お望みのもの
映画やテレビドラマは、多数の観客が「こういうのが見たかったんだ」というようなものを作ればヒットするわけだけれども、人々がどういうものを見たがっているかを把握するのはなかなか難しいらしい。
大いに楽しませてもらったTVドラマ「半沢直樹」の演出を手がけた福澤克雄氏は言う。
《視聴率稼ぐために、恋愛エピソードやらなんやら差し挟むのはやめ、女性に見てもらわなくてもいい(というのはちょっと失礼かもしれませんが)、日曜の夜、男性の方々に見てもらおうと割りきって作りました》
《ドラマを作るときは、恋愛要素を入れなくてはいけないとか、こういう人をキャスティングをしないと視聴率は取れないのだと、いわゆるセオリーを言われるんです。
けれど、言われたとおりにやっても、最近は視聴率が取れなくなってきている。
ならば、どうせ当たらないというスタンスで、言われていたことを全部無視して、自分が面白いと思うようにやりました。
恋愛もないし、主題歌もない。半沢直樹には寝間着を着て、妻や子どもとじゃれるシーンは不要です。
スーツを着てひたすら銀行で上司と闘う姿がつまらないと思うんだったら見なくてもいい、
というつもりで作ったからよかったんじゃないですか。》
→ http://dot.asahi.com/wa/2013092000028.html
《まったくの「想定外」でした。びっくりしています。僕らは最終回で20%を取ろうとしていたのです。
「半沢直樹」は、これまでのドラマ界の常識で考えると、登場人物に女性が少なく、
わかりやすく視聴率を取れるキャラクターもおらず、恋愛もないという「ないないづくし」。
それに銀行という“男”の世界が舞台です。
セオリーどおりなら、ドラマのメインターゲットと言われる女性は「見ない」ということになりますよね。
だから、当初は、12~13%から始めて、徐々に視聴率を上げて、最終回で20%。プロデューサーと「平均15%取りましょう!」と誓い合っていたくらいです。
でも、いざ、フタを開けてみたら、女性が見ていた。
テレビの常識がいかに適当だったか、マーケティングというものがいかにアテにならないか、ということでしょう。》 → http://news.livedoor.com/article/detail/7946083/
マーケティングはアテにならない、たしかにそう思うが、そもそもそういうものをやっているのだろうか。
「世間の雰囲気からしてトレンドはこの方向だろう」という勝手な思い込みでいろいろなものが作られているような気がする。
例えば服飾もそうである。
もし市場調査をちゃんとやっているなら、60代70代女性向けの洒落た服がもっともっと出回ってもいいはずだ。
どこのお店も若い世代向けの服が中心で、その中から中高年はなんとか選んでいるようだ。でもやっぱり60過ぎて短いスカートはおかしい。
かと言って高齢者向けのお店に行けば、お婆さん臭くて野暮ったいものばかりだ。
落ち着いた年齢にふさわしいお洒落な服をデザインし製作するのはそんなに難しいことなのだろうか。
同世代の女性から同じような不満を聞くことが多い。
超高級店に行けばお洒落な服があるのかもしれないけれど、私たちが求めるのはそんな高価で大げさなものではない。シンプルでいいのだ。
「上品で知的で女らしい」、服を選ぶ時の3要素だと、私の友人が言う。しかし手頃な値段でそういう服を探すのは至難の技だ。
「団塊世代を含む高齢者という巨大な市場」に服飾関係者はもちろん目をつけている。しかし彼らが提供する製品はピントがズレている、と私は思う。
「高齢者向けのお洒落服のファッションショーが開かれた」などというニュースを見ても、「あー、そういうんじゃないんだけどなァ」とがっかりすることが多い。
テレビドラマにしろ、着るものにしろ、人がどんなものを求めているのか、通り一遍の市場調査では現れてこないのだとしたら、思いがけない「大ヒット」は、たった一人の「目のつけどころ」によって生まれてくるのかもしれない。
かくなるうえは「日本の高齢女性にリーズナブルな価格で品良く装っていただく」、こういうコンセプトでブランドでも立ち上げてやろうか(笑)
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コメント
「半沢直樹」の高視聴率の原因、異色だったから、なのですかね~。
民放の9時代の連ドラは滅多に見ないのですが、話題につられて、ストーリーがなんだか、マンガチックと思いながら、全部ではありませんが、みましたもの。
自殺した親の仇討ちが根っこにあって、「倍返しだー」がキャッチフレーズ。判りやすいので日本人好みなのでしょうか。現代版「水戸黄門」なんだから、楽しめればいいんじゃない、とチャンネルを合わせたのでしょうね。
例えば、大和田常務、有能な銀行員だったら、長年連れ添っている妻に経営の才覚がないと判るだろうに、身を滅ぼすほど自分の資産をつぎ込んで、そんなにも好きだったのかしら?銀行員の目、価値観備わっているの?と横やり入れたくなる程。そんなイビツな価値観を持っている常務を、自分に忠実な懐刀にしておこうという頭取の甘さ。こんなにも視聴率とれるドラマになってしまって、銀行ってこんなものだと思われたら、、、、。現実の銀行員さんは、どう思うのかしら。
60代女性の洋服の件、同感です。素敵なブランド立ち上げてください。笑
投稿: 街中の案山子 | 2013年10月 2日 (水) 12時36分
★街中の案山子さん
>「半沢直樹」の高視聴率の原因、異色だったから、なのですかね~。<
やっぱり文句なしに面白かったのだと思います。視聴率を気にせず自分が作りたいドラマを作ったらこうなった、ということでしょう。
たしかに現実離れしていてマンガチックだと思いますが、真面目で現実に沿ったドラマがあってもいいし、こういうあり得ないものもあっていいですね。楽しませてくれるんですから。
ウチの娘は銀行勤めなんですが、面白がって熱心に見てましたし、職場の人達の間でもすごく盛り上がったそうです。あり得ないけど共感するところも大いにあったんでしょうね。
突っ込みどころは満載だけれど、突っ込む気になれない、と言いましょうか、いいからどんどんやってちょうだい、って感じ(笑)
>長年連れ添っている妻に経営の才覚がないと判るだろうに、<
たぶん美しい妻の尻に敷かれてたんじゃないでしょうか。そう思わせる場面ありましたよ。
>そんなイビツな価値観を持っている常務を、自分に忠実な懐刀にしておこうという頭取の甘さ<
確かに問題ありの人物だけれど、銀行にとっては、半沢直樹よりずっとためになる人材なんでしょうね。
正義を振りかざす半沢は始末が悪いけど、大和田常務の銀行員としての手腕は銀行にとって有利、という基本的な考え方をドラマ的に表現したんでしょうね。
>60代女性の洋服の件、同感です。素敵なブランド立ち上げてください。笑<
そうでしょそうでしょ?(笑)
でもちょっと真面目に考えると、上品でシンプルな服って生地が命なんですよね。
上等の生地だと結局高価になるし、ま、カジュアルウェアだったらなんとかなるでしょうか。
どっちにしても私には商才がありません・・・・
投稿: robita | 2013年10月 3日 (木) 11時33分