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2009年8月17日 (月)

何を選べば・・・

衆議院議員選挙が近づいてきて、各党論客による討論やら、テレビや新聞での解説やらが多くなって、同じような議論の繰り返しのように見えて、聞くのもめんどくさくなる。
だけど、「決めるのは我々国民です。今度こそよく考えて投票しましょう。」と言われると、国民がしっかりしないと政治も良くならないよなあ、勉強しなくちゃ、と思い直して、色々な意見を読んでみようと思うのだが、結局、何を選べば政治が良くなるのか、なんて誰にもわからない。

小さな政府か大きな政府か、なんていう問題になるとさっぱりわからない。
小さな政府が地方分権推進で自己責任で市場原理主義で、大きな政府が福祉重視で格差がなくなってみんなでそこそこ幸せになれるかというとそんな単純な話でもないらしいし。

日本人にとってこの選択は酷だ。

日本という国は、国民の「選択」の意志がなくても、ずっと昔から統治者はちゃんと国を治めてきて、民衆は、あまり深く統治者を疑うという習慣がなかった。

統治者は「支配者」ではなく、したがって搾取もなく、常に民の幸せを念頭に経済や福祉を采配してきたのが日本という国の形だったのであり、「慈悲深い独裁」が可能な国であり続けたのだと思う。
もちろん「完璧に」とか「理想的に」ではあり得ないが、少なくともその傾向が世界中のどの国よりも強かったのではないか。

時として腐敗も起こるが、民衆が蜂起しなくても、政権内部での自浄作用が働き、改革は行われてきた。

民衆が統治者を信用する伝統が根底にあった、と私が思うのは、やはり、日本人の気質の特殊性に思い当たるからだ。

日本では「おまかせ民主主義」がうまく機能するほど、人間が誠実であり、穏やかであり、柔軟(良く言えば)で、消極的で、人任せで、臆病で(悪く言えば)あったということだと思う。

日本人の気質のままではやっていけない、と気がついたのは幕末で、これが最初の「汚染」。

そして、戦後の日本も長らく、国民が自民党の統治能力を信用して、政権交代をせずにやってきた。
一党優位の体制で、これもおおざっぱに言えば幕藩体制と似ているのかもしれない。

自民党一党優位制は経済発展をもたらし、国際的にも信用を得、社会を安定させてきた。

徳川幕府も自民党も、賞味期限切れになり、腐敗が進んでくると、改革の要求は大きくなる。

で、今回、政権交代という大きな政変を国民が期待しているわけだ。

しかし、「政権交代可能な二大政党制」は日本に合っているだろうか、という疑問も湧いてくる。

こっちがだめならあっちの政党、とコロコロ入れ替わる不安定さを日本人は受け入れるだろうか。

政権が長く続くことによるデメリットを考慮してもなお、日本における一党連続統治の良さに勝るものはないのではないか、そんな風にも思える。

 

福田さんと小沢さんの大連立構想は失敗したけれど、あれは残念なことだったと今でも思う。
大連立も政権交代も、今の日本にとって政界再編への一つの道ではないだろうか。

政界再編して、55年体制のような、「国の存続と成長に責任を持つ政党」と「非現実的な理想しか語らないが不正追及や調査能力に長けた政党」の、政権交代はまず起こらない組み合わせに再び持っていくのが、もしかしたら日本国には一番合っているのかもしれない、と思ったりもする。

このことは、大きな政府を意味するのだろうか。それとも、そういう体制にしても地方分権は成り立つのだろうか。

そしてその一党優位の信用できる体制は、激動の国際社会で生き抜けるほど、日本人を強くするものだろうか。

そもそもグローバリズムというものが、そういう体制を許さない潮流なのだろうか。

ここでまた「汚染」されることを恐れるばかりでは、国際社会での「生き残り」が難しくなるということなのだろうか。

街中の案山子さんにこんなことを教えていただいた。
「中国は、日本のような、選挙はしても一党が長期政権を続けるという形にもっていきたいともくろんでいる、と。日本の形が理想だと。」 → コメント   

日本の発展の理由を研究してこういうところに気がついたのだろうけど、中国は日本人の気質を真似することはできないんじゃないかと思う。

理想の形は、日本人の気質によってこそ可能だったのだろうし、今の時代では、その日本でさえも再びその形でやっていくことは難しい。

 

ところで、私は今度の選挙は政界再編選挙だと思っているのだが、政界再編は、民主党圧勝では起こらないようだ。
民主党が圧勝して数の上で政権が安定すれば、分裂しようなどという機運は起こらないというのだ。
いくら考え方が違っても、なんとか意見をすり合わせて政権にしがみつこうとするのが政治家というものだと。
あの、気骨あふれるように見える民主党若手議員たちも、持論を引っ込めて、情けない姿を晒すようになるのだろうか。
それほどまでにに、政権党のうまみが魅力的なものであるならば、安定多数は与えないほうがいいな、と思う。

かといって、自民党が勝ってしまえば、またずるずると今までのようなだらしのない政治が続くだけとなる。

民主辛勝か、ちょっとだけ芽が出てる小党が勢いをつけて第三極づくりに成功すれば、政界再編は起こるかもしれない。

しかし個人には一票しかない。一票でガラガラポンは難しい。

      
        若者のためにも日本を揺り動かすことが必要じゃないでしょうか
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コメント

毎度のことですけど、難しい選択ですよね。政権交代はほぼ決まりでしょうけど、迫るにつれ、今まで自民党与党に向けられていたような厳しい視線が民主党に向けられていくんじゃないでしょうか。

投稿: コウイチ | 2009年8月19日 (水) 22時14分

★コウイチさん、

仰るとおりで、今度は民主党(連立を組むという小党も)が国民から責められる番ですね。
でもそれで成長していくんじゃないでしょうか。
頼りになる政党つまり自民党がずっと政治を担うことが、今まではこの日本にとっては良い状態だったのでしょうが、やはり、もうそういう時代ではなく、政権交代可能な二大政党にすることが、国際社会で生き抜く強さを育んでくれるのかもしれません。

投稿: robita | 2009年8月20日 (木) 09時24分

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