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2011年3月11日 (金)

「本日、未熟者」

もうじき23歳になる末息子は、リストラされたおじさんたちの吹きだまりのような職場で働いている。
昨春、大学を卒業したのだが、わけあって就職活動をしなかった。

計画していたことが思うようにいかなくて、時間ばかり過ぎ、とりあえず働かねばと既卒者対象の合同面接会に行き、最初に面接をした会社に内定をもらうと他の選択も考えずそこで雇ってもらうことに即決めた。

給料も安いし、勤務時間も不規則だ。でも正社員として働かせてもらえるだけでもありがたいんじゃないかと私は思う。

息子は同僚のおじさんたちに、「こういう仕事をしていても転職する時のキャリアにはならないよ。もっと将来のことをちゃんと考えて、転職するんだったら早いほうがいい。それともこの会社で覚悟を決めて相当勉強して資格を取って上に行くか」などと親身のアドバイスをよく受けるらしい。
おじさんたちにも同年代の子供がいるのか、何かと心配してくれ、時々飲みに連れて行ってもらったりしているようだ。
そういった気遣いを特に嬉しいとは思わないまでも、鬱陶しいと思っているフシはない。

息子は自分の境遇や将来を心細く感じながらも、無遅刻無欠勤で真面目に通勤している。

勤め始めた頃、不安や不満が重くのしかかって気弱な言動をしていたことがあった。

地道に就職活動をしていればそこそこ手堅い中小企業に勤めることもできただろうとは思うが、そのことは本人が一番痛感しているに違いない。

若い時の寄り道やつまづきが一生を決める、などと思いこまない人間が生き残れるのだろうと私は思っているので、息子にはこう言ってやった。
「お母さんは、『人間万事塞翁が馬』だと思ってるから」
その時、息子の表情が一瞬明るくなったように見えた。

たしかに、今の仕事では転職のステップになるようなキャリアは積めないだろう。
でも、人間どんな経験も糧にすることができると私は思うのだ。
つまらなく見える仕事をやっていても、人間としてのキャリアは積める。どんなことからも学べる。この世に無意味なことなど一つもない。

甘い見通しで自らが招いた現状に不安を覚えつつ、相変わらず遥かな夢を見続けているのかもしれない未熟者ではあるが、こういう時期は、自分を鍛えるチャンスだと気づいてほしい。

息子がこれからどんな人生を歩いて行くのか、最後まで見届けることはできないけれど、あの一瞬の救われたような眼差しが親にとっては大きな喜びだ。

豊かで平和で安全なこの日本、そういう国に生まれ、人並みの肉体を持っているだけでも幸運と思えば、できることは色々あるはずだ。

まずは「自ら助くる者」にならなければならない。

年を取ればわかることなのだけれど。

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