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2011年11月 6日 (日)

昭和の匂い

テレビなどで目にする、主に若い世代の行動を二点。
良くも悪くも気になるのだ。

一つは、「いただきます」の時に手を合わせる人が非常に多くなったということ。
テレビの中だけのことかもしれない。若い人は実際に外でも家の中でもあれをやっているのだろうか。
同年代の友人知人とたまに食事をしても、「いただきます」とは言っても手を合わせることまではしない。
あれは一種のはやりなのだろうか。それとも、命をいただくことを天に感謝するのに「いただきます」だけでは足りない、という非常に殊勝な人々が増えたということなのだろうか。

宗教を持っている人は食事の前に習慣として感謝の祈りを捧げたり手を合わせたりするが、私の覚えている限り、子供の頃から最近まで、普通の家庭でそんなことをする人はいなかった。
近頃、爆発的に増えたのだ。
検索してみると、やはり気になってる人が多いようだ。「わざとらしくていやだ」とか「手を合わせるのは常識。それをしない人はどんな躾を受けてきたのか」などという意見も見られる。

与えられた日々の糧をありがたくいただく気持ちを持つのはとてもいいことだと思うし、それが多くの人の習慣になっていくことに何の異存もない。

ただ、確かなのは「ちょっと前まで食事の前に手を合わせるという行動をテレビで見ることはほとんどなかった」ということだ。

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もう一つは、これもドラマの中だけのことだろうが、大人が子供と話す時、必ずしゃがみ込み、「子ども目線」というか、むしろ子供より下の位置になって、子供を見上げながら喋る場面が非常に多い。

「子供への対応は、同じ目線で対等な立場で」という、戦後民主主義の精神からくるものだろうし、それが良いのか悪いのかはさて置いて、気になるのは、戦前からの昭和を描いたドラマにそういう場面を持ち込むことである。
私の子供の頃、あんなことをしてくれる大人はいなかった。子供に対しては上から目線が当たり前だった。
ドラマ制作の現場に当時の状況を知っている人々がいたにもかかわらず、ずいぶん前からそういう細部の事実が軽視されていたと思うが、これからはますますそういうことが多くなって、私たち年配者は近過去ドラマに臨場感も得られないし共感もできなくなっていくのだろうなと思う。

ついでに言わせてもらえば、TBS「南極大陸」の木村拓哉に全然昭和の匂いがしない。

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