ああ民主党
「瓦礫の処理も仮設住宅の建設も遅々として進まない。原発事故の対応が最悪だ。菅首相では日本は復興できない」、ということがずっと言われてきたのですが、私は、菅さんが総理として何が間違っているのかよくわかりませんでした。
菅さんを擁護するわけではありませんが、あれほどの災害の処理を「遅い」と糾弾するのは酷だと思いました。膨大な瓦礫の量は阪神大震災の比ではないし、仮設住宅の用地確保だって東北の事情でかなり難航しているといいます。瓦礫の下に眠る夥しい数の遺体を尊厳をもって収容するのにどれほどの時間がかかるでしょうか・・・。誰がやってもそんなに手早くできることではないように思います。
そういうことをしろうとなりに考えると、阪神大震災の時と比べて復興が遅い、と批判するのはちょっと厳しすぎるかなと思っていました。
ただ私も、何も事情を知らないまま「菅さんなりに一生懸命やっている」などと言いたくないし、かといって「何も進んでない。菅はリーダーシップを発揮してない。やめるべきだ」というマスコミの尻馬にも軽々しく乗りたくありません。
一有権者として、ほんとうのところを知っておかなくてはいけないと思うので、菅さんのいったい何がいけないのか、新聞とか雑誌とかいろいろ読んでみました。
でも、ほとんどの記事が「会議ばかりたくさん作って司令塔がない」「政策を思いつきで決める」「日本をどの方向に導こうとしているのかを明言しない」などの抽象的なことや、「『東日本はつぶれる』などと失言した」「官僚を怒鳴りつける」「人気取りのパフォーマンスばかりしている」といった、どうでもいいようなことばかりであまり参考になりません。
しかし、「WiLL 7月号」の安倍元総理の手記を読んで、問題の根本がわかりました。
「わかりました」というと大げさですが、ああそうか、簡単なことだったんだ、と思いました。
つまり、「菅さんは、こういう大災害の時に総理大臣ならば当然踏むべき『手続き』を全然やっていない」という、たぶんマスコミでも散々言われてきたことなのです。
散々言われてきたことなのに、どうしてそれが腑に落ちなかったかといえば、それらの「手続き」をきちんと踏めば物事はこう進む、というマスコミの具体的な説明を、私がみつけることができなかったからなのです。
安倍さんは、原子力緊急事態宣言の布告や安全保障会議を開く、という国家の危機に際して講じるべき当然の措置によって人がどう動き、物事がどう流れ出すのかを「具体的に」説明しています。
何もかも失って仕事を再開できない被災者への資金援助の具体的な方策も述べています。こんなのはそう時間をかけずにできるんじゃないでしょうか。
国の最高責任者として取るべき最低限の手続きをちゃんとやっていて、その上で瓦礫の処理や仮設住宅建設や原発事故処理が速やかに進まないのであれば、こんな大災害なのだからもう少し我慢しよう、ということも言えると思いますが、そういう基本的な措置もしないで「一生懸命やります。きっちりやります」といくら口先だけで言っても何も動き出さない、ということが安倍さんの文章を読んでわかりました。
だから、よく見かける意見で、「政争している場合か」「今、首相を変える時ではない」「与野党一丸となって対策にあたるべきだ」などというのがありますが、そう言う人たちは、よく考えていただきたいと思います。菅総理では与野党一致できないからこそ、議員たちはどんなに批判されようとも、あのように争っているんじゃないでしょうか。
内閣不信任案が否決されて、菅総理は居座ることに成功しましたが、果たして今までのことを反省して仕事をしてくれるでしょうか。
無能なくせに独裁的な手法を続けるつもりならば野党の協力も得られないでしょう。「菅さんとでは大連立もできない」という野党の言い分もわかります。
民主党代議士会以降の顛末から判断すると、菅さんの「巧妙なだましの手口」にみんなが乗せられた、ということになるのでしょうが、考えてみると、これは巧妙でもなんでもない。そういう性癖の人はいるものです。
故市川房枝さんが「菅さんに心を許してはいけませんよ」と秘書の女性に警告していた、という話を以前から私はよく見聞きしていました。
きっと民主党の議員たちも承知している話でしょう。というより、そういう菅さんの人間性を、政治を一緒にやっている人たちはわかっているに違いないのです。
そういう人をリーダーとして選んだのですから、「話が違う」「ペテンにかけられた」などと言ってる場合じゃないと思います。
一定のメドがつくまでやめない、と言っているのだから、メドがつかなければやめない、ということになります。つまり、復興が遅れれば遅れるほど在任期間が長くなるという、笑ってしまうような話だ、と新聞のコラムにありました。
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