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2009年8月 5日 (水)

目も眩む時代

政権交代がかかった選挙だというので、二大政党は「我が党こそ国民のみなさんを幸福にするのです」と、宣伝に忙しい。

どの党も「安心して暮らせる社会の実現」という、聞いてもしようがないようなフレーズばかり並べる。
まあ、安心して暮らせる社会の実現を目ざすのが政治の役目だし、政治家だってそう言うより他にないのだから、聞いてもしようがないなんて言ってもしようがないのではあるが。

曽野綾子さんは相変わらずキツイことをおっしゃる。

「選挙運動中のテレビの画面では、福島社民党党首が『皆が安心して暮らせる生活を』と、まだ口にしていた。『安心して暮らせる生活』などという状態は、いかなる時代のいかなる国家にも土地にもありえない。弁護士の教育というものは、そんな単純な現実と哲学さえも教えないのだろうか。それとも、そうした現実を把握しない人が政治家になるのだろうか。
政治家は常に50%の悪い状況を想定しておく義務があるが、残り50%は強固な希望を確保しなければならない。この矛盾と分裂に耐えるだけでも大変な仕事だ。」


私も同じように思うが、かといって、政治家が、≪我が党に任せていただければ、国民の7、8割は、まあまあ安心な生活を営めるようになると思いますが、残りの2,3割の方々はちょっと辛いかもしれません。しかしまあ、それも人生です。セイフティ・ネットは用意しますので、なるべく自力で上を目指してください。また、7,8割の一応安心なかたがたも、激動の国際社会の中で、いつなんどき生活の安定がおびやかされるかわかりません。そういう時に備えて、安易に絶望しないよう、精神力を鍛えておいてください。≫などと言うことはできない。

政治家は良いことしか言わない。票を取るために選挙民におもねるしかないのである。
一票でも多く取って当選しなければ政治をやりたくてもできないのだから。

だからおいしいことしか言わない。

「痛みに耐えなければ改革はできない」「格差はあって当然」などと本当のことを言って絶大な支持を取り付ける政治家なんてそうそういない。

なにはともあれ、次の総選挙では国民は自民か民主かどちらを選ぶかの選択を迫られている。

戦後の大部分を自民党政治でやってきて日本人は豊かになったため、自民党への信頼感は強いし、民主党に政治を任せると大変なことになる、と具体的な予想を立てる人も多い。

しかし、目先のことでなく、日本の国の将来を考えると、政権交代したほうがいいんじゃないかと私は思っている。

脳科学者の茂木健一郎さんがこんなことを言っている。 →「与党脳」と「野党脳」を使い分けよ  

【例えば、アメリカの場合、民主、共和両党の間で政権交代があり、ひとりの政治家が与党的立場と野党的立場の両方を経験できる。これを交互にやることで政治家としてのバランスがよくなるのです。】

たしかに、万年野党では無責任に批判して反対するばかりだし、万年与党では改革ができにくい。

自民党におまかせの安定した時代を長年過ごしてきたので、「アメリカやイギリスのような政権交代は日本人には合わない」、と考える人が多いと思う。

他の国がどうあろうと、日本はこれで成功を収めたのだ、なぜ他の国を真似する必要があるのだ、と。

しかし、世界がグローバル化した今、おそらく今までのような政治のやり方では国際社会で生き残ることは難しくなっているのではないだろうか。
今までの政治で悪いところ、不都合なところ、無駄なところは極力改めていくことが必要だ。そのためには、政治家も政党も必死にならなければならない。時には冷徹になることも必要になるだろう。

与党と野党の切磋琢磨が必要だ。

国民も、そういう体制を育てる気持ちを持たなくてはならない。

今度の選挙は民主党に風が吹いていると言われる。たぶん民主党を中心とした政権が成立するだろうと言われる。

それでいいと思う。

ただし、民主党政権は遅かれ早かれつまづく。

特に社民党と連立なんか組んだら、必ず壁にぶち当たり、右往左往することになる。

その時こそ、「外交と防衛の基本路線は、与野党関係なく、国として一致しなければならないのか否か」という大議論が国民レベルで巻き起こるのではないだろうか。

政権交代で、与野党両方の感覚を持つバランスの取れた政治家は国民が育てるもの、という意識が広がっていくことを期待する。

折しも裁判員制度によって、国民が司法に参加するという一大転換期も迎えた。

日本人が、「おまかせ」から脱却して自立の意識に目覚めるという、目も眩むような時代に突入したのかもしれない。

       
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コメント

破壊主義という観点からは、民主党みたいな政党で政権交代をして、経済からシステムからめちゃくちゃに破壊して国民の生活破綻も大規模に起こすほど崩壊させてから組み立てなおす方がやりやすい、という事も正しいかもしれません。
しかし、それで我慢すると国民は確約するのでしょうか?みんな文句言わず、道の草でも食ってしのぐから一日も早く良くなる様にして欲しい、とすれば、それは何とかなるかもしれませんが、少なくとも政権交代が目的でその後の改革が目的にはないという意識でしか無い国民の投票行動には、悪く変化した場合の我慢について全く想定は無いのではないだろうか。
少なくとも来年の春まで雇用は相当悪化し、物価は上がり始める。無論原油価格がまた高騰し始めることも問題の一つですが、少なくとも、給与ダウンまたは失業、物価高騰、という構図にいきなり新政権は直面する事になるだけに、その経済対応に手腕をふるえる能力が各担当大臣にあるのか、という事が大きな問題になるだろう。
舛添大臣の仕事は民主政権になれば、彼は退任して彼の手腕は一旦停止するのであります。今後は次の担当大臣が行うが、攻撃対抗姿勢ばかりの人が大臣になって、理論構成だけで果たしてちゃんと解決できるのか、年金掛け金も払ってない人の行う不当請求を排除して公平な支給ができる体制を作れるのかというと、何か疑問が残る。
多分政権交代後、すぐにオバマ大統領訪日が決定しているそうだが、いきなりの要求に彼らがどう対応するのか、また対応できるだけの体制をつくれるのかどうか。ただの挨拶で無いことは確かですね。クリントン元大統領訪朝で何が話されたのかと同じくらいの暗闇を感じる。日本は相当キツイ対応を迫られる事になると思う。予算も枯渇している中、どう対応するかは高見の見物って事ですね。失敗したらいきなり政権崩壊かも。

投稿: わっきー | 2009年8月 5日 (水) 17時20分

★わっきーさん、

はじめまして。
お返事書いてたら長くなったので、記事にします。

投稿: robita | 2009年8月 6日 (木) 10時59分

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