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2010年8月 9日 (月)

貯蓄税

先日、朝のワイドショー「スーパーモーニング」で、ディレクターの玉川徹氏が解説する「貯蓄税」というものに非常に興味を持った。

クレディ・スイス証券チーフエコノミスト、白川浩道氏が提唱し、そのインタビューを交えながらの解説である。

使われずに金融機関に眠っている日本人の莫大な金融資産に税金を課して動かそうというのである。
1000万円以上の預貯金に例えば2%の課税をするというものだ。

課税されるくらいなら使ってしまおうという消費意欲を刺激し、企業は儲かり、社員の給料は増え、消費が増える。税収も増える。

貯金より株でも買おうか、ということになれば株価も上がる。税収も増える。

先週、そのコーナーで貯蓄税の提案をしたら、反響が大きく、意見がたくさん寄せられたそうだ。しかし、そのうち賛成がわずか15%で、80%以上が反対や疑問を投げかけるものだったという。

多くは高齢者の、「コツコツと節約しながら一生懸命に貯めてきたものを税金で取られるなんて納得がいかない」というものだ。

しかし、今回、問題点が提起され、一つ一つの解説を聞くと、そういう不満をもらす高齢者の利益にもつながる、と納得することができる。

このまま不景気が続けば、国庫は減るばかり。
社会保障にかけるお金がなくなり、老後の不安は増大する。

お金がないので社会保障費を削りましょう、となると、今度は「老人は死ねというのか」と文句を言い始める。いったい何を望んでいるのか。

こんな「木を見て森を見ない」態度では、日本は本当につぶれる。

今、この国で品格や覚悟が求められるのは、若者というより、高齢者なのではないか。

お金を墓にまで持っていくことはできないのだから、ここらへんで発想を変えて、カネを抱え込まずに動かすことを考えたらどうか。

これは「富の再分配」という考え方でなく、詰まっているものを取り除いて流れを良くする、ということだと思うので、金持ちも「自分の持っているものを取られる」という狭量な考えは捨てて、国全体の利益、という視点でとらえてもらいたいものである。

「国のため」は「自分のため」なのである。

番組でも言っていたが、ああでもないこうでもない、どうしようどうしようと「議論ばかり続けて何もしない」とか、国の経済にはもう期待できない、と悲観論ばかり述べているのでは、何も動かないのだ。

「カネが流れ始めることが重要」なのであり、なにより「テストとしてやってみる」ことだ。

効果がないようであれば修正すればいいのだし、座して死を待つよりずっといい。社会実験だ。

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「貯蓄税」でなく「死に金税」と名づければ、人々も抵抗がなくなるのではないかという意見もあった。

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コメント

膨大な金融資産が貯蓄として死蔵されて支出に回らないことが、今の日本経済の停滞の一因にあるわけですから、それを税金として徴収して、政府が支出に回るような財政政策の原資とすることには一理あります。

ところで税金として徴収されてしまうと、そのお金は納税者には直接には返ってきません(当たり前ですね)。では一度徴収されたお金が時間がたてば戻ってくるとしたらどうでしょう?もちろんその方がいいですよね。

実は現在進行形でやっているんです。その名を「国債」といいます(笑)

貯蓄税にしても国債にしても、死蔵されている金融資産を政府が吸収することには変わりありません。違いは政府に吸収された金が戻ってくるか否かです。政府に取られっぱなしでいいのか、何時か戻ってくる方がいいのか、よく考える必要があると思いますが。

投稿: かせっち | 2010年8月 9日 (月) 19時03分

★かせっちさん、

日本経済を破綻させないためにいったいどういう政策を取ったらいいんでしょうねえ。
一つの案が出されると、「それはだめだ」、また別の案では、「それは問題あり」・・・・、こういうことを繰り返して思い切った手を打てないまま時ばかりたっているのが現状ですよね。

「貯蓄税」なんてたしかに劇薬だし、そんな案が採択されるわけもないとは思いますが、何かやらなきゃだめでしょう。

とにかくお金が動き始めさえすれば色々なことが自然に好転し始めると思いますので、お金を動かすにはどんな方法があるんだろうと、yahoo知恵袋などで検索してみますと、例えばこういうのがあります。→こちら    

どうでしょう、またこれに戻りますか、公共事業(笑) →「作っては壊し」 

何かやってみないと。

投稿: robita | 2010年8月11日 (水) 10時55分

ご紹介頂いたyahoo知恵袋の回答は私がよく参考にする三橋貴明氏の主張そのままですね(もしかしたらご本人だったりして)。私も氏の主張に賛成です。

銀行の本来の役割は、家計・企業の余剰貯蓄を預金の形で集めて、それを他の家計・企業に融資することです。これにより死蔵された貯蓄が家計・企業に渡り、家計・企業が支出を増やして経済が活発化する。同時に納税は支出に付随するので税収が増えて財政も健全化する、というという仕組みです。

ところが今の不況下では銀行が上記の役割を果たせないでいます。大企業は設備投資を手控えて融資を受けない、中小企業へは貸し倒れを恐れて融資できない、家計は支出を抑えてているので借金しない。これでは余剰貯蓄は銀行に溜まる一方で、お金が回らず経済成長しません。

このような状況下で余剰貯蓄を支出に回すサイクルを一手に引き受けたのが政府です。要は本来銀行が果たすべき役割を政府が代わって行っていたわけで、国債増加はその代償です。政府がこれをやらないで大失敗したのがフーバー米大統領が引き起こした大恐慌で、日本で大恐慌が再現しなかったのは国債増発を躊躇わなかったからだ、ということです。

この状況は今も変わっておらず、相変わらず銀行経由の資金移動は鈍いままなので、政府が国債で吸収して然るべき投資先に資金投入すべきです。問題は「然るべき投資先はどこか?」ということです。それは民間の自発的な資金移動(即ち支出)が起きそうな部分であり、それが従来型の公共投資であっても躊躇うべきではないでしょう。

投稿: かせっち | 2010年8月11日 (水) 19時38分

★かせっちさん、

国民が何を求めているのかを、早稲田大学教授の川本裕子さんがわかりやすく分析しています。 →【消費増税反対が「民意」ではない】 

【こうしてみると、日本国民多数は、基本的な安全保障の枠組みを維持し、不要な政府介入は避けて経済成長を追求し、行政改革と歳出の効率化をさらに続けて最終的には消費税増税による財政健全化を実現するという、バランスのとれた政策を望んでいる。民意に示された国民の経済政策への理解度は高い。むしろ懸念はこれをしばしば曲解する政治家の方にある。】

昨年、なぜ有権者は政権交代を望んだのかを考えてみますと、「民主党が良いから」という理由ではなかったと思います。自民党がもう嫌になったのではないでしょうか。
「せっかく麻生さんが成長分野にお金をつぎ込もうとしたのに愚かな国民がそれをつぶしてしまった」という言い分もわかりますが、国民はもっと大きな視野での日本の成長の必要を感じていたんじゃないでしょうか。

時々コメントをくださるsingle40さんも、ご自分のブログで、昨年の衆院選の自民党の敗因を、周囲の意見と共に総合的に判断し「『小泉改革による格差拡大』に批判が集まったのではなく、その反対で、小泉退陣以降、福田さん麻生さんとずるずると元の自民党に戻ってしまったからではないか」と書いておられたと思います。
私もそう思うのです。
小泉改革を継承する「みんなの党」に人気が集まっているのもその一つの表れじゃないでしょうか。

たしかに麻生さんは景気浮揚に何が必要かわかっていたでしょうし、一生懸命仕事をしていたと思います。

でももう、政官業癒着、派閥、天下りが温存されたままの自民党的政治の枠内で何をやろうが、今の世界の中で生き残ろうと思えばそれはいかにも効率が悪い。それを多くの国民はわかっていたんじゃないでしょうか。だから民主党に期待したというより、もう自民党、いっそのこと壊れてくれ、という思いだったのではないかと思います。

投稿: robita | 2010年8月12日 (木) 15時35分

小泉改革からの後退が自民党への幻滅を招いたという仮説もそれなりに当たっていると思います。そのような思いで自民党支持をやめ、小泉改革の継承者たるみんなの党支持に鞍替えした人達は、小泉改革路線こそが今の日本の経済情勢の処方箋だと信じているのでしょうね。

私に言わせれば、デフレ不況期での緊縮財政や構造改革など、拒食症患者にダイエットを強いるようなものです。しかも主治医も看護婦も周囲の家族も肥満の処方箋であるダイエットの方法しかしらない。栄養不足に見かねてブドウ糖点滴でもしようものなら「糖分!肥満の元!」と非難する。

このままいけばカレン・カーペンターのように拒食症で死ぬだけだと思いますがね。

投稿: かせっち | 2010年8月13日 (金) 13時33分

追記:

欧米先進国による財政引き締めは景気後退をもたらす(ダイヤモンド・オンライン)
http://diamond.jp/articles/-/9044

2001年ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授のコラムです。最近の教授の言説は三橋氏の主張にどんどん近づいてきています。

投稿: かせっち | 2010年8月13日 (金) 19時29分

★かせっちさん、

小泉政権下の緊縮財政ばかりが批判を受けますが、財布の紐を締めるとか緩めるというのは、どの局面でやるのが最適なのか私などにはわかりません。
不況を長引かせてしまったのなら、それは結果的に失敗だったと言われるかもしれません。不況が長引く原因はそればかりではないと思いますが。

でも、小泉改革の最も大事なところは、公務員改革や既得権益に切り込んだ点なのではないでしょうか。

長年の腐敗構造から脱却しないまま(つまり官僚と自民党守旧派に全てを牛耳られたまま)、どんどんお金を出しても莫大な無駄を生むだけではないのでしょうか。

私は小泉改革の意義をそういうところに見出しているのですが、誰がやっても功罪というものはあるので、「罪」のほうを見れば「だめだった」ということになるし、「功」のほうを見れば「よくやった」ということになる、それだけのことではないでしょうか。

国がお金を出して公共事業を増やせば景気は良くなるし雇用も増えるのは私にもわかります。   
でも、それをためらわせるのはやはり、利権構造から脱却しないままの財政出動は、一時的に景気を良くするものであっても、景気が良くなってしまえば結局みんな改革のことは忘れてしまってその利権構造に浸る状態が温存されてしまう、という懸念があるからではないでしょうか。それは無駄の垂れ流しが続くということであり、元の木阿弥に他なりません。

公共事業は、「脱官僚」や「地域主権」などの改革という前提があって初めて生きてくるのではないかと思います。

「小さい政府」を目指す政治家だって、別に「景気は後回しだ」と言ってるわけじゃないですよね。

そもそも、経済対策とは、あっちかこっちか、という極端なことをやるものなのでしょうか。川本裕子教授が言うように「不要な政府介入は避けて経済成長を追求し、行政改革と歳出の効率化をさらに続けて最終的には消費税増税による財政健全化を実現する」というバランスの取れた当たり前のことを粛々とやってくれればいいのだと思います。

それができないならば、何か「劇薬」を処方するしかないのかな。


投稿: robita | 2010年8月15日 (日) 10時58分

私は何度も言ってますよ。「デフレ不況期」に緊縮財政をやるのはNGだ、と。小泉改革もインフレ期や好況時にやればよかったのです。

確かに小泉政権下では戦後最長の好況期を記録しました。しかしそれは内需が成長したからではなく、外需頼み、即ちアメリカのサブプライム・バブルに当てこんだもので、決して国内の需要回復によるものではありませんでした。思い出してください。あの時の景気は何と言われてましたか?「実感なき景気回復」でしたね。

景気回復の原動力が外需である以上、他国の価格競争力に対抗しなければなりません。となるとコスト削減のために、国内の給与は低く抑える必要があります。正社員の給与は頭打ちになり、非正規労働者も使うことになります。このように国内の給与が低く抑えられた状況では、国内の需要が回復するはずもありません。

しかしGDPの数値上は外需のおかげでプラスに推移するため、好景気だと錯覚したというのが「実感なき景気回復」の正体です。そして好景気と錯覚したまま小泉改革を断行した結果、国内の需要を更に痛めつける結果になった、と私は見ています。

川本教授の「不要な政府介入は避けて経済成長を追求し」にしても、政府介入なしに民間の自律的な経済成長が起きないのがデフレ不況というものなのです。私に言わせればこのような主張は「今のデフレ状況下では」ちっともバランスの取れていない机上の空論です。

参考:
お金について その2(さざなみで船酔い)
http://tsplace.blog84.fc2.com/blog-entry-183.html

投稿: かせっち | 2010年8月15日 (日) 14時55分

★かせっちさん、

>私は何度も言ってますよ。「デフレ不況期」に緊縮財政をやるのはNGだ、と。<

何度も言わせてしまい、すみません。
そうですねえ。今はとにかく借金をしてでもどんどんお金を使って公共工事をやらないといけないのかもしれませんねえ。その過程で無駄が出ても(利権が温存されたり新たな利権が発生したりしても)、景気回復効果のほうが大きいでしょうし。
それをやってくれるのはどの政党なんですか?自民党ですか?
その前に、国民がそれを理解し望まなければなりませんね。

国民はバカなのか。どういう政策が国を救うのかが理解できないのか。
どうすれば国が破綻しないか、長い目で見て財政健全化とはどの道を取ることなのか。
それを国民が理解すればいいということですね。

たしかに私も「作っては壊し」で、「この際、無駄でもなんでも、(極端に言えば、たとえ「穴を掘って埋める」タイプでも)公共事業にお金をつぎ込んだほうがいいのではないか。」とか「自民党時代のような政官業癒着構造外で公共事業を創出することはできないものか。バブル時代のような無駄なハコモノを生み出さない公共事業はないものか。」とか書いてますから、他のバラマキ政策「農業者戸別所得保障」とか「子ども手当て」より公共工事にお金をつぎ込んだほうがずっといいと思いますよ。 
だから別に公共工事に反対じゃないんです。
でもやっぱり、「景気が良くなってしまえば結局みんな改革のことは忘れてしまって、大きな政府に依存する構造や利権に浸る状態が温存されてしまう」 ←こういうことが心配なので、なんとかバランスをとってくれないか、と思ってるだけなんですけどね。

公共工事に不安があるから、「貯蓄税」なんていう発想が出てきたのかもしれませんね。
因みにこの「貯蓄税」の考え方は、デフレ対策「マイナス金利」としてケインズも唱えているそうですよ。

投稿: robita | 2010年8月16日 (月) 10時58分

貯蓄税なんぞ導入されたら、お年寄りの箪笥預金が増えるだけでは?
ただでさえ、銀行預金の利息なんぞはスズメの涙な昨今です。(ヘタすっとカード利用手数料や口座維持費などの支払いのほうが大きい)

そうすると、今は銀行経由で多少なりとも出ている資金が、完全に死蔵されてしまうことになり、余計に経済が回らなくなると思うんですけどね。
また、お年寄りの箪笥預金を狙う犯罪も増えるかも。


経済を回す(貯蓄を放出する)ためなら、期限限定の消費税「利率低減」でしょう。
仮に「○○年に限って、消費税0%」とし「以後、1年毎に+1%して行き、10年後に+10%で固定します」とすると、消費(特に住宅や自動車といった高額商品の売買)は活性化しますね。

投稿: えまのん | 2010年8月31日 (火) 11時34分

★えまのんさん、

>貯蓄税なんぞ導入されたら、お年寄りの箪笥預金が増えるだけでは?<

そうですね。そういう懸念も番組内で出されましたが、タンス預金するためには、セキュリティにお金をかける必要があるので、その方面でお金が動く、という説明でした。
そういうことにお金を使いたくないお年寄りのタンス預金はたしかに狙われますね。

>経済を回す(貯蓄を放出する)ためなら、期限限定の消費税「利率低減」でしょう。<

そうですね。それもいいですね。
あるいは無利子国債を発行するとか、贈与税を大幅軽減するとか。貯めこまれているお金を吐き出させる方法はいくつかありますよね。それぞれに問題があるのでしょうし私はどれがいいのかよくわかりませんが、あれもだめこれもだめと言っている間に何も解決せず、事態がどんどん悪くなる一方なのが心配です。

投稿: robita | 2010年8月31日 (火) 15時07分

引用
1000万円以上の預貯金に2%の課税をするというものだ
引用終了

あの番組生で見てたけど
言い切ってはいないと思うよ
確か、「仮に」とか「2%として」という表現だった

なんかネット的伝言ゲームになってる

投稿: 通りすがり | 2010年10月 9日 (土) 05時06分

★通りすがりさん、

>確か、「仮に」とか「2%として」という表現だった<

それでは「1000万円以上の預貯金に例えば2%の課税をするというものだ」と書き換えておきます。
ご指摘ありがとうございました。

投稿: robita | 2010年10月 9日 (土) 09時54分

年寄りはお金を持っているのですか?
家のおばあちゃんは少ない年金からかなり税金をとられてますよ。介護、健康保険等。
年寄り=金持ちのような印象はよろしくないと思う。
昔は貧しい時代(今の貧しさとは比べ物にはならなかったでしょう。)を経験している人であれば、少しでも安全な道を選ぶと思います。
年寄りを馬鹿にして面倒もみない癖に「貯金を貯めるな金を出せ」なんていう若い方を見ると何とも言えない苛立ちを覚えます。てめぇの努力が足りないくせに景気が悪いせいにする。まぁ、私もわかいですがw
お年寄りの世代は、家事をやるのは当たり前で働くのも当たり前だったそうです。今よりもきつい、汚い仕事がおもだったと聞きます。(今の方が同じ条件で生活していけるのか?)

話はずれましたが、こういう話題の時はお年寄り一人一人に事情がある事を念頭に入れておいてもらいたいです。

投稿: | 2010年12月22日 (水) 21時30分

★お名前のないかたへ、

>年寄りはお金を持っているのですか?<

持っている人もいれば持っていない人もいるでしょうねえ。

>こういう話題の時はお年寄り一人一人に事情がある事を念頭に入れておいてもらいたいです。<

「事情」があるのはお年寄りに限りません。

若者にも、サラリーマンにも、自営業者にも、企業経営者にも、男にも女にも、一人ひとりにそれぞれの事情があります。

色々な人が、これはどうかあれはどうかと色々な案を出しますよね。
それは何のためかといえば、この日本という国を生き延びさせるためではありませんか。
なにも特定の人々の利益とか特定の人の排除とかが「目的」ではありません。

しかし、この日本の経済を再生させるためにどうしたらいいか案を出せば、それがどんな案でも「それは困る」という人が出てくるのは当然です。

そこで機能するのが民主主義というものです。

で、眠っている巨額の預金を流動させるための貯蓄税というものを思いつく人がいて、それがテレビで紹介されました。
やってみたらどうか、と思う人もいるし、そんなの嫌だと思う人もいるわけです。

我々国民のすべきことは、高い視座をもって政治をやってくれる政治家を応援することだと思います。


投稿: robita | 2010年12月23日 (木) 09時38分

ある樵が山林地主に一万円をはらって木を切り出し、二万円で材木屋に売った。それを家具職人が三万円で買い、テーブルを作って四万円で売りに出した。各人の収入はそれぞれ一万円で、四人の収入の総計は四万円である。左側には四万円の収入があり、右側には四万円の商品がある。
 もし樵の取り分が五千円であれば三万五千円の総収入に対して三万五千円の商品になり、材木屋が自分の収入を一万五千円にすれば四万五千円の総収入が四万五千円の総商品に対することになる。さらに一人の商人が現れてそのテーブルを買い五万円で売るとしても同じで一方に五万円の総収入があり反対側には五万円の商品がある。全世界の収入の総額と商品の総額は常に等しい。この二つは違うことができない。だから収入のすべてが支出されればすべての商品が売り切れる。
 これは非常に優れたシステムで、もし商品が売れ残るとすればそれはその商品が市場にとって不要なものだったからであり、必要な商品である限り必ずそれが売り切れるだけの収入がおのずからもたらされていることになる。
 ただしここで肝腎なのは「収入のすべてが支出される」ということで、(マルクスとケインズが批判したのもここですが)
このとき、収入の一部が支出されずに貯蓄に回されるとするとその分の商品が売れ残ることになり、その商品が売れればもたらされるはずの収入が実現しないことになる。そこに発生する貧困の量は貯蓄の量と等しい。使われずに残った貯蓄は世界の反対側に自分と等しい量の「実現しなかった収入」・貧困を生み出す。

投稿: shn | 2011年1月25日 (火) 23時38分

★shnさん、

>収入の一部が支出されずに貯蓄に回されるとするとその分の商品が売れ残ることになり、その商品が売れればもたらされるはずの収入が実現しないことになる。そこに発生する貧困の量は貯蓄の量と等しい。使われずに残った貯蓄は世界の反対側に自分と等しい量の「実現しなかった収入」・貧困を生み出す。<

はあー、経済のしくみとはそういうことですか。考えてみればそうですね。この世にある貨幣と物品は等価(同量?)であるべきである、ということですかね。
その基本を理解するには人間社会が複雑になりすぎているのか、私は頭が回りません。
貯蓄は必要ですが、せめて今のような異常な溜め込みによってお金が環流しない状態をなんとかしないといけないでしょうね。


投稿: robita | 2011年1月26日 (水) 11時30分

↑上の続き
一方で、貯蓄するということはもう消費に金は使わない、消費財はいらない、と市場がいっているわけなのだからそれだけ資本財、生産財に資源を振り向ける余裕を手に入れたのだともいえる。
資本主義の初期においてはブルジョワジーという偉大な種族がいて利潤をすべて投資に次ぐ投資に振り向け資本財、生産財を拡充し世界を豊かにしたというふうに昔習った記憶があるのですが、今の日本はカネ余りとか言って産業育成のための投資に振り向けられずに漫然と溜め込まれたままになっているのだそうで(というよりは投機目的で溜め込まれている)、するとその巨大な貯蓄の分だけ消費が不足し、実現されない収入・巨大な貧困が生まれる。
自由主義市場経済で完全雇用が実現するのは貯蓄がゼロのときで、貯蓄が存在するときは貯蓄と同じ大きさの投資をしなければ失業と貧困が発生する。もはや投資に次ぐ投資で事業を拡大した偉大な種族が滅びてしまった現在、国づくりがあらかた終わってしまったといわれる現在では、この巨大な貯蓄を何とかするには、貯蓄している人に何とかものを買ってもらうとか、軽いインフレ状態にして今使わなければ損をするぞと脅かすとか、貯蓄分は税金で没収するぞといって強制的に支出させるとか、それでも使わなければ本当に没収して国が代わりに使ってやるとか、もしくは安い金利で借り上げて国づくりに使うとか、多く貯蓄する富裕層からあまり貯蓄のできない貧困層に所得を移転するとか、または、使わないで貯めこむだけの人がいるなら、貯めないで使う人がいればいいわけだから誰かが巨大な赤字を出して借金経営の事業をするとか、とはいってもそれだけの赤字に耐えられるのは民間にはいないだろうから国が赤字財政で何かをするとか、またはそもそもカネがしまいこまれてしまっているのだからその不足分のカネを印刷するとか、が必要になる。
投資しきれないほどの貯蓄が眠っているということはそれだけのお金を持つ資格と能力のない人の手にお金が集まっているということであり、一方にはお金がなくて失業、ホームレス、餓死、自殺が発生しているということは現在の貯蓄のシステムが重大な欠陥を抱えていということだ。失業、ホームレス、餓死、貧困…は自己責任ではない。
 税収が足りない・国債は国の借金だ・とデマゴギーを振りまいている人がいるが、それなら国債に投下されている金を税金として徴収することにすればよい。それを嫌って貯蓄が全部消費にまわされるならば完全雇用が実現してしまうわけだから国がすることもできることもなくなるわけでそのほうがマシなのだ。
 もしくは発想を逆にして、貯蓄の残らない世界を作れば無駄なバラまきをしないですむ。


投稿: shn | 2011年1月27日 (木) 23時23分

確認しておくが、コイズミ改革は方向は正しかったが時期を誤ったのではない。田中角栄流のばら撒き、つまり所得の再分配をしなくなって、かつ金持ち優遇税制で一方の端に貯蓄がたまってしまったからこそ、日本の停滞と貧困が始まったのだ。

投稿: shn | 2011年1月30日 (日) 07時08分

★shnさん、

財政再建とか景気回復について、色々な人が色々なことを言い、延々と議論ばかりが続きます。
もう問題点はわかっているのだけど、どこから手をつけたらよいのか誰もわからないのが問題なのかなと思います。
将来不安から、お金が廻らない堂々巡りになってしまってるんですよね。
リーダーの決断力だと思うのですが、総理大臣が決断するためにはねじれの中で政策を実行しなければなりませんが、協議をしても野党が与党の政策の根本のところに反対で法案が通らなければ行き詰るでしょうし、こっちも堂々巡りです。
打開策として一番有効なのは、団塊世代を含む高齢者の「気づき」だと私は思っているのですが。

投稿: robita | 2011年1月31日 (月) 13時16分

たとえば120万円のトヨタカローラが一台売れるとその代金の中からまずセールスマンの歩合が支払われ、トヨタの労働者に賃金が、役員に報酬が、株主に配当が支払われる。次に下請け会社に部品代が支払われるがそれは下請け会社の誰かの収入と、鉄やプラスチックなどの原料代になる。その原材料費、たとえば鉄の代金は製鉄会社の誰かの収入と、鉄鉱石や石炭の代金に分解され、そのまた石炭の代金は石炭会社の誰かの収入になる。
 つまり120万円はすべて、結局は誰かの収入になる。
 このとき、売り上げは120万円だったがそれによって得られた収入が130万円になるなどということはないし、逆に110万円の収入しかもたらさないということもない。
 商品の価格は収入の合計に等しい。
これはすべての商品についていえることだから、世界の全商品の価格の合計は世界の全収入の合計に等しい。
 
 ここで120億ドルの商品と、したがって120億ドルの収入の対峙する世界を考える。
両者を120億ドルの金貨が媒介し、取引は年一回行われる。
 どこからはじめてもよいのだが、まず「企業」に120億ドルの金貨があったとしよう。それは前年度の総売上である。
「企業」はそのうちから利潤の20億ドルを株主(地主)に支払い、100億ドルで労働者(農民)を雇う。「企業」は一年で120億ドルの商品(コメ)を生産し売りに出すが、買うのは「家計」(株主+労働者)である。利潤率20パーセントで、それは株主の手に入る。
 「家計」が120億ドル(20億ドル+100億ドル)のすべてを商品の購入に支出すれば「企業」に120億ドルが還流し、「家計」はその商品を一年で消費する。これでもとの状態が回復され、次の一年の生産が始められる。
 このとき10億ドルが使われずに甕に詰めて地中に埋められると(貯蓄)、「企業」には110億ドルしか還流しないことになる。すると「企業」が「家計」に支払うことのできる金額も110億ドルになり、「家計」は10億ドル貧しくなる。
 貧しくなった「家計」の側では10億ドル分の商品(コメ)を変えない貧民・労働者が餓死するだろうが、その労働者を養うべき10億ドルの商品(コメ)は「企業」の倉庫で腐り始めている。
なぜこんな馬鹿なことが起こるかといえば10億ドルの金が溜め込まれてしまったからだ。
 
もしこのとき商品の側で少なくなった貨幣量に適応しようとして価格が下がると、貨幣価格の上昇・すべての物価の下落(賃金も下落)という教科書どおりのデフレが始まってしまう。
 だからはじめに貯蓄されてしまった10億ドルを何とかしなければいけない。

1 まずやらなければならないのはお金を貯めるだけで使わない人の手にはお金が行かない、とどまらないようなシステムを作らなければいけない。しかし政府は金持ち減税・消費税増税という真逆のことをやろうとしている。
2 理屈として一番単純なのは貯蓄を没収してそれを財源にして貧困対策(貧民にただで金を配るでもよい)をすることだが金持ちの抵抗があって実行は難しいかもしれない。
3 没収しない代わりに安い金利で借り受けてそれを財源にして貧困対策(貧民にただで金を配るでもよい)をしようとすると、国の借金は国が借金したことだからいつか返さなければならないなどと、本末転倒のお馬鹿なことを言う人が出てくる。(国債は国民が国に預金しているのだ)。貯蓄の全部を吸い上げるだけの国債を発行しなければいけない。
4 最後に、贋金を作るという裏技がある。10億ドル分の金貨を作るのは大変だが紙に「かね」と印刷して10億ドル分の紙幣を作ればインフレにもならず、デフレも退治でき、ただで10億ドルの収入を得ることができる。それを財源にして貧困対策(貧民にただで金を配るでもよい)をすればよいのだが、そんなことが日本銀行には難しいことらしい。

「死に金」という単語を目にするようになった。溜め込まれた貯蓄が生きた使われ方をしていないという意味らしいが、その金が溜め込まれてしまったために得られたはずの収入を失ってしまった貧民が世界の底辺で死んでいっている、そういう意味での死に金でもあるのだ。


なぜこうなのだろうか、というと、政府は本当は貧困やデフレを解決しないほうがよいと考えているのではないかと思われる。
 海外で貧乏旅行をするとわかるが、貧しい国へ行くと私たちのような貧乏旅行者でもかなりの贅沢をすることができる。それならいっそ日本を貧乏人の住む貧乏な国にすれば、一部の金持ちはよりいっそうの贅沢な暮らしを味わえることになる。政府は一部の金持ちの利益を代表していて、日本を貧しい国にしようとしているのだろう。

投稿: shn | 2011年3月 8日 (火) 22時59分

★shnさん、

丁寧なご説明ありがとうございます。
「カネ」が貯めこまれて回っていないのが問題だということですね。

>政府は一部の金持ちの利益を代表していて、日本を貧しい国にしようとしているのだろう。<

もしそうなら、なぜ滅びに向かうようなことをするのか。「政府」とは誰なのか。その正体はいったい何なのか。
政府が間違っているという前に、そのことをじっくり考える必要がありそうですね。

投稿: robita | 2011年3月 9日 (水) 10時17分

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