にほひぬるかな
作法や言葉遣いは時代によって変わるものだから、あまり細かいことは言いたくないが、それでも、テレビなどを見ていて「ヘンだなあ」と感じることはよくあるもので、とりあえず頻発する二点について書いてみる。
私は「手皿はお行儀が悪いこと」と教わってきたのだが、グルメ番組などでは、みんなそれをやっている。箸で食べ物をつまみ、もう一方の手を受け皿にして口に運ぶ動作だ。お上品な食べ方だと思っているのかな。
器を手で持って口に運ぶか、取り皿に取るか、取り皿がなければご飯茶碗とか汁椀のふたで受けて食べる、と習ったのだが、手皿をする人は、掌に落ちたらどう始末するのだろうか。手を舐めるのか。近頃はお絞りなどを常置しているからそれで構わないのだろうか。
ま、いいか。
もう一つ、食品の匂いをやたら「香り」と表現することだ。
「香り」も「匂い」も類義語だから構わないのかもしれないけれど、私の理解では、昔から習慣的に、花や香水などには「香り」、食べ物などには「匂い」と言っていたように思うのだが、近頃は、「香り」が上品だということになっているのか、なんでもかんでも「わあ、いい香り」とレポーターは大騒ぎする。
焼き魚や焼肉に「香り」って合わないと思うのだが、私はヘンでしょうか。
そのうち、汗の香りとか足の香りとか言い出すんじゃなかろうかと心配でならない。
昔からこんな格調高い歌にも使われているので、「匂い」は決して下品ではないと思うのだが。
東風吹かば 匂いおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ
いにしえの 奈良の都の八重桜 きょう九重に匂いぬるかな
しきしまの 大和心を人問わば 朝日に匂う山桜花
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そういう私も「何だその言葉遣いは」と叱られそうですが
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コメント
手皿は・・・、自分も時々やっちゃう。
汁椀のフタは、行儀悪いって習いました。
基本、親に習っただけなので、間違ってたのかな。
食べ物に香りに違和感を感じるのは同意。
匂いを、テレビとかで、音できいたときに、
「「臭い」と言うとは何事だ!」
とか言う人でもいたんでしょうかねぇ。
投稿: さじった | 2011年1月17日 (月) 23時30分
★さじったさん、
>手皿は・・・、自分も時々やっちゃう。<
そうそう、気をつけてないと思わずやっちゃうんですよね(笑)
>汁椀のフタは、行儀悪いって習いました。<
茶懐石では「フタをお使いなさい」って習ったんですよね。
でも、使えるのはご飯茶碗のフタだけだったかもしれません。調べてみます。
>「臭い」<
そうか、「におい」が「臭い」を連想させるのでしょうか。
投稿: robita | 2011年1月18日 (火) 15時14分