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2008年12月12日 (金)

「仕事はなくなるもの」

好景気と不景気は順繰りにやってくるものだ、と理解はしていても、自分自身が不景気の影響をもろに受けてしまうと、それはとてつもなく理不尽なことであり、うまくすり抜けた人々との格差を感じるにつけ、自分の不幸を呪い、たまりにたまった不満は社会や政治への憎悪となって噴き出す。

先日、朝のワイドショーで、司会のみのもんたが、アシスタントの女性に「みのさん、就職活動に苦労している人たちに対して何かアドバイスはありますか」と聞かれ、カメラに向かい「今ね、汚くてきつくてみんなが嫌がる仕事ならいくらでもあります。こういう時こそ、そういう場所で汗を流してごらんなさい」と言った。

この言葉に抗議は来たのだろうか。それとも、視聴者は頷いたのだろうか。

みのもんたのギャラは高額らしい。家業のほうでも稼いでいるらしい。きっととてつもないお金持ちなんだろう。
しかし、彼の報酬はその労働に見合うものだという印象がある。
いったいいつ寝ているのだろうと思うくらい、テレビに出ているし、政治番組の司会者としてもかなりの勉強をしていると思う。
身を粉にして働いていると、私には見える。

皆が皆、みのもんたのようにエネルギッシュに働けるわけではない、生まれつき能力の劣る人だってたくさんいる、ただ真面目に働いて人並みの生活を送りたいだけの純朴な若者たちが可哀想ではないか、政治は何をしているのだ、と情け深い人たちは怒る。

この世に「生存競争」というものがあってはいけないのだろうか。

いや、もちろん、それはあっても、弱者がどんどん死んでいくような社会は人間社会ではないとは思うのだが、それでは、「弱者」とはいったいどういう人たちを指すのだろうか。能力がない、努力しようにもできない、そういう人たちのことを指すのなら、好景気の後にやってくる不況の時、この人たちが困らないように備えを万全にしておくことが求められるのだろうか。

「困らないように」とはなんなのだろうか。

昔の話だが、知人の会社が倒産した。特に才能もなく平凡なサラリーマンだったが、妻と幼い子供たちを抱えた彼は、なりふり構わず、大学卒にしては随分と格下の仕事に就き、必死に働いて妻子を養った。彼の義父(妻の父)は、「情けない、大学まで出ていながら」と世間体を気にしたが、私は「男気があるじゃないか」と思った。
家族は乗り切った。
生き抜くとはこういうことなのではないかと思った。

ノンフィクション作家の久田恵氏もずいぶん苦労したようだ。産経新聞コラム≪家族がいてもいなくても≫で「仕事はなくなるものだ」と題して「こんな時代は、知恵を絞って、社会のすき間を埋めるみたいな仕事を自力で創出していくしかないように思う」と書いている。
人間は「困ること」によって知恵を働かせるようになるし、強さも身につける、という昔からの教訓の見本みたいだ。 →http://www.sankei.co.jp/yuyulife/family/200812/fmy081212002.htm

みのもんたや久田恵がいくらアドバイスをしようと、弱者は弱者。才覚もなければ勇気も運もない。そういう人たちがどんな状況でも困らないようにするのが政治の仕事だと言われてしまえば、それもそうだとは思うのだが。

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コメント

農村では高齢化が進み、農作業をする人がいない。
都市部では、仕事がないと言う人がたくさんいる。
企業は自分のためにといって人を辞めさせている。
消費者は、収入が減っているので物が売れない。

阿部さんが言っていた「美しい国」のイメージは沸きませんが、
今の日本が「美しくない国」であろうことはなんとなくわかります。

投稿: さじった | 2008年12月12日 (金) 23時18分

 TVを見ていて、内定取り消しだの派遣社員の契約解除だのニュースがここの所マスコミを賑わしていますが、雇用する側の状況を多少なりとも考えた報道が全くなく、違和感を感じることの多い昨今です。
 私の会社は9月に生産休止の発表・従業員の解雇を行い、現在整理業務を進めています。
 うちも今年四月の新入社員の入社時には、内定取り消しをしようか?行けるところまで行ってみるか随分悩んだのですけれど...。
(続けられる見込みも多少はありました。但し、結果として新入社員に対してはその時点で内定取り消しをしてあげた方が、ハローワークではなく学校の進路指導の恩恵を受けることも出来、本人のためだったと今では考えています。)
 契約社員や派遣社員がいた場合には、社員の雇用を守ることの方が遙かに優先ですので、当然の事ながら切っていました。

 その辺りのことは伝えて頭では理解しているはずの妻と話していても、給与やボーナスを貰う側と払わねばならない側の溝の深さを感じる昨今です。
 整理に目処がついたら、私も死にものぐるいで働かねば!

PS.
 この局面で企業経営は、生存競争。
 大手企業も含めて大多数の事例では自らが生き延びるために手を打っているのであって、自助努力なしで救済など話にも何もなりません...。

投稿: 山本大成 | 2008年12月13日 (土) 11時55分

ぶっちゃげた話、今の話は、限られた雇用の場をいかに守るかという話であって、既得権益を獲得している正規社員を守るために、派遣や新卒をカットしようというわけで。しかし、それで雇用の場はずっと安泰なのかというと、そうでもなくて、さらに雇用の場が減るところもあって、その正規社員ですらカットしましょうという話になっているんです。で、そうなった人々をどうするのか、国がなんとかすべきである、つまりは消費税上げてもいいから社会保障を上げろという話になっています。
で、まあ、なんといいますか、ここで大量雇用をまかなう新しい産業がどおーんと生まれれば、こんな話はなくなるんですよ。問題なのは、なにゆえ、その「新しい産業」が今、この国で生まれてこないのか、なんです。まあ、いろいろ理由はあるんですが。

投稿: 真魚 | 2008年12月14日 (日) 12時49分

★さじったさん、

みのもんたは「(大きい会社ばかり志向するんじゃなくて)中小企業の社長さんと一緒に苦労してみたらどうですか」というようなことを言っていたのですが、仰るように農業も人手不足ですよね。まあ、倒産しない中小企業にうまく就職できるかとか、今の農業の実態では就農も困難だし、そういうことについては政治が早く動いてほしいです。

>今の日本が「美しくない国」であろうことはなんとなくわかります<

これは大丈夫。
いつの時代も「日本人の堕落」は憂慮されてましたし、「政治が悪い」と言われてました。少なくとも私が高校生の頃から。(それ以前からそうだったでしょうが、私自身、社会の動きに対する自覚がなかったので知りません)
ものつくりの経済と金融資本主義の違いはあるのでしょうが、人間はいつも「行き過ぎ」と「反省」の繰り返しをしてるものだと思います。

投稿: robita | 2008年12月14日 (日) 14時08分

★大成さん、

ご苦労お察しします。
解雇する側もされる側もお互いに苦しいということを理解して、どちらか一方に同情が集まるような偏った報道にならないようにしてほしいですね。

>整理に目処がついたら、私も死にものぐるいで働かねば!<

あまり働きすぎるとお体に障ります。こういう時こそ家族の団結ですね。
山に登る人はねばり強いと聞きます。
健康に留意なさりつつ、どうか頑張ってください。

投稿: robita | 2008年12月14日 (日) 14時09分

★真魚さん、

>ここで大量雇用をまかなう新しい産業がどおーんと生まれれば、こんな話はなくなるんですよ<

今朝、「サンデープロジェクト」見ながら、私が「働く場があればいいんでしょ。無駄な公共事業じゃなくて、国民のためになる公共事業だってあるんでしょ」というと、「その通り」と主人が言いました。
先日、竹中平蔵さんが「将来やるべきことを先取りする。例えば、羽田空港の拡張は決まっているが、それを、今やる。滑走路を増やして、24時間空港にする」と言っていました。そんなアイデアはいくらでもあるんじゃないですか。
サンプロに出ていた亀井静香さんが「理屈はいい。行動なんだ」と言っていました。それがわかってるなら亀井さんを首相にしたいくらいです。

投稿: robita | 2008年12月14日 (日) 14時12分

~人間はいつも「行き過ぎ」と「反省」の繰り返しをしてるものだと思います。~

そうかもしれませんね。
納得です。
でも、私含めですが、今の状態に満足できないでいるのは確かなのに、
どっちむきに良いかわからないでいる人が多くないですか?

明治維新とか、混乱しているので何とかしたいという思いは一緒だったと思うのです。
が、そこから先の「一歩」を見つけることができたのだと思います。

「次の一歩」見つかるかなぁ。

投稿: さじった | 2008年12月15日 (月) 18時20分

★さじったさん、

失敗と反省の繰り返し、ではあるのですが、今の状態は、大きなスパンで見るときっと長引くし、回復(回復と言っていいのかどうか)にも恐ろしく長い時間が必要だろうなあと思います。
後世から振り返ると、たぶん非常に大きな歴史の転換点になっているんじゃないでしょうか。
グローバリズムの次にやってくるのは、SF的ですが、宇宙からの何らかの情報ではないかと思います(別に宇宙人来襲のことを言っているのではありませんが)。
ま、一国としての対策は、政治家に頑張ってもらうしかないでしょうね。
私としては、定額給付金の分は上乗せして、生き死にの問題にに直面している人たちへの手当てにしてもらいたい、とりあえずはそう思っています。

投稿: robita | 2008年12月17日 (水) 09時02分

“無料求人誌”は雇用創出する社会インフラ
◆求人誌を支えてきたのは派遣業界
ここ数年、派遣業界を支えてきた「無料求人誌」が、そしてその「ラック(棚)」消えています。この度の雇用崩壊で、最もその影響が顕著に現れているのが求人誌です。とくに無料求人誌は、主な鉄道駅やコンビニから街中から、場所によってはそのラックごとすべて消えつつあります。求人が減少するのは雇用崩壊の勢で仕方がない話ですが、こうした現象は、求人誌がいかに派遣業界に支えられ発展成長してきたかという証です。
◆求人誌は「社会インフラ」の一つ
◆今こそ問われる「求人誌の真価」
 求人業界はこれまで景気上昇と共に発展成長してきましたが、少し業績が悪化したことを事由に、業界が構築したこの「社会インフラ」を崩壊させてしまう責任をどのようにするつもりでしょうか。果たして、それは一企業にとって都合が良い時だけの一時的な社会インフラだったのでしょうか。世界同時不況の直撃を受けた今こそ、雇用創出のために「無料求人誌」の真価が、そして会社存在のあり方が問われるべきです。
詳細は下記ブログを参照下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年5月16日 (土) 15時15分

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