我慢しない女
週刊新潮に連載されている「TVふうーん録」(吉田潮)が好きでよく読む。
新年号の【「カーネーション」の清々しい「我慢しない女」たち】が面白かった。
NHKの朝の連続ドラマについてである。
抜粋・要約すると;
「コケにされても失敗しても『今に見とれ~!』と立ち上がる主人公を演じる尾野真千子の雄姿」
「出てくる女たちのほとんどが『我慢しない女』で、頑固でたくましく、我をぶつけ合っている」
「『ゲゲゲの女房』や『おひさま』のように、人の言いなりで耐え忍ぶ女の苦労自慢に辟易していた私が、岸和田弁で我を通す女たちの姿に毎朝拍手喝采している」
私はドラマを見ていないが、評判は上々のようだ。
ただただ我慢強い女が耐え忍ぶ、というより、言いたいこと、したいことを思い切りぶつける、という描写のほうが、ドラマとしてはたしかに面白い。
しかし現実を考えてみれば、我を通す人間同士ぶつかり合えば、結局は、どちらかの敗退、あるいはわかりあうことなく断絶するしかないだろう。
「旺盛な生活力」と「先見の明」のある女性のがんばりは筆者の書くとおり、清々しいものである。おおいにエールを送りたい。
そういうものを持ち合わせていない女性はやはり我慢するしかないわけで、「ゲゲゲの女房」や「おひさま」も見ていないけれど、耐えることで人生を切り拓いた女性の物語と考えていいのではないかと思う。
先日、フジ「新報道2001」に「きんさんぎんさん」のぎんさんの娘4人が出ていた。
平均年齢92歳で、政治に関心があるという彼女たちが、スタジオの安住財務大臣と言葉を交わしていた。
話の中身は大筋で特にどうということはないのだが、消費税が上がるとさらに生活が苦しくなるという母子家庭の嘆きをVTRで見た感想を求められ、娘さんのひとりがこんなことを言った。
「自分のわがままで離婚したんだから、消費税が上がって苦しくなってもしょうがない。我慢が足りなかったのではないか」
スタジオのキャスターは「なんだか人生相談みたいになってきましたけど・・・」と苦笑していた。
VTRの母子の詳しい事情はわからない。
離婚以外に選択肢がないほどひどい夫だったのかもしれないから、単純に「わがまま」と決めつけることはできない。
しかし、よくある「性格の不一致」みたいなことであるならば、「我慢」についてひとつじっくり考えてみることが必要だろう。
我慢のならない夫を我慢して結婚を継続させて生活苦を回避することと、消費税増税におびえるほどの経済的困難と、どちらが自分や子供たちにとって有利だろうと考えてみることだ。
女性の経済的自立が難しかった時代には、女性は離婚もできず、我慢を続け、結局は添い遂げることになった夫婦が大多数だったと思う。
今の時代でも、母子家庭になって苦労するくらいなら、我慢して結婚を継続させる努力をするほうが経済的には有利だ。
経済的自立して子供を育てる力量のある人は自由に離婚すればいいが、自分で充分に稼ぐことが出来なければ、何を選択するか計算することも、生き延びる知恵と言える。サバイバルの問題ではないだろうか。
「国がなんとかしてくれる」と頼る前にまずは子供を食べさせるために自分はどうすべきか考えよと、一見短絡的に思えるぎんさんの娘さんの言葉は示唆しているようだ。
「きずな」大はやりの昨今だが、絆とは決して甘く優しいものではない。
男であれ女であれ、そして老人だろうが若者だろうが、堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍んで、切れないようにするものではないか。生き抜くために。
我慢する女もしない女も、どちらもたくましい。女は強いのだ。
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