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2007年10月17日 (水)

鞍馬天狗

週刊新潮に載せられた書評 《大佛次郎「角兵衛獅子」(鞍馬天狗傑作選①)》

   「永遠の生命持つ少年小説」(文芸評論家、縄田一男)

【 永遠の生命を持つ作品というものがある。大佛次郎の代表作の一つである本書などその好例といえよう。
  巻末に付された大佛次郎研究の第一人者・福島行一の解説によれば、“少年のための鞍馬天狗”と銘打たれた『角兵衛獅子』が「少年倶楽部」に連載されたのは、昭和二~三年にかけてのこと。_____中略____
  本書や吉川英治『神州天馬侠』等、往時、時代小説の名匠たちは、心をこめて児童向けの作品を書いていた。これらの作品は近年では評価・研究も進んでいるが、かつて、純文学に対して大衆文学が蔑視の対象にされたように、いわゆる、お行儀の良い児童文学に対して大衆児童文学、もしくは少年小説として切り捨てられて来た。だが、今日、両者を較べると、前者が大人の価値観を子供に押しつけた作品が多いのに対し、後者は、手に汗握る子供の娯楽作品として成立している一方で、苦難を乗り越えるための勇気と、正しい行いをして来た者は必ず報われる、すなわち、正義は勝つ、というメッセージを子供たちに送り続けて来た。
  このあたり、鞍馬天狗が時には、勤皇佐幕といったイデオロギーを越えた“剣の自由人”として悪を懲らすところに如実に示されていよう。
  確かに、悪は滅びて正義は勝つ-----という理想は、子供たちが大人になった時、幻想でしかなかったと悟ることかもしれない。が、まだ心がまっさらな子供の時に、たとえ、現実はどうであろうと、どちらが正しいことなのか、どちらを追い求めるべきか、ということを頭に植えつけられるか否かで、その後の人格形成に大きな影響があるのではないか、と私は考える。
  子供たちよ、小学校から道徳をなくして英語を教えるなどとほざく、阿呆どもの政策など、生きていく上で何ごとのプラスになろうか。真に人生を生き抜くための勇気が欲しかったら、『角兵衛獅子』を読みたまえ-----。永遠の生命を持つ、この少年小説の名作を------。】


共感する。

以前こんな記事を書いた。→「志」を育てる  

今の子供たちだって、本を読む子は読んでいるだろうし、漫画や映画で正義や友情を学ぶことはあると思う。感動もすると思う。

でも、それらにはずいぶんと「大人のひねり」が加わっているような気もするのである。

子供にはまず、本当にプリミティブなものを与えるべきではないのだろうか。

東大合格のノウハウを描いた漫画「ドラゴン桜」にこういう描写がある。 ( 参照 → http://robita-48.cocolog-nifty.com/blog/2005/05/post_e1c3.html


<芥山(国語教師)>:  矢島君の言うように常識はアテになりませんが、常識に否定的なだけでは思考が発展しません。

<矢島勇介(男子生徒)>:  え・・・

<芥山>:  むしろ、若い人ほど常識を肯定的に捉えてそこから学ぶべきです。

<水野直美(女子生徒)>:  どうして?

<芥山>:  なぜなら将来非常識な人間になるためです。

<水野>:  非常識?

<芥山>:  誤解しないように。無秩序で反道徳的な人間になれということではありません。

<水野>:  それはそうだと思うけど。

<芥山>:  いいですか? 独創的発想、斬新なアイデア、これらは世間の常識を裏切って生まれてくる。逆説的ですが、非常識を作り出すための前提として、まず常識を知り尽くさなければならないのです。

<水野>:  非常識のために常識を知る・・・

<芥山>:  常識を打ち破るために、常識を持たなくてはなりません。
         ですから若い時には常識的見地に立って物を考える訓練を積んでください。国語はそのための格好の教材です。 


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大人の世界と子供の世界の間に境界線がなく、いっしょくたになっている今の時代、こういったことを期待するのは無理があるかもしれないが、せめて学校だけでもこの常識を取り戻したらどうだろうか。

 

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