今夜はお鍋
寒風の中、「プゥ~~プ~」と昔ながらのラッパの音をスピーカーで流しながら移動豆腐屋さんが通りました。
子供時代、買いにやらされた頃の癖が出て、ボゥルを持って飛び出しましたが、あ、そうか、近頃は個人商店でもパック詰めだったと思い出しました。
スーパーより高いけれど、お豆腐の他、厚揚げにがんもどき、それに「豆腐だけじゃやっていけないんで」というお豆腐屋さんの勧める豆乳ラーメンなどを買いました。
機械で作るスーパーのお豆腐はとても安くて、個人商店はとても太刀打ちできず、廃業が相次いでいると聞きます。
ぎりぎりまで価格を下げてもなお売れないので、このように車に積んで住宅街に売りに出るという努力をしているお豆腐屋さんもいますが、状況は厳しいようです。
個人商店のこのような窮状をもって、「規制緩和がいけない」などと言われますが、大型スーパーが人々にとって便利なものとして利用されているのは時代の流れ、人間社会の要請としてあるのですから、どうしようもない成り行きとも言えます。
安売り可能な大型店舗ができないような規制をかければ済む問題でもないのではないかと思います。
社会のあるべき姿は国が主導して決めるんだ、という考えであるならば、色々なところに規制をかけ、コントロールするのもありでしょうが、国民はそもそも国の干渉を嫌います。
安いものばかり求める消費者の意識の問題もあるでしょうが、少ない収入でやりくりしなければならない人々にとっては、商品が安く手に入るのは有難いことです。
「少々高くても手作りのおいしいお豆腐を食べたい」と考えるだけの余裕のある人が増えればいいのですね。
バブルのころはきっと大勢の人がそういう気持ちになったのでしょう。投機によってふくれあがったバブル経済という現象自体は異常ではありますが、好景気が人々に幸福をもたらすことは確かです。
お金を遣っておいしいものを食べたり、服を新調して出かけようとする意欲も出てくるし、ものが売れて給料も上がり、個人商店の職人技も守ることができる、みんなにとって良いことです。
去年、日本テレビ「世界一受けたい授業」という番組で、俳優の武田鉄矢氏が講師を務める授業を見たのですが、ある寓話を紹介してとても良いお話をしてくれました。
わりとよく知られた寓話ですが:
「あるところにたいそうけちんぼうの男がいました。この男は金(きん)が大好きで、金塊を土の中に埋め、毎日のように掘り返してそこに金塊があるのを確認するのを無上の喜びとしていました。
ある日いつものように埋めた場所へ行くと、誰かに掘り起こされ、金塊は盗まれていました。男は当然怒りが収まりませんが、通りかかった人が『そこに石ころを入れて埋め戻せばいい。使わないで埋めておくだけなら同じことでしょう』と言いました。」
というものです。
キラキラ輝く金を眺めることで精神の安定が保たれる、ということなら、この男個人にとっては意味のあることかもしれませんが、社会全体にとっては何の意味もないどころか損失となります。
「お金持ちというのは、お金を持っている人ではなく、お金を遣う人のことなんです」と武田先生は結びました。
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資本主義の行き詰まりを予感し、「景気が良くなりさえすれば良い、という価値観はもう古い」と力説する人々も見られます。
私もこんな記事を書いたことがあります。→ 「価値観の転換は起こるか」
たしかに、「物質的豊かさだけが人を幸せにするのではない」というのは事実ですが、そういうことはいつの時代にも何かにつけて言われてきたことであります。
それは人類の大きな転換点などというものでも何でもなく、歴史の流れの中で周期的にあらわれる単なる時代的現象なのだと思います。
どんなに年月が経とうが、人類の価値観が大きく転換して神への道を歩むようになることなどないでしょう。 参考記事: 「究極の愛」
生物はそもそも「生き残ろう」、加えて人類においては「より豊かになろう」という欲望を備えていることに生存の意義があるわけですから。
日本の景気が良くなりますように。
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コメント
毎日寒いですね。
移動豆腐屋さんなんて、超珍しい!
「個人商店はとても太刀打ちできず、廃業が相次いでいると聞きます。」
↑
育った家の斜め向かいが豆腐屋さんでした。朝暗いうちから豆を煮る竈の煙突から煙が上っていました。
大量生産の豆腐に押されて廃業せざるを得ないという事業主の話を母から聞いたのは、もう40年ほど前です。まだ残っている個人豆腐屋さんはレアものですよ。きっと。
先月、初めてコンニャクを作ってみましたが、美味しかった~。だからといって手作りコンニャクが事業として成り立つってわけでもないでしょうからね。苦笑
お隣に出来立てのまだ暖かいコンニャクをお裾分けしたら、「○さん、ガレージ前に並べて売れば、私は買う」といわれました(アッハハ)。
チャンスはどこにでもあるのでしょうが、掴もうとしていない、のかも。
雑コメントで失礼。
投稿: 街中の案山子 | 2014年1月13日 (月) 09時10分
★街中の案山子さん
はい、寒いですね~。風邪にはお互い気をつけましょう
二回目に来た時、茨城の豆腐屋と言ってましたが、もらったチラシには「静岡工場」なんて書いてあるし、売りに来た若い人は従業員のようです。
工場で作ったものでも丁寧に手をかけて作っているのかもしれませんが、手作りと称して高めに売っているのかもしれないし、よくわかりませんね。
厚揚げやがんもどきはおいしいと思いましたが、豆腐好きの娘は「豆の味がそんなに濃厚じゃない」なんて言うんですよ
コンニャクのガレージセール、いいですね~。
以前テレビで、週末ハウスを持つご夫婦がそこで野菜を栽培し、都会の自宅に持ち帰って玄関先でご近所に安く販売しているのを見たことがあります。そんな風にできたら面白いですね。
お豆腐を作るのは水が冷たくて大変そうですが、コンニャクはどうですか。
投稿: robita | 2014年1月13日 (月) 22時30分