わくわく
日曜日の朝7時、フジテレビ「ボクらの時代」というトーク番組を見ている。
昨日は、俳優江口洋介、大沢たかお、映画監督の紀里谷和明の3氏だった。
紀里谷和明氏が言ったことが興味深かった。
「今は、映画を作ることが楽しく、そのことで頭がいっぱいで、物欲がなくなった。
以前はスーツを誂えにロンドンまで出かけたものだが、今は服飾などにまったく関心がない」
梅田望夫「ウェブ進化論」にも、地球上に完璧なネットワークシステムを構築することで人類の幸せを夢見る、モノに執着しない若者たちが描かれる。
身を飾ったり、大きい家に住んだり、おいしいものを食べたり、そんなミクロな贅沢とは比べ物にならないくらい身も心も躍るようなとてつもなく楽しいことが見つかったのだから、ということなのだろうか。
ついに人類はこの域に到達したと見るべきなのか。
そしてそれは果たして人類にとって幸福なのか不幸なのかさえわからない。
物欲がなくなるのが良いことか悪いことかはともかく、若者が没頭するほど好きなことを持つのは良いことだ。
同日、テレビ朝日「サンデープロジェクト」に経済評論家の勝間和代さんが出演。
仕事も子育ても趣味も効率的にこなすまったく無駄のない自身の生き方を紹介した。
みんなが「ほうーッ」と感心する中、最後にサブキャスターの女性アナウンサーが質問。
「そのように頑張って、勝間さんの行き着く先のゴールとはいったいどのようなことですか」
勝間さんの答えは明快だ。
「私の母国語は日本語です。ですから日本に住み続けたい。その日本を住みやすくするためにはどうしたらいいかを考えたいのです。未来を考えることは楽しい」
将来に希望が持てない若者たちが増えている一方で、「未来を考えることは楽しい」と、物欲にとらわれずワクワク感を抱く若い世代がいる。
ワクワクできるのは、もともと充たされているからということもあるだろう。
しかし、そういう元気な若者が、元気でない若者を引っ張り挙げるような元気な社会を作ろうとワクワクしながら仕事をしている。
紀里谷さんも勝間さんも41歳、シリコンバレーで中心となって働く若者たちもきっと同じ世代ではないか。
若い世代の、未来を見つめるそういう姿を見せられると、年配者もワクワクしてくる。
未来を考えることは楽しい。
それは豊かな時代の老人の特権でもある。
若者たちが何をしようとしているのか、それを見ながらワクワク感を味わうだけで、病気になりにくいような気がしてくる。
若い世代の躍動は老人にとっても元気の素なのだ。
老人にとって、次世代への場の明け渡しと投資は、自分の物欲を充たすことと同じくらい大事だ。
記事に賛同してくださったら →人気ブログランキングへ
| 固定リンク

コメント
そう、世の中捨てたものじゃないでしょう。若い世代の能力がある人たちが、お金で物を揃えたりして満足すること以外を目指すようになってきている。
そんな方向性が、ポツンポツンと声を上げ出してきていることが、いいなー、と思います。
そして、若い人だけじゃない、しっかりした人は、かつてもいた、そして私たち世代にもいる、とも。
robitaさんもご存知だと思うのですが、ずっと先輩世代として、経団連会長をしていらっした、あの土光さん。いつもメザシが食卓に上る質素な食事を常としていらっしゃったと。一流の経済人であって、浮かれた生活を決してしていなかった、彼の質素さを時々思い浮かべます。
しっかりとした生き方を堅持している方たちは、いつの世にもいるのだけれど、マスコミが何をいかに取り上げるか、で、結構世間は物欲崇拝の波に巻き込まれてしまうのかも知れませんね。
投稿: 街中の案山子 | 2009年4月27日 (月) 12時05分
★街中の案山子さん、
いつの世も、物欲にとらわれない堅実な人のほうがずっと多いと私も思ってるのですが、物欲があってこそモノが売れるんでしょうから、そういう無欲な人々だらけでもまた困るんですよね。
また、自分には物欲がない、と思っている人でも、こういう便利な社会にどっぷり浸かっていると、モノの豊かさのおかげでこういう生活ができるんだということを忘れてしまいがちです。
物欲のために働くのでなく、ただそのことが楽しいからやるんだ、という人々の出現も、既に充分に豊かさを享受した先進国ならではの現象であり特権だと思います。
その特権の行使が、結果的に恵まれない階層への経済波及効果となるんでしょうね。
今の世の中を右翼も左翼も「危機的だ」と悲観論をぶち上げますが、(今朝の産経新聞でも佐伯啓思先生が文明の危機だと仰ってます → 「日の蔭りの中で」 )、そうでもないんじゃないでしょうか。
小さな失敗はいくつも犯すけど、文明の大きな流れとしては人間は何も間違っちゃいないと私は思ってるんですけどね。
投稿: robita | 2009年4月28日 (火) 10時09分
昨今ものが売れなくて困っている。消費の低迷が経済の停滞を招いている。という流れですね。
節約は美徳、では無く、消費してお金を回しましょう、という呼びかけがなされています。例えば車を作っている会社は、買ってもらわなくては始まりませんものね。
豊かに育った人たちの中に、「アレコレ揃えて、人並みに」という発想に縛られないひとが出てきたということでしょう。
ドラッガーさんの本、読み終えました。
投資のウェートが高まり、多国籍企業の先のグローバル化。
アメリカには見られないけれど、ヨーロッパにも官僚主義のメリット。日本の官僚主義は階層社会の趣をもたず、能力で採用しているから、評価していますね。
昨今の投資銀行の悪業績、GMの失墜をみると、経済って、先が読めないものだと思うと同時に、彼が生きていると、いかに分析したか、興味がわきます。
世界の経済の発展の歴史を俯瞰して書かれているので、良い本に出合えたと思っています。よそさんのブログに長々と書いてゴメン。
投稿: 街中の案山子 | 2009年4月29日 (水) 11時14分
★街中の案山子さん、
>日本の官僚主義は階層社会の趣をもたず、能力で採用しているから、評価していますね。<
「官僚は天下りを繰り返し、多額の退職金を手にする。自分たちの権益を守るためならどんなことでもする。政治家を思うままに操る。官僚は悪い」と、日本人は皆思っているように見えます。
でも、「私利私欲のない誠実な人のほうがずっと多い。日本の官僚は優秀だ」とも言われます。
一人ひとりは良くても組織が疲弊している、ということならやはり官僚組織や国のあり方の改革はしなければならないんでしょうね。多くの無駄を放置するのは国民のためになりませんから。
「そのためにこのことからまず始める」と具体的な案を出す候補者に、次の選挙で一票を入れたいと思います。
ピーター・ドラッカーって名前を聞いたことがあるくらいなんですけど、面白そうですね。著作を読んでみたいなと思います。
活字を読む時間は、雑誌や新聞で使ってしまって、なかなか大家の著作までに手がまわりません。
>よそさんのブログに長々と書いてゴメン。<
いえいえ、こういうのがあるから興味の幅が広がるんです。
投稿: robita | 2009年5月 1日 (金) 13時11分
その後、あのイギリスのチャーチルも推奨したという、ドラッカーの「経済人の終り」を読み始めたのですが、読みにくい!これがスラスラ読めたらいいのに・・・。翻訳が硬すぎるのかしら。「ネクスト・ソサェティー」と同じ訳者なのに…。1939年29歳の時に発行された本だそうです。ドイツでナチスが台頭してきた時代に、全体主義、ファシズムへ傾いていくことを警鐘している内容なのです。
手元にあるのは1994年版ですが、69年版もあり、その時々の出版時のドラッカーの序文も付いています。長く読み継がれている名著だそうですが、白状します、歯が立たない!
rovitaさん、そういう世界的に評された本らしいので、読まないくせにお勧めします。「ネクスト…」の方は、出会えて得した気分になれた本です。
投稿: 街中の案山子 | 2009年5月 7日 (木) 07時21分
★街中の案山子さん、
先日、「ネクストソサエティ」を本屋さんでパラパラめくってみたんですよ。
「日本の官僚制度は悪くない。天下りなど、どこの国もやっていることで、やっていないのはアメリカと他の2.3の国ぐらいだ」なんて書いた箇所がありました。
国の重要な仕事を担ってくれている官僚の皆さんが報われるために天下り先を作らなくてはならないということなら、報われるにはどうしたらいいかを考えるべきですよね。
>ドラッカーの「経済人の終り」を読み始めたのですが、読みにくい!<
あー、私、読みにくいのはもうダメ。それで「経済人の終わり」で検索してみました。→ こちら
「経済至上主義で人間は幸せになれるのか?」という、いつの世も人間が考え込むテーマのようですね。中身も読まずに名著を安易にまとめてしまうのはいけませんが、読みにくいのはやはり敬遠してしまいます。
人間社会は同じことを繰り返しているのでしょうから、長く生きればそのサイクルを三つも四つも経験している人もいるでしょう。
ドラッカーは100年近く生きたそうですから、俯瞰ができたということでしょうね。老人は誰でも俯瞰の能力があるとは限らないし、若くても達観する人もいるでしょうが。
投稿: robita | 2009年5月 7日 (木) 10時30分
なぜヨーロッパで全体主義が発生したか、ナチスの登場を受け入れたか、という記述を詳細に、克明に分析しているのですが、とおり一遍の世界史しか知らず、ヨーロッパ人が学ぶヨーロッパ史程に詳しくない者にとっては、その時代時代のもつ意味合いを理解しきれない、ついていけないのかも知れません。例えば、日本人は日本の戦国時代については、その武将の性格まで熟知していたりするけれど、西洋ものではそうはいかないように。
投稿: 街中の案山子 | 2009年5月 7日 (木) 13時30分
★街中の案山子さん、
国内経済の疲弊が全体主義を招いたり、資源争奪が戦争の原因になったり、つまりすべてのことは経済に起因し、それが歴史そのものだ、というようなことかなと思いました、というとみもふたもないのですが。
>とおり一遍の世界史しか知らず、ヨーロッパ人が学ぶヨーロッパ史程に詳しくない者にとっては、その時代時代のもつ意味合いを理解しきれない、
ついていけないのかも知れません。<
「その時代時代のもつ意味合い」を理解しようという情熱がない私はとてもおおざっぱ。
投稿: robita | 2009年5月 7日 (木) 14時34分