針のむしろ
猪瀬東京都知事の疑惑に対する総務委員会の集中審議は今日で打ち切りになりましたが、今度は百条委員会というものを設置してまだまだ追及は続くようです。
この問題について、ラジオでコメンテーターが「猪瀬さんは選挙に勝つのはほぼ確実だったし、印税も入るのでお金に困っているということはないと思うんだよね。何か脅されるとかで大金が必要だったのかなあ」と言っているのを聞いたのですが、作家の曽野綾子氏も同じようなことを思ったのかどうか、「現実と混同されては困る」とした上で、コラムで次のような「お話」を作っておられました。
産経新聞【透明な歳月の光】
《___前略___人から理由のない恩恵を受けるとき、そこには不気味な反対給付を期待されていると見るのが当然だ。それを反射的に感じない人は、政治家としての資質にも欠ける。
ただし恋のような理不尽な思いで好きになった相手に貸すのなら別だ。それこそ文学の世界の出番なのである。
公人でも、私的に5千万円を借りたいと思った理由はいくらでも考えられる。以下に述べる一例は、すべて私の小説家としての仮定だから、現実の都知事の実情と決して混同されないことを望む。
ある公人が同時に作家でもあるとする。公人としての生活を始める頃、突然別れたはずの昔の愛人が接触してきて、2人の間にできた子供が、たとえば一生治癒を期待できない難病であることを告げる。そのために5千万円を調達してほしいと言われたとする。
この場合の5千万円は確かに私的な目的で入用だったし、公人に妻がいれば秘密にしておきたい話である。その時たまたま身近に少し関係のあった企業家がいて、5千万円をご用立てしましょう、という。それがちょうど立候補するのを決意した日だった。小説なら作れる話である。》
この問題が起こった時、選挙ってお金がいるもの、立候補者は必死で金策に走るんだろうなあ、と思いましたが、当選する確率は高く、借りる必要もなかったとなると、いったい何にそんなにお金が必要だったのか。作家の曽野さんの「お話」を興味深く読みました。
《私の言いたいのはそこからだ。》と文章は続きます。
《公人になった後これが事件になった以上、その人は私的な部分でも作家の才能で詳細にわたって金の用途を説明すべきだろう。そのような捨て身の説明は、多くの場合「仕方がない。あの人も人間だ。責任を取ろうとして当然だ」と受け入れられるものだ。
公人になるというのは、そういう責任を負うことだ。それがいやなら、生涯作家でいればいいだけの話である。
明らかな犯罪は困るが、作家は初めから人格者であることなど求められていない。度外れの浪費、博打狂、色事、奇矯な振る舞い、過度の不潔や潔癖や吝嗇、などで鳴らした作家はいくらでもいた。人道的でなければ作家ではない、という昨今の幼稚な道徳観は文学を知らない人の言うことだ。だから作家はポストのある公人になるのは不適格で、なれば魂の自由を失う、と私は思う。
作家が公人になると、私的生活も部分的に侵害される。私が今の都知事なら、腹を据えて「金は女にやりました」「博打ですりました」と言ってしまうが、私は票を失う恐怖を知らないからできると思うのだろう。都知事が作家だけでいれば、借金の出所を追及するのは税務署だけで済んだ話だ。》
居丈高に詰問する議員たちと、あくまでもなんとか切り抜けようとする都知事との攻防戦はいつ終わるのでしょうか。
「この5千万円のおかげで、都政が停滞してるんですよ!」と声を荒げる議員。
それなら追及はもう終わりにすればいいのに、と思いますが、疑惑は追及しないわけにもいかず猪瀬さんが辞めると言うまでやるんでしょう。
結局辞めることになるんなら、早いほうがよかったのに。
正直こそ最善の策、と改めて思います。
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コメント
私の妄想は、
選挙の少し前、夫人が死病でありあと半年の命と医師に告げられる。二人三脚でやってきたのだから混乱し、不安で一杯になる。周囲には夫人のことを相談するわけにもいかずますます不安が増大する。
石原さんは突然、オリンピック選考が佳境に入るときだというのに都政を投げ出し、いつのまにか知事選レースを走ることに。これまで選挙を戦ったこともなく、夫人に心配をかけることもできず、ますます不安に。そこにお金を用立てようという人が現れる。選挙は当選間違いないと言われていても万一落選すると夫人にはストレスになるからどうしても避けたい。政治には素人だし藁をもすがりたい気分で、混乱のまま、手にしてしまった。しかし混乱しているから無我夢中で途中経過も覚えていない。その後夫人の状態が悪化し、知事選、看病、オリンピックと目が回るような毎日に追いまくられ、追求されても良く覚えていないから答えようがない。というものです。
実は、夫人が亡くなり、オリンピック開催も勝ち取り、猪瀬知事は下手をすると自殺するのではないかと心配しています。たかが5千万、といえば怒られるでしょうが…。ブレーンのつもりの副知事だったのではないかと思え、素人だからぼろぼろなだけじゃないかなと思えるのです。
投稿: さなえ | 2013年12月18日 (水) 11時52分
★さなえさん
なるほど。おおいにあり得る話ですね。あのご夫婦は一心同体だったそうですから。
審議では、どのカバンに入れたのだとか、家に直行したのかとか、帯封はどんなだったかとか、あまり意味のないことを質問しているように思えます。
最近のことでも記憶違いや覚えていないというのはよくあることで、「こんな大金に関わることを忘れるのはおかしい」というのは当たらないんじゃないかと思います。むしろ大金を扱うことで緊張し、かえって周辺状況が頭に入らないといったことはたしかにある、と地域活動の会計を預かっている身として感じています。
「まいりました」と言わせるまで追及するのでしょう。
猪瀬さんは都の職員にあまり好かれていないし、議会はみんな敵で、良いブレーンもいないそうです(週刊誌に書いてありました)
孤立無援なのは高圧的な態度のせいかもしれませんが、それも内面の弱さの裏返しなのかもしれませんね。
>石原さんは突然、オリンピック選考が佳境に入るときだというのに都政を投げ出し<
石原さんは4期目は出ないと言っていましたね。ずいぶん年を取って疲れたように見えました。もうおじいさんだからやめたほうがいいと私も思っていました。でもやはり出ることになったのは東国原さんが立候補したからなんじゃないでしょうか。この人物を都知事にしてはならない、と。
4期目の途中で都知事をやめて橋下さんと連携して日本のために立ち上がった時は、高齢なのによく頑張るなあと応援する気持ちがありました。
でも、その後はダメですね。
ガチガチの保守のおじいさん連中を引き連れて維新の会に入った時は「石原さんただの頑迷な年寄りになっちゃった」と思いました。
評論家が「誰か(猪瀬さんの首に)鈴をつける人はいないのか」と言っていましたが、その役割は石原さんじゃないかと思います。でも徳洲会を紹介したのは石原さんかもしれないから、関わりたくないのかもしれません。
こういう時こそ身を捨てて自分の役割を果たせば、かっこいいおじいさんになるのになあと思います。
投稿: robita | 2013年12月18日 (水) 14時29分
さなえさんの
「これまで選挙を戦ったこともなく、夫人に心配をかけることもできず、ますます不安に。」は当らないと思います。だって、事情を話して断っても、一向に差し支えなかったはずです。彼にとっては、思ってもみなかった「降って湧いたチャンス」に思えたと思います。
robitaさんは猪瀬氏のことを何度か
「高圧的な態度」と表現していますが、私にはそうは映らないのです。鬼が島に鬼退治に行って、がんばって悪を見つけ出した気分。きちんと調べ上げましたよ(有益な仕事をしましたよ)的な気持ちが、あんな喋り方になっているのではないでしょうか。背が低くて、大きいものには負けてはなるまい、という気概を長らく持ち続けてきたのも影響しているかも。そして、正しい意見を言う猪瀬氏だから、そうあれたのです。
だから、お金に目がくらむ、どこにでもいる人になった猪瀬氏は退場しないと、彼の、不正をチェックすることで役割を果たしてきたこれまではなんだったのか、になると思うのです。
投稿: 街中の案山子 | 2013年12月18日 (水) 16時15分
robotaさん、ごめんなさい、ちょっと返事をさせて下さい。
街中の案山子さんの>事情を話して、ですが、
夫人が生死を分ける病気だと分かっていると(私の妄想ですが)、話せないと思うのです。選挙というのは非常なストレスですし夫人が大きな役割を果たすことが求められます。夫人の病気を誰にも話せないとしたら、その上初めての選挙ですから、考えるだけで大変だったでしょうね。
ただ、彼がやったと言われていることが本当なら良いはずはないですが、集団リンチのように見えてしまい、彼を引きずり下ろすことが利益となる集団があるのかもという気分になってしまっています。
投稿: さなえ | 2013年12月18日 (水) 17時31分
★街中の案山子さん
高圧的というか、彼は昔からよくテレビなどに出て討論したりしてましたが態度が「偉そう」なんですね。
私などはそんなこと気にならないのですが、それを快く思わない人たちは少なくないのではないでしょうか。そういう態度についての批判をよく耳にしましたから。
今、東電病院の売却に関する収賄の疑いも出てきましたね。猪瀬さんはそういうことを批判してきた人だから、やはり何か裏の事情があるのかなと思ってしまいます。
さなえさんの仰るように、猪瀬さんを失脚させたい勢力があるのかもしれません。
投稿: robita | 2013年12月18日 (水) 22時54分
オリンピックが決まった後の週刊朝日の対談で、奥様とのいきさつ、直前になくなられたことなど知りました。
団塊の世代などにみられる二人三脚で人生を送ってこられたタイプだったんだ、と思っていました。だからパートナーの輝かしい活躍を何よりも喜ばれたはず。そして、今回も、一番相談したかったのは、亡き妻だったろうな、と勝手に私も、妄想(笑)していました。
近頃、整形外科の診察待ちで新潮だか文春の記事も読み流したり(ひどい根掘り葉掘り書くもんだと。有名人になるって大変ですね)。
2人を引き合わせたのは新右翼の人とのこと。なんだか、その誘いに乗ったのが、魔が差したというのか、落とし穴だったように思います。
発覚のあとの対応が残念でした。
今朝の朝刊で、本日辞任と。
東京都は一国に匹敵する人と財政を動かしていく役割です。「さすが」という人を選らんで欲しいものです。
投稿: 街中の案山子 | 2013年12月19日 (木) 07時02分
★街中の案山子さん
都議会からは解放されても、告発状が出ているので検察の取り調べが待っているんでしょうね。
猪瀬さんが賄賂を受け取ったなんてどうも信じられませんね。政治家になるということは何か感覚がおかしくなるということなのだろうかと思ってしまいます。
>東京都は一国に匹敵する人と財政を動かしていく役割です。「さすが」という人を選らんで欲しいものです。<
さっそく候補が何人か並べられていますね。
私は都民じゃないけど「あの人だけはイヤ」という人、約1名います
「何も政治家じゃなくても民間の経済人でもいいじゃないですか。若い人で」とラジオで言ってるジャーナリストがいました。と言われても思い浮かびませんけど。
投稿: robita | 2013年12月19日 (木) 21時37分