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2009年10月19日 (月)

いつかきっと

出先で週刊誌をパラパラめくっていたら、「微妙なタイミングの雅子さま、甘え上手の紀子さま」というタイトルの記事があってざっと目を通しました。

婚家が嫁に何を求めているのかを敏感に感じ取って気に入られる紀子さまと、タイミングの悪さに気付かず私的な日程を入れてしまう要領の悪い雅子さま、とまあ、だいたいそんな描き方だったと思います。

一平民の経験と比べては恐れ多いのですが、結婚した当時の自分を思い出しました。

要領はなはだ悪く、お世辞がうまく言えず、気の利かないことといったら天下一品の私は、婚家にとってはさぞかし「不出来な嫁」だったことでしょう。

男子は一人だけなので、他の嫁と比較されるというようなことはありませんでしたが、「どれだけ気が利くかが女の価値」みたいな価値観を持つ婚家では、頭の回転の良い義母も義妹もめまぐるしく立ち働き、ことごとくタイミングをはずしてしまう要領の悪い私は居心地はなはだ悪く、先を越されてしまう度に「今やろうと思ったのにぃ」と何度思ったことでしょう。

合理的で自由な家庭で育った私は、おそらく「こんなことも知らないのか」と思われ続けたことでしょうし、反対に、本当に大事なことより形式を言い募る義母や義妹に深く傷つけられ、心中に修羅を抱えたこともあります。
気を利かすこともお世辞を言うことも「嫁」に求められる資質だとは思いますが、人間そんなことばかりじゃつまらない、という批判精神も多少はありました。
まあそれもこれも価値観の違いからくるものでしょうし、誤解も多分にあったと思います。

しかし、真心で訴えれば夫は理解してくれましたし、夫さえわかってくれれば私はどんなことでも耐えることができると思っていましたので、同居もしていなかったし、普段は忘れることができました。

今となっては、長い間に婚家もさまざまなことを経験し、人間の価値や幸福は気を利かすことやお世辞上手だけでは決まらないということがわかってきたと思いますし、私もむずかゆくならない程度に年寄りを喜ばせることができるようになりました。

 

自由闊達に育ってこられた雅子さまが日本で一番の旧家に嫁がれたことには想像を絶する軋轢と苦悩があったことでしょう。

もちろん雅子さまも相当の覚悟を決めて皇室に入られたことでしょうが、そこには既にいかにも皇室好みの完璧な紀子さまの存在があり、皇族の妃としてのお立場をしっかりと確立なさっていて、比較されることも多々あったでしょう。
マスコミ報道もひどかった。
お子様にもなかなか恵まれなかった。
男子をもうけることもできなかった。

一市民の私のように「言いたい人には言わせておけばいいのよ」なんて態度は絶対に許されない特別の立場であれば、ご病気になるのは無理もないと思いますし、割り切ることができないのだから、ご病気が長引くのも当然と思います。

でも私は思うのですが、やはり、ご病気を治すのが先決なので、どうか国民もマスコミも思いやりの心をもって妃殿下を見守るようにしていただきたい。

妃殿下におかれては皇太子殿下と愛子さまとの家族の幸せをしっかりと確立なさることです。
ご実家やお友だちとの交流が心の安定につながるなら何も後ろめたくお感じになることはありません。
土台がしっかりすれば、その後のことは自然についてくると思います。
公務のためには死ね、なんてそんな時代じゃないんです、もう。

いずれの時か、全てのことには意味がある、と思える日が来るでしょう。


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コメント

早く、元気になってほしいなと思うのですが、
そういう風に述べられることも負担になるかとも思うし。。。

何も言われないと、「自分はいなくてよいのか」と思うし、
がんばれといわれると、「がんばっているのに」と思うし、
がんばらなくてよいよといわれると、「自分が情けない」と思うし、
と、結構しんどいものです。(実体験より)

なので、身近な人(家族)がのんびり見守ることが
一番よいと思うのですが、難しいんですかね。
こちらにコメントするように、何も関係ない方にでも、
愚痴だけでもこぼせるとよいかなと思います。

投稿: さじった | 2009年10月19日 (月) 21時16分

★さじったさん、

周りから言われなくたって、自分のことは自分が一番わかっていて、何をすべきかなんてわかっているんですよね。

>何も関係ない方にでも、
愚痴だけでもこぼせるとよいかなと思います<

インターネットの効用ですね。
不特定多数の人が読むネット上で自分の思いを吐露することで、意外な反応や納得いく答えが得られたりするし、読む側にとっても、自分の周囲だけでなくもっと広い範囲の人々の思いというものを知ることができます。

どうかがんばってください・・・って言っちゃだめなんですよね。
おきばりやす。
はんなりと京都弁でいきまひょ。

投稿: robita | 2009年10月20日 (火) 10時01分

人にとやかく言われたくないでしょうが・・・。
満たされていても、ココロの具合が悪くなる。
うーん、殆どの人には当てはまらない、平和な日本だから起こった特異なケースでしょうね。
食べるものに事欠くわけじゃなし、
夫の暴力があるじゃなし、
お姑さんらのキツイ一言があるわけじゃなし、

こんなタイプでも、外務省では仕事ができる、って、外務省はどんなところ??

有能な方とのこと。
であれば、自分の道はきっと切り開かれるはず・・・。
えっ!
そうでもない?

旧家のお姫様より自分の暮らしがいい、そういう人が多いとすれば、この国ってなんと豊かなのでしょう!

投稿: 街中の案山子 | 2009年10月20日 (火) 16時43分

★街中の案山子さん

案山子さんは、雅子様は心が弱いから病気になるんだというお考えですね。
心の病気というのはそういうことかもしれません。
でも、日本で一つしかない(おそらく世界で一つの)特異なケースですから、他の場合と同じに考えられないのではないかと思います。
物質的に満たされていても自由がなく大きなプレッシャーをかけられるというのは相当に辛いことだろうなと私は想像します。私は皇室にお嫁に行ったことがないのであくまで想像ですが。

投稿: robita | 2009年10月21日 (水) 09時27分

「案山子さんは、雅子様は心が弱いから病気になるんだというお考えですね。」
 
  ↑
うーん、よそ様のことだし、詳しくは知らない人だから、そんなことも思わない。
ただ、ご自身も、ご一族も、優秀な方揃いだと、そんな報道をされているのに、解決策がないのだとしたら、
うーん、
いくら優秀でも、ダメなことはダメなのか、優秀じゃないのか、それとも、そんなに困ってもいないのか。

いずれにしろ、週刊誌が発行部数を上げるために書いている記事の餌食ですね。

投稿: 街中の案山子 | 2009年10月21日 (水) 12時17分

★街中の案山子さん、

>週刊誌が発行部数を上げるために書いている記事の餌食ですね<

お気の毒ですね。

投稿: robita | 2009年10月23日 (金) 10時26分

いつも興味深く、多くの点で共感をもちながら拝見しております。
初めてのコメントでこのような細かいことを書くのは恐縮ですが、「皇太子妃殿下」は「皇太子妃 殿下」と分けるのが正しく、したがって(一般的には、また多くのマスコミなどでも平気で使われておりますが)「妃殿下」という呼び方は正しくないものと思われます。

投稿: まこ | 2009年10月24日 (土) 09時08分

★まこさん、

はじめまして。
いつも読んでくださってありがとうございます。

>「妃殿下」という呼び方は正しくないものと思われます<

そうなのですか。びっくりです。
それならば「雅子妃殿下」も正しくないのでしょうか。「皇太子妃・雅子殿下」となるべきなのでしょうか。
そういえば、紀宮様のご婚約会見の時に、お相手の黒田さんが「皇太子・同妃両殿下」とすらすらと仰っていたのを思い出しました。
でも、宮内庁長官も「妃殿下」と言っていませんでしたっけ。
「妃殿下」は国民の間に広く定着している呼称なので、「皇太子妃・殿下」と切って言うのはなかなか難しそうです。
でもこれからは「皇太子妃・殿下」と書くことにします・・・・(かどうかわかりません)
ご指摘ありがとうございました。

投稿: robita | 2009年10月24日 (土) 10時35分

皇室典範第23条では、敬称を「殿下」とされているらしいですが、(こんなこと書きながらアレですが)一般的に広く使われているので本来はそこまで神経質になることではないのだと思います

天皇に対する敬称が「陛下」であり、それに次ぐものとして皇太子、皇太子妃に対する敬称として「殿下」が使われるという理解で良いと思われます。
ということで、皇太子妃である雅子さまに対する敬称として「皇太子妃・雅子殿下」は間違っていないと思います。
となると宮内庁長官の「妃殿下」はともかく、黒田さんの「皇太子・同妃両殿下」も正解なのではないかと思います。

実は私も結構最近知ったばかりで軽く調べただけなのでそこまで詳しくないのです
wikipediaとかで調べたらもうちょっと詳しく分かるかもしれません。


※皇室典範23条より
「天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。
2 前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。」

投稿: まこ | 2009年10月24日 (土) 23時28分

★まこさん、

>一般的に広く使われているので本来はそこまで神経質になることではないのだと思います<

そうですね。
もうみんな長い間「妃殿下」と言ってきて、誰もそれを訂正しなかったのだから、そういうことだと思います。
ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

投稿: robita | 2009年10月27日 (火) 08時00分

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