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2010年10月 7日 (木)

自虐なのか柔軟なのか

上坂冬子さんが好きなのに、著書を一冊も読んでいなかったので、エッセイ集「女の生活力」を読んでみた。

女ひとり生きることの悲喜こもごもが描かれる。

「独身で生きてきて悔いはないかと聞かれれば、意地にも悔いているなどといいたくないけれど、正直なところ私としては他人さまに独身をすすめる気にはなれない。むしろ死んだつもりで妥協できるなら、一度は結婚したほうがいいというだろう。」

そして、古い婦人雑誌の読者投稿欄に載っていた句を紹介している。

   死んだつもりの見合い しあわせ桐の花

「たしかに女に生まれたことに選択の余地はなかったけれど、本気で人生の方向転換を考えたなら、死んだつもりで好きでもない男に寄り添うことだってできたのではないか。もしそうしていればそれなりに私も今とは別な人生を案外楽しんでいたかもしれない。死んだつもりで方向転換のできる自虐性とたくましさは女の生活力である。たぶん、私にはそれが欠けていたのだろう。」

そして、4.5日前、共時性というのだろうか、書店をぶらぶらしていたら、平積みの「結婚相手は抽選で」(垣谷 美雨 )という本のタイトルに釘付けになった。値が張るハードカバーだけど即購入。
面白い。1日で読んでしまった。

少子化対策として、「抽選見合い結婚法」が制定され、独身男女が否応なく見合いをさせられる。気に入らなければ断ってもいいが3人断ると強制的に「テロ撲滅隊」に入隊させられる、という筋書きである。

荒唐無稽と一蹴してしまうのがもったいなく思えるほど、物語の展開、人物描写、台詞が興味深く面白い。

人間に向けられる著者の温かい視線にも好感を持つ。
もてないオタク男に投げつけられる容赦ない叱咤の言葉は作家自身の彼らに対する苛立ちのあらわれであろうが、それでもそういう男たちに対しても、お高くとまっている女たちに対しても寛容な見方をしていると思う。

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死ぬ気で選ぶ結婚相手。いやもうそれは「選ぶ」のではなく、「身をまかせる」と言うべきか。

「こんな男と結婚するくらいなら死んだほうがまし」という女の気持ちは、大恋愛による結婚が憎悪の結末へと導かれるありふれた未来を想像できさえすれば、解放されることは簡単なのだが。

結婚の前提には恋愛があるべき、という思い込みにとらわれているかぎりはカップルが成立しないのは当たり前、という明々白々たる現実がある。
言うまでもないが、見合い結婚が普通であった時代にはほとんどの人間は年頃になれば結婚し子どもを生み家庭を築いていたのだ。

家庭を築かなくなる・・・これは果たして単に少子化という問題を生むだけなのだろうか。

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人は幸福を希求する生き物である。
その作業の過程で何もかもうまくいかなかったり、すべてを失ったりすると人は絶望するものだが、その一方で、「何も怖いものがない」という心境はかえって人をたくましくすることもある。
それが自分ひとりではなく、集団だとなおさらだ。

行き詰った時に、常識を覆すような手段は、どんな問題であれ、奇策とされながらも提言され続け、考えさせられる。
ヤケになったり閉じこもったりするより「こんなのどうかね」と考え続けるほうがずっといい。

少子化で国が立ち行かなくなり滅亡の危機が目前に迫った時に初めて人は正義や幸福について真剣にに考えるようになるのかもしれないなあ、と思う。
死ぬか生きるかの状態になった時、人間は何を考えるだろう。

そう、件の奇策は少子化対策なんかじゃない。
どんな状況にもしたたかにしなやかに自分をあてはめ、自分なりのしあわせを自らの知恵と工夫で楽しんでみせるたくましくも柔軟な本来の「女の生活力」の喚起なのだ。

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コメント

人生最大のタナボタ = 結婚でした。
私は稀な幸運者ということになるのでしょうか?

ブログ主さまご自信はいかがですか?

投稿: ap_09 | 2010年10月 8日 (金) 10時59分

★ap_09さん、

>私は稀な幸運者ということになるのでしょうか?<

「稀」かどうかはわかりませんが、伴侶がみつかるということは幸運なことだと思います。
私もとても幸運でした。
ですから、せっかくの幸運を大事にしたいと思います。

>人生最大のタナボタ = 結婚でした。<

タナボタにしろ努力にしろ、現代の結婚はなかなか難しいですね。
せっかくのタナボタを最後までお守りになりますよう。

投稿: robita | 2010年10月 9日 (土) 09時53分

robitaさん、そこまで言うなら武良布枝さんと講演です!助っ人には松下奈緒と吹石一恵をつけましょう。それでも足りない。やはり最強の助っ人に水木しげるをつけましょう。ただし、やはり最強だけにガス爆発など不慮の事態に対処できるだけの気合いと覚悟が必要です。

あの番組のTV放送は終了しましたが、今度は映画があるようです。

投稿: Shah亜歴 | 2010年10月 9日 (土) 11時33分

全国放送にもなったのですが数ヶ月前、地元で「婚活登山」が企画され、2組のカップルが誕生しました。100人以上の参加があったようです。

息子は20代前半なのに自分の意志で参加しました。一人っ子のせいもあって、結婚願望はあるようです。
会社に案内がきて参加すると聞いた時は、正直びっくりしました。え?その歳で?!と思って。
残念ながら空振りに終わりましたが、今後も婚活どんどんしてほしいです。

登山はどうしても歩くスピードでバラバラになりますから、ちょっと内容的に疑問でしたが、自治体でどんどんこういう婚活の場を設けてもらいたいです。

出会いの場があれば・・・と思っている若者は意外と多いようですよ。


投稿: そよ風 | 2010年10月 9日 (土) 16時23分

★Shah亜歴さん、

そ、そんなに力入れなくとも・・・・

私が今までブログで書いてきたことは武良布枝さんの人生と同じようだということなんですか。
まあ、それは別に目新しいことではなくて、昔の結婚というのは概ねそんな風だったし、それでみんなそこそこの幸せを得て生きていたんですね。
今は昔とは価値観が違うのだから、結婚観も違って当然で、従って、非婚も少子化も必然の結果ということになります。
それを、価値観をそのままに非婚・少子化をなんとかしようというのだから、当然無理がありますね。

投稿: robita | 2010年10月12日 (火) 11時23分

★そよ風さん、

>息子は20代前半なのに自分の意志で参加しました<

行動力ありますね。
若いうちから女性と話す機会を増やしておいたほうがいいと私も思います。
近頃は「スポーツ」とか「お料理」とか色々な婚活があるようですね。

>出会いの場があれば・・・と思っている若者は意外と多いようですよ<

自治体というより私のような年配者がそういうプロデュースをやればいいと思っているのですが、人脈もありませんし、どう手をつけていいやらわかりません。
ネットでそういうことができないかな、とは思ったのですが、やはり難しいです。
このブログもある程度までは読者も増えたのですが、ずっと横ばいですし。
やはり色々な年代のできるだけたくさんの人に読んでもらえなければ物事は動きません。
それに、当人たちにとっては「余計なお世話」かもしれないし、結局そんなことをしても、うまくいかなければ恨まれて終わり、ということになるかもしれない。
昔も「縁談はうまくいって当たり前。うまくいかなければ恨まれるだけ」みたいなことはよく言われてましたけどね。
それでも大人たちは年頃の男女を結婚させようと縁談を持ってあちこち走り回っていたように思います。昔の人は強かったですね。
今の時代は独身男女が自主的にさまざまなイベントを立ち上げて婚活するのが一番いいのかもしれません。

一応貼り付けます →  みなさん読んでください   
    

投稿: robita | 2010年10月12日 (火) 11時38分

暫くですが、横レスを失敬致します。

 ap_09氏はこちらにもコメントしていたとは。以前、拙ブログにも何度かコメントしていましたが、米国在住の女医で夫は米国人と自称していましたね。日米問わず医者は多忙のはずですが、私の見た限り保守系ブログによく書込みしている人物です。自らも「あちこちお邪魔させてもらっている」と言っていた。

 昨年夏、拙ブログへのコメントで、「私は日本にいたときは、戦争放棄、9条支持者で完璧に日教組の洗脳教育が染み込んでいました」「今ではどうやら保守、9条破棄・核武装賛成派です」と言っていましたが、とんでもない、バリバリのサヨクのようです。中国系の親戚がいると書いていたし、中国を盛んに称え、その後で韓国をさらに称賛する人物でしたね。私は出自に関係あると見ています。

 もし気が向いたならば下記をご覧下さい。これでap_09なる者の正体が分かると思います。これでは煽動左派を疑われても仕方ありません。この者は「女性や母親が一人前に働ける社会」が望ましいとして、専業主婦を蔑視していました。もっとも、当の本人が平日からネットで遊んでいるから、まるで無職さながらで笑えますが。
http://79909040.at.webry.info/201002/article_5.html#comment

投稿: mugi | 2010年10月18日 (月) 21時25分

★mugiさん、

あらまあ、そうだったのですか。
インターネットは色々な意見を知ることができて面白いですが、なりすましを見破る感性も磨かなくては。
ご提示いただいたのは室長さんのブログなのですね。
一度コメントをいただいたことがあります。
社会主義についての記事はとても面白かったです。
apさんについては、今回初めて知ったので、よくわかりませんが、「個別の事柄について社会主義的な政策もありだ」という意見ならわからなくもないですが、社会主義国家観にはまったく共感できません。
まあ、意見を言うのは自由なので、どなたからでも何かコメントがあれば、私のスタンスとしてはそれに対して自分の意見を言うだけですが。
アドバイスありがとうございました。

投稿: robita | 2010年10月20日 (水) 09時47分

 またap_09氏は昨年、以下のようなコメントをしていました。貴女や拙ブログと同じく、一知半解氏のところから葵さんのブログに来たのです。このコメントからも、日本ヘの敵意が露骨に見えますね。人間は怒ると本性が出るものです。
http://boyaki-555.at.webry.info/200903/article_1.html#comment

 思想信条の自由があるから、別に戦争放棄、9条支持の左翼でも自由だと私は思います。しかし、一見保守を装って書込みする成り済ましは不愉快だし、悪質な意図があると疑われても仕方ありません。
 先月末、子宮がんワクチンの件でネット検索をしたら、あるブログ記事がヒットしました。何とそこにもap_09氏がコメントしていたので、本当に驚いた。相手の記事をデマと決めつけ、説教と道徳を垂れる姿勢に、この人物の歪んだ性格が伺えます。
http://ameblo.jp/hakkouichiu/entry-10608559657.html

投稿: mugi | 2010年10月20日 (水) 21時42分

★mugiさん、

ご紹介のブログを見てみました。
利権がからむようなことには善悪の判断はできませんが、誹謗中傷やなりすましは不愉快ですね。
感情的にならずに対処したいものです。

投稿: robita | 2010年10月22日 (金) 09時06分

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