深く拝見させていただきました。
先日izaの記事で
「自分が一票を入れた政治家があんなことをして申し訳ない」と泣く有権者を見たことがない。これでは民主主義は遠い
という意味合いのものを見まして(曖昧ですみません)
自分も考えさせられました。
政治とカネの問題が争点の一つと言われた選挙で、民主党のばら撒きに群がった国民。自分の財布のことしか考えない国民の代表である政治家がカネに執着するのは至極当然なるほどと感心しました。
政界再編で保守とリベラルに分かれるのでしょうか。
保守が現状を打開するにはそれしかないと思いますが。
今後の更新も楽しみにしています。
私も「火の鳥」でロビタのお話が一番好きです。おまけに専業主婦です。子どもはまだ幼稚園です。
嬉しかったので書き込ませていただきました。
投稿: bmtjn | 2007年8月20日 (月) 09時24分
>bmtjnさん、
はじめまして。
>「自分が一票を入れた政治家があんなことをして申し訳ない」と泣く有権者を見たことが
ない。これでは民主主義は遠い<
うーん、なるほど。
>政治とカネの問題が争点の一つと言われた選挙で、民主党のばら撒きに群がった国民。自分の財布のことしか考えない国民の代表である政治家がカネに執着するのは至極当然なるほどと感心しました。<
たしかに、「『自分』の得になる政治家」を選ぶのが選挙なのだろうとは思いますが、それならば、「国家のために働かない」と言って政治家を批判するのはお門違いということになりますよね。
民主主義とは難しいものですね。
>政界再編で保守とリベラルに分かれるのでしょうか。<
何かの番組で見たのですが、分かれるとしたら「官僚依存」か「国民から選ばれた政治家主導」かだ、というようなことを言っていたように思います。
官僚に任せて「政」「官」の良い関係を保つのが「保守」で、政治家自らが法律立案の具体的な作業をやるのが「リベラル」ということなのでしょうか。よくわかりません。
いずれにしても国民が賢くならなければ良い政権はできないわけで。
おこがましくも、手塚治虫大先生のキャラクターを名乗ってしまい、恐縮しながら使わせていただいてます。
「火の鳥」、今の時代にも色褪せない名作ですね。
これからもよろしくお願いします。
投稿: robita | 2007年8月20日 (月) 10時50分