悪い菌と戦って勝つ
テレビのバラエティ番組だったか健康番組だったか忘れたが、主婦タレント何人かが自宅で使っているまな板を持ち寄って雑菌汚染度検査をやっていた。
ほとんどの人が洗剤で洗って熱湯をかけて仕上げる、という中で、香坂みゆき(清水圭の妻)が、洗剤で洗うだけ、と言っていた。
どのまな板も見た目はすごく綺麗で清潔そのものだったが、調べてみると、香坂みゆきのまな板が一番雑菌が多かった。
「えー、そうなんですかあ」と彼女は笑いながら、「でも、うち、これで長年やってるけど、病気にもならないし」と言う。
まな板は雑菌の温床だそうだ。
傷ができやすい木製よりプラスティック製のほうが好ましく、きれいに洗ったまな板でも、一晩で雑菌が増殖するので、洗剤で洗うだけでなく、仕上げに熱湯をかけておくのが良いとされる。
でも、実は香坂みゆきのやり方でも悪くないんじゃないだろうかと私は思った。
私も、まな板は雑菌の温床ということを昔から聞いていて、熱湯をかけるよう心がけていた時期もあった。
でも、考えてみると、昔は雑菌の繁殖しやすい木のまな板をどこの家庭も使っていたし、まあ、時々天日に干したり、強毒性の細菌に汚染されている可能性のある魚介類や肉類と野菜などの調理は、まな板の裏表で区別するくらいのことはしていたけれど、今のように、神経質に菌を排除する気遣いはされていなかったように思う。
菌に対して少し鈍感になるくらいが抵抗力がついていいのかもしれないなあ、と思う。
うちの家族も病気しないし。
私が怖いのは、雑菌類より、分解しにくい化学合成物質である。
昔、有吉佐和子の「複合汚染」がベストセラーとなった頃、東京湾のヘドロまみれの魚や農薬づけの野菜など、高度成長期の汚染の情報が恐怖の大王のように我々日本人に襲いかかり、その刷り込みから、いまだに解放されないからなのか。
農薬類だって水で何度も洗うことによってかなり落ちるそうだ。人の台所仕事を見ていて「うわーん、もっとキレイに洗ってよぉ」と思うことも少なくないので、見ないことにしている。
この点についてだけは寛容な姑になれそうもない。
しかし、そうはいっても、あからさまに雑菌を軽視するようなこともしない。
昔読んだ三浦綾子の小説「果て遠き丘」にこんなシーンが出てくる。
≪妻が台所で夕食の支度をしている。妻が台所の床にこぼした水を雑巾で拭く。その手を洗いもせずまな板の上のホウレン草を切ったのをたまたま目にした夫は、その日ホウレン草のおひたしに手をつけなかった。≫
この夫は、前妻の過度の潔癖症に嫌気がさして、のんびりとした大雑把な女と再婚したのだが、大雑把も過度になると困りものだ。
誰しも雑巾をさわった手でそのまま料理したりしないと思うが、あれは三浦綾子の実体験なんだろうか。そういう不潔なことをする人もいるのかもしれない。
そういう料理を食べなければならない夫や子供を気の毒だと思うが、考えてみると、まな板にはびこった雑菌と雑巾をさわった手についた雑菌はどちらが数が多いだろうか。
結局「見ないようにする」のが一番良いかもしれない。
ちょっとだけ汚い環境で免疫力をつけましょうか。
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