ブルー
就職活動において「内定ブルー」という現象があるそうです。
内定をもらったのに、「これでいいのだろうか」「まだもっと自分に合った会社があるんじゃないか」と不安になって、就職活動を続け、いくつもの内定をもらい、それでもなお「まだまだ」と満足しない心理状態に陥るのだとか。
結婚でも同様のことが起こっているみたいです。 →「独身を続ける男性 不幸な結婚への恐怖」
この調査はオーストラリアのものですが、日本でも同様のことはあるんじゃないでしょうか。
「自分にとって最良でなければ選択しない」
一生寄り添うべき相手であり、子供を成して家庭を築かなければならない、となると、慎重になるのも当然だと思います。
さらに、愛し合って結婚したのに次々と離婚していく先輩たちを見るにつけ、不安に駆られるのも致し方のないことです。
お見合いで誰もがそれなりの人とそれなりの結婚をしてそれなりの人生を送っていた時代とはちがいますから、今の結婚難は起こるべくして起こっている事態であり、誰にも止めることはできません。
結婚と違って就職の場合はもっと気楽に考えてもいいでしょうに、内定ブルーだなんて、心配性の若者が増えているのでしょうかねえ。
うちの子供たちも、選び後悔し選ばず後悔し(たぶん)、つまづいてあがいてもがいて(たぶん)、それでも毎日生きてます。
選ぶことも選ばないことも、勘違いも失敗も挫折も、全ての経験に意味があると私は思うのですけどねえ。
金融不安が全世界を覆い、えらいことになっているというのですが、まわりを見回しても、街中を人々が右往左往してあわてふためいている様子もなく、テレビでは相変わらずノンキにお笑いやってるし、スーパーへ行けばモノがあふれていて、誰も飢え死にしていません。
たしかに「家計を工夫して節約しなきゃ」と言ってる人たちと、明日さえ知れぬ危機的事情を抱えている人たちとのギャップはあると思いますが、戦時中の話など親の世代から直接聞いている者としては、母がよく言っていた言葉を思い出します。「戦時中のことを思ったら、どんなことでも我慢できる」
もっと下をみれば耐える余地はある、というのは単純な励ましではありますが、この単純な励ましをあまり人は口にしなくなりました。
戦争の悲惨さを忘れてはならない、二度と過ちを犯してはならない、と人々は言葉を尽くして語り継ぐことに熱心ですが、「あれほどのことを経験し、乗り越えた日本人だ、これぐらいのこと耐えられなくてどうする」という発想はどうも鬱陶しがられるようです。
選ぶ会社を間違えたとしても、命までとられるわけじゃなし。
こういう時代は「頑張ろう!」とむやみに奮起して歯を食いしばるより、やんわり受け止めて機を待つ、流れに身を任せてみる、あるいは発想の転換をする、というのも一つの手じゃないでしょうか。 中島みゆきの「時代」でも聴きながら。
あの「就職氷河期」の辛酸を舐めた若者たちを思えば、もう少し気楽になれるんじゃないかなあと思うんですけどねえ。
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コメント
ううむ、お説には忸怩たるものを感じます(苦笑)
「失敗をおそれすぎる」というご指摘は、かなり鋭いと思われます。といっても、私にとっては、すでに時遅しと思われるのが無念ですなあ(泣)
「あやまちを繰り返すな」を金科玉条にすると「何もしないのが一番安全」という結論になりかねません。
むしろ「人間は、過ちも愚行もする権利がある」という考え方(権利、というとおかしな感じがしますけど)も悪くない、と思ったりします。
最近では「絶対他力」の本願に心惹かれたりするものですから(笑)
私も今時の若いモンに「俺のようになってはいかん、転んでもいいから頑張れ」と言ったりします。
そういう「自分のことは棚に上げて」も、結構悪くない、なんて思ったりするんですなあ。
投稿: single40 | 2008年11月 2日 (日) 22時36分
★single40さん、
私の人生も忸怩たるもので成り立っているものですから、この年になって、積もり積もった忸怩を吐き出したくてたまらないのです。
>「あやまちを繰り返すな」を金科玉条にすると「何もしないのが一番安全」という結論になりかねません。<
仰る通り。
>私にとっては、すでに時遅しと思われるのが無念ですなあ(泣)<
>私も今時の若いモンに「俺のようになってはいかん、転んでもいいから頑張れ」と言ったりします。<
いやいや、single40さんなんか、まだまだ充分お若い。
もちろん中身でなく、単なる「年齢」の話ですが。
>「絶対他力」の本願<
他力本願というのは、真の意味を知って、キリスト教(プロテスタント)に似ているなあ、と思いました。
投稿: robita | 2008年11月 3日 (月) 13時35分
きっと、マスコミが取り上げるものがないから、言葉を作って報道し、視聴者が「ああ、世間ではそうなのか」と受け止める。
豊かになって、成熟するのが遅くなったことから、22歳超で一斉に社会に出るにあたって、その葛藤を吐露してしまう。
もっと五月雨式に社会に出なくてはならなかった時代は、矛盾も不合理も、抱え込んでいたと、そして展望を見出したり、失望したり、そんなものだったのではないでしょうか。
そんな言葉で、そういうものなんだという捉えかたをすることで、免罪符を得たような思いになるのでしょうか。
豊かで、未成熟な社会で生まれた言葉ですね。
投稿: 街中の案山子 | 2008年11月 6日 (木) 10時21分
★街中の案山子さん、
ずっと前、あるジャーナリストが言ってたんですが、現代社会で起こるさまざまな問題について、「豊かになった、このことが全ての原因じゃないか」と。
豊かになるために努力してきたのに、いざ豊かになると、そのことが原因となっていろんな問題が噴出してきます。
で、格差の世の中、貧しい人が上に這い上がろうと頑張るかといえば、それも政治が間違っているからできにくい、という。
中流以上の生活をしている人でも、心にいろいろな問題を抱えたりする。
豊かになる、っていったい何なんでしょうね。
豊かで且つ年相応に成熟するためには、やはり「挑戦」「挫折」「復活」を繰り返すこと、これしかないんでしょうかね。
投稿: robita | 2008年11月 6日 (木) 13時25分
「格差の世の中、貧しい人が上に這い上がろうと頑張るかといえば、それも政治が間違っているからできにくい」
↑
そう思いますか。
ケニア人のお父さんには物心ついてから会ったのは1度だけ。お母さんは別の外国人と再婚。祖父母の育てられたオバマさんが世界中の話題になっている今、諸外国に比べて、日本は恵まれているように思うのですが。
投稿: 街中の案山子 | 2008年11月 6日 (木) 21時44分
★街中の案山子さん、
>そう思いますか<
私はそうは思わないんですけど、みんながそう言うし・・・。
「諸外国に比べて、日本は恵まれている」なんて言おうものなら、噛み付いてくる人だって少なくないし・・・。
投稿: robita | 2008年11月 7日 (金) 10時08分