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2010年5月 7日 (金)

豪華建造物

テレ朝「スーパーモーニング」で、日本とフランスの公共事業の取り組み方の違いについてのリポートをやっていた。

例によって、ハコモノ行政や天下り問題を厳しく追及している玉川徹さんが現地パリに飛び、価値ある歴史的建造物を残しつつ近代的な街づくりに成功しているフランスの取り組み方をわかりやすく講義してくれる。

ふんふん、そんな風にできれば一番いいよねえ、などと思いつつ考える。

例えばフランスが歴史的遺産として観光客を集めるヴェルサイユ宮殿は建設当時、国民からどう見られていたのだろうか。
「王侯貴族のための贅沢な宮殿は我々の血税によるものだ」という怒りがあったからこそ革命は起きたのだろうが、それを数百年後の人間は優れた文化遺産として賞賛する。

玉川さんは閉館になった巨大な「私のしごと館」を「失敗を胸に刻むための遺跡として残せばいい」なんて言ってたが、失敗でないヴェルサイユ宮殿との違いは何だろうか。
芸術的価値だろうか。細部にわたる豪華さが比べものにならないからだろうか。「私のしごと館」は何百年たとうと文化遺産としての価値は出てこないのだろうか。

例えばエジプトのピラミッドは、建築技術は卓越しているものの、王墓ではなさそうで一体何のために作られたのかよくわからないそうだ。
一説には農閑期の農民の雇用対策としての公共事業だったとも言われているけれど、そうだとしたら役に立たないものをただ建てる日本のハコモノ行政とさして変わりはないように思う。

それでもああいった巨大な建造物は数千年もたてば無駄などころかものすごい価値を持つようになる。

中途半端でないカネのかけ方が価値を生むのか。
「作っては壊し」などというやり方でなく、数百年数千年後にも残る磐石の建造物であれば無駄とはならないのか。 

時代が違うといえば違うけれども、国民の生活を顧みずカネをふんだんに使い、あるいは無用の長物を建設するという贅沢な行為のおかげで、我々は目の覚めるような芸術作品を拝する恩恵に与れていることだけは覚えておこう。

現代においては無駄を生まないように金回りを良くすることを考えるしかないだろうし、その中にはコンクリートで大きなものを作る、という公共事業だって含まれるはずだ。

フランスの都市計画の担当者が「日本の町づくりは計画性がなく無秩序で美しくない」とか言っていたが、雑然とした街の面白さだってあるんだよ。ほっといてちょうだい。

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コメント

ピラミッドやベルサイユ宮殿には君主の権力の誇示という目的があります。いずれにせよ"L'état, c'est moi"、すなわち「君主の力=国家の力」の時代の豪華建造物です。野党、メディア、シンクタンク、市民団体などの健全な批判勢力は存在しない体制でのこと。

それでもこうした豪華なハコモノの建築じ従事する人達は、以外にもお祭り気分だったり、芸術や職人芸の発揮の場として喜んで参加したものも多かったようです。

ただし、現在は"L'état, c'est peuple"、すなわち国民主権の時代です。

ところでrobitaさんて何の女房なんですか?家族の食卓なんてありましたけど。以下の空欄に適切な文字をお願いします。


〇〇〇の女房

投稿: Shah亜歴 | 2010年5月15日 (土) 10時15分

★舎亜歴さん、

>君主の権力の誇示という目的があります<

そうですね。時代が違いますね。

>〇〇〇の女房<

サラリーマンの女房、これでいいですか。気の利いたことが言えなくてすみません。

投稿: robita | 2010年5月16日 (日) 10時55分

>サラリーマンの女房、これでいいですか。気の利いたことが言えなくてすみません。

稀代の傑物、水木しげるとでは良かれ悪しかれスケールが違いすぎました。

真魚さんと激論の件、自分のブログに記事を出すところです。しっかり読むと文字通り、マサカナと思うようなコメントをするのが真魚さんです。

投稿: | 2010年5月20日 (木) 12時51分

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