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2009年8月20日 (木)

皮膚科や眼科しかいなくなる!

外科医の減少が深刻になりつつある、というニュースがありました。→ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090818-00000501-san-soci

大変な仕事のわりに報酬が少ない、リスクがある(力を尽くしても患者側に不満があれば訴訟を起こされる)、というので、研修生が外科医を選ばなくなっている、ということです。

同じことは産科医や小児科医でも既に大きな問題となっています。

医者が少ないので、少ない人数で睡眠時間まで大幅に削って診療に当たる。私的な時間など取れるはずもない。その過酷な勤務環境に耐えられず、退職する。医師に去られたその職場環境はますます悪くなる、という悪循環です。

私はラジオでこのニュースを聞いていたのですが、キャスターが、一人のリスナーの「ご意見」を読み上げました。

≪医者という仕事を、「商売」として考えてほしくない。報酬が少なくたって忙しくたって人の命を救うという崇高な精神を持った人が医者になるべきだ≫

という主旨のお便りでした。

なぜ、このような意見をわざわざ読んだのか、その意図はわからないのですが、問題は、「崇高な精神を持っていない人が医師になっている」ことではなく、崇高な精神をもって医師になった人でさえ逃げたくなるような状態だということだと思います。

この投書の主さんはどうかわかりませんが、自分だって滅私奉公なんてまっぴらごめんなのに、人に「崇高な精神で頑張れ」「報酬とか私的な時間とかそんな贅沢を言うな」などと要求できるんでしょうか。
そんなことを言っていたら、何年か後には外科医や産科医や小児科医になろうという人が一人もいなくなってしまいます。「崇高な精神」ばかりに期待するわけにもいきません。「崇高な精神」だって疲れます。

個人の自由が優先されるこの時代に、「滅私奉公しろ」って、非常に言いにくい言葉だと思うんですけど。

人が嫌がるような辛い仕事ならば、報酬を高くするのは当然ですし、過酷な労働環境を改善することも緊急の課題です。

過酷な仕事、世の中に是非必要な仕事をしてくれる人の待遇改善をすること。世の中をうまく回すにはそれしかないんじゃないでしょうかねえ。

待遇改善のためには、財政再建も経済成長も医療制度改革も必要ですから、道は長いですが新政権には是非とも速やかにやってほしいものです。
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もしくは子供の教育を知育重視から徳育重視に転換するとか(笑) →人気ブログランキング

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追記:

single40さんの記事につけられたnazunaさんのコメントに爆笑しました。高齢者医療問題も深刻ですから笑っちゃいけないんですけど。・・・いや、深刻だからこそ、こんな風に笑える提案は貴重かもしれません。 → 「命の値段が高すぎる!」

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コメント

私は今の医療現場は、典型的な「日本型組織の崩壊パターン」に陥っていると感じます。

日本型組織の特徴は「現場が優秀であること」。現場が優秀であるが故に、組織・システムに問題や欠陥があっても、優秀な現場がその問題に対処してしまいます。

この時、現場の問題意識が組織・システムにフィードバックされればよいのですが、往々にして組織・システムの問題や欠陥はそのまま放置され、いつまでも現場対応のままで済まされます。

しかし優秀な人材の引退といったような現場の力が衰えたとき、或いは問題の大きさが現場の力を超えたとき、組織・システムの問題や欠陥が一気に露呈して、崩壊の序曲を迎えるのです。

このような状況を迎えても尚、組織・システム自体の問題や欠陥を修正しようという機運が起こることは稀で、大抵の場合現場に一層の努力を求められ、現場は更に疲弊して、崩壊のスピードは加速する、というわけです。

このような組織・システムでは現場に対して精神論が押し付けられます。本文にある「崇高な精神」といった類です。このような精神論が跋扈する組織・システムは、それ自体に問題があると考えた方がいいです。

人間が万能ではありません。万能でない人間をサポートするのが組織・システムの役割なのです。組織・システムが人間に万能を強いることは、その組織・システム自体に欠陥があることを露呈しているのです。

投稿: かせっち | 2009年8月21日 (金) 21時01分

医師不足、と言われているけれど、仕事をしていない潜在的な医師労働力って、どけだれ埋もれているのでしょう。
医学部の女子学生は、他の理科系よりも多いのではないでしょうか。
男性と伍して学び、資格をとっても、結婚、子育てで、少しずつ現場から遠ざかる人も多いのではないでしょうか。
医学部の定員増と、最近言われています。
それよりも先に、短時間勤務を有効活用するとか、保育施設の充実をするとか、医師の労働環境よくして、折角学び取得した資格を生かせるようにできないものでしょうか。

投稿: 街中の案山子 | 2009年8月23日 (日) 10時29分

★かせっちさん、

>日本型組織の特徴は「現場が優秀であること」。現場が優秀であるが故に、組織・システムに問題や欠陥があっても、優秀な現場がその問題に対処してしまいます。<

なるほど。日本では、それだけ、「人間を信用する伝統がある」ということですね。
極端に言えば、人間を機械のパーツの一つ一つと考えて全体がうまく廻るように組織を構築したほうが壊れにくい、ということでしょうか。

>このような組織・システムでは現場に対して精神論が押し付けられます。本文にある「崇高な精神」といった類です。このような精神論が跋扈する組織・システムは、それ自体に問題があると考えた方がいいです。<

そうですね。「崇高な精神」ばかりに期待するわけにもいきません。「崇高な精神」だって疲れます。
日本人らしい美しさはあるとは思うのですが、美しさゆえに崩壊してしまっては国の損失ですから。

投稿: robita | 2009年8月24日 (月) 09時36分

★街中の案山子さん、

>男性と伍して学び、資格をとっても、結婚、子育てで、少しずつ現場から遠ざかる人も多いのではないでしょうか<

そうですね。子育てしながら女医を続けるのは本当に大変そうで、そういうレポートもよく見聞きします。

>それよりも先に、短時間勤務を有効活用するとか、保育施設の充実をするとか、医師の労働環境よくして、折角学び取得した資格を生かせるようにできないものでしょうか<

仰る通りです。かなりの時間と費用と学習努力を積んで取得した高度な技術や資格を埋没させるのはもったいない。
それと、医者の数は不足しているのではなく、地方と都市部、病院勤務医と開業医のアンバランスなのでしょう?
勤務医と開業医が協力体制をとっている地域などテレビで見たことがありますが、そういう努力もやはり現場任せなんでしょうか。
国としても何もやってないわけではないんでしょうが・・。

投稿: robita | 2009年8月24日 (月) 09時51分

ええと、ちなみに、耳鼻科も人気があるようです。(笑)

ブログのご紹介を頂き、ありがとうございました。

naznaさんのコメントは、諧謔と真実の混ざり具合が、さすがにお坊様ですよね。
私も脱帽でした(笑)

投稿: single40 | 2009年8月24日 (月) 13時46分

★single40さん、

「愚痴を聞いてもらいたかったら病院なんかへ行かずにお寺へいらっしゃい」(笑)

投稿: robita | 2009年8月24日 (月) 14時22分

先日、法事でお寺に行きました。
ピッタリ3時からお経が始まって、途中で大寺さんのロウソクの火をつけ替えるなどの動作があっただけで、お経が終わったのは、ぴったり4時。
時候の挨拶とか、子供や孫たちの成長の話題をそれとなく交わしただけで、お寺さんらしい話は何もなし。
大寺さんと弟が小学校から高校までの同級生、遊び友達だったから、お説教もしにくかったのかも知れないけれど。
檀家が「愚痴をお寺さんに聞いてもらう」っていう世界は、なくなりましたね。笑

投稿: 街中の案山子 | 2009年8月25日 (火) 15時41分

★街中の案山子さん、

最近はお寺さんも市場原理が働いて努力しないお寺は淘汰される・・・なんてことはないのでしょうか(笑)
病院へ行って愚痴を聞いてもらうというのは、お医者さんに、というより、待合室のサロンで、ということなんじゃないでしょうか。
私はお寺さんにほとんど縁がないので想像ですが、一族の法事だけじゃなく、法話の会とか寺子屋的活動などを積極的に行う寺というのはあるんじゃないですか。たとえば、瀬戸内寂聴さんなんかがやってるような。
そこで、お坊様の話を聞くのも勉強になるでしょうし、参加した人同士の交流が可能であるなら、お寺サロンは機能するでしょう。
寂聴さんだって、いちいち一人ひとりの愚痴は聞かないでしょうし。

>檀家が「愚痴をお寺さんに聞いてもらう」っていう世界は、なくなりましたね<

まあ、現代では、お寺にそういった役割がなくなっているのは仕様がないことだろうと思います。人がお寺にそれを求めない、つまり需要がないということでしょうね。
要するに、何もお寺でなくても、お年寄りが寂しいのであれば、病院がサロン化しないように、地域のサロンが機能すればいいんですよね。お年寄り自身がそのアイデアがなくても、教えてあげることはできます。
「病院のサロン化」や「気休めの治療」が問題なのですから。

私も老人クラブに入っていますとも。

投稿: robita | 2009年8月25日 (火) 16時46分

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