ヒステリック
私は経済政策の細かいことについてはわからないし、数字を挙げてあれこれ論ずることはできない。
60年以上生きてきて、「結局人間社会とはこんなことではないか」、といったおおまかな見方で、世のことを解釈しているにすぎない。
国民は自民党に愛想をつかし、政権は民主党に移ることがほぼ確実である。
いったい自民党のどこが良くてどこが悪いのか、素人ながらよく考える。
山本大成さんの記事に、「良く整理して考えなければならないのは、現在の景気の悪化が与党を中心に運営されてきた日本の政治のせいで起こったのかどうか?(他の政党が政権を担当していたら防ぐことが出来たかどうか?)」
とある。
また、こちらの記事では、小泉内閣時代の政策への穏当な検証がなされている。→ http://blogs.dion.ne.jp/hanemone/archives/8651907.html
今や世の中は、「小泉改革が世の中をめちゃくちゃにした」と、一人ひとりが抱える不満を何でもかんでもコイズミのせいにする風潮に流されているが、目の前の不具合を評価の基準にするのでなく、時間的空間的にもう少し視野を広げて全体の流れを見たらどうだろうか。
竹中さんの経済政策には欠陥もあったのかもしれないが、バブル崩壊後のあの酷い日本経済を、では、いったい誰だったら、綺麗に処理してみせ、その後の経済を完璧に回復させることができたというのだろうか。
小泉改革はぶっ壊しただけだった、そのあとの構築をやらなかった、というけれど、小泉内閣はしぶとい政治勢力をついに動かすことができなくなってしまったということではないのだろうか。先日ラジオに出演した竹中さんは「政治は負けることがあるんです」と言っていた。
そう、負けたのである。おそらく、政治の裏をいやというほど見せつけられ思い知らされたことだろう。
郵政選挙で、反対した自民党議員は排除された。しかし、排除されたくないので賛成を装って残った勢力の存在が改革を中途半端なものにしてしまったのではないだろうか。
「民営化に反対なら元に戻せばいいんですよ。中途半端が一番いけない」と竹中さんは言った。
激しいせめぎ合いの末、敗北し、政界を去ったあとの状態をもって、「こんなことになってどうしてくれるんだ。にっくき小泉竹中め」と短絡的に糾弾するのは、ヒステリックに過ぎるというものだ。
とは言え、このまま自民政権が続くのも自民党自身のためにならないので、政権交代は許してもいいのではないか。
平凡な国民の視点でもって語るとこういう具合である。
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コメント
robitaさん、私も、非常に似た考え方です。
しかし、これからは、私は自民党支持であって、つまり「野党」ですから、民主党支持者の論調を「この権力の犬」とか「おまえは政権にだまされているだけだよ」とか、無責任に批判しっ放しも別段問題なく、「対案が、、、」と言われたら「こちらは野党なので、権力を批判するのが当然じゃないか」と開き直ってもいい、というのは、なんだか自分向きで清々しい気分がしますなあ(笑)
投稿: single40 | 2009年9月 1日 (火) 15時17分
★single40さん、
>「こちらは野党なので、権力を批判するのが当然じゃないか」と開き直ってもいい、というのは、なんだか自分向きで清々しい気分がしますなあ(笑)<
自民党支持のsingele40さんは当然それでよろしいのですが、仰るように、「権力はまったく信用ならない」と、「国家権力だから」という理由で常に激しく国家を批判してきた人々が、民主党に「国家権力の横暴だ」と批判の声を挙げるのかどうか、それに注目したいです。
民主党はこれから先、権力の側に立つということの喜びより辛さを痛感していくんじゃないでしょうか。
投稿: robita | 2009年9月 2日 (水) 10時25分
自分のBLOGのお守りで一杯一杯になってしまい、拙BLOGの記事を紹介下さっていたことを今まで気づかず、失礼いたしました。
私は無党派で自民党支持でも民主党支持でもなく、しいて言うと日本国を支持なつもりなのですが、小泉改革については前回の解散総選挙時に国民の圧倒的な支持があり、民主党も構成員であった国会によって決議されて進行していったのだと言うことが忘れられているようでなんだか納得いきません。
普通に考えれば景気が悪いときは経営資産を出来るだけ集中的に投入し望みのありそうな分野を伸ばすこと以外に突破する方法が無く(構造的にダメな分野に投ずるのは時間と金の無駄です。総花型では何もかも失います。)、それを確信犯で行うと言うことで国民的な合意も出来ていたはずでした。
その上で利益を上げられるようになった方にお金を使っていただいて、国内で潅流するお金を増やすというシナリオだったわけで、途中で格差社会だの何だのと言う雑音が入りお金持ちがお金を使いづらい状況が生まれてしまったことが現状をもたらせたように感じています。
移り気な国民やマスコミに自らの浮沈を委ねた民主主義社会では、終始一貫した政策運営というのは難しいことなのでしょうね。
投稿: 山本大成 | 2009年9月 8日 (火) 14時14分
★大成さん、
小泉さんという強力で冷徹なリーダーが政権から去って、古い体質の自民党に戻ってしまったところへ、今度は若さとエネルギーに満ちた民主党が「霞ヶ関をぶっ壊す!」と叫んで現れた。そこに国民もマスコミも飛びついたんでしょうね。
>移り気な国民やマスコミに自らの浮沈を委ねた民主主義社会では、終始一貫した政策運営というのは難しいことなのでしょうね。<
だからこそ、政権担当者は力強くわかりやすい言葉で国民に説明をする必要があると思うんです。
小泉さんが去ったあと、なんとなくずるずると改革とは反対方向に政治が戻り始め、そのことに関して、国民に明確な説明がなかったんですよね。
麻生さんが「行き過ぎた市場原理主義とは決別し」などと言っていましたが、その言い方は的外れだと思うし、説明になっていません。
「昔の自民党政治に戻したほうがうまくいくんです」とか「郵政民営化は間違いなので元に戻します」とかはっきり宣言したほうが判断がしやすかったのではないかと思ってしまいます。
投稿: robita | 2009年9月 9日 (水) 14時33分