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2014年5月13日 (火)

「美味しんぼ」と「そばもん」

漫画誌「ビッグコミックスピリッツ」に連載されている「美味しんぼ」(雁屋哲)が福島の風評被害を助長しているというので批判されていますね。
福島では鼻血を出す人が多く、それは原発事故による被曝のせいだというものです。

作者は「2年にわたって綿密に取材した上での作品だ。真実を書いてなぜ批判されなければならないのか」と怒っているようですが、どうも個人的な思い込みの感が否めません。

一方、同じ小学館の「ビッグコミック」に連載されている山本おさむ氏の「そばもん」では、放射能や福島の農産品の安全性についてとても知的で冷静な表現がされています。

2作品を対比させて文章を書いてみようと思っていたところ、今日のニッポン放送「ザ・ボイス そこまで言うか」で、ちょうど評論家宮崎哲弥氏がその漫画を紹介していました。

前号(5/10号)と今号(5/25号)の2号にわたっていますが、新しいほうはまだ店頭にあるかもしれません。

我々は日常的に放射線に曝されている。
福島の避難指定地域より線量の高い地域は日本全国珍しくない。
花崗岩は放射線を出すがそれはいたるところに使用されている。
飛行機に乗っても放射線は浴びる。
そもそも1945年以降米中ソの核実験の盛んだった頃、日本人は放射性物質が含まれた食物を気にせず食べていた。
・・・・・

等々、今までさんざん言われてきたことですが、数字も示してわかりやすく描かれています。

そして、厳格な放射能検査を行って安全性の高いものしか流通させていないにもかかわらず、偏見がなくなることはなく、福島産の農作物はなかなか買ってもらえない実情を紹介しています。

主人公のそば職人は「国土を汚した事故を許す気はないし、放射能は怖い。だが福島産をそのスケープゴートにするべきではないと思っている」と訴えます。

「美味しんぼ」のほうは読んではいませんが、根拠がはっきりしない政治的主張のようで、プロパガンダ色が強そうです。

雁屋氏はこれまでも作品の中で「日本は朝鮮人を強制連行して奴隷のように働かせた」という描写などもしているそうで、反日思想を持っている人と評されているようです。

それで思い出したのですが、山本おさむ氏の「天上の弦」という作品での戦時中の朝鮮人と日本人の描き方はそれとはずいぶん違うなと思いました。
差別もあったけれど温かい交流にも支えられて原作者の在日韓国人陳昌鉉氏が日本で苦学しながらヴァイオリン職人になっていく様子が描かれています。

山本氏は護憲活動をしているそうでスタンスとしては左派なのでしょうが、公平で冷静な人だということがわかります。

翻って福島県を貶めてまで自分の政治的主張を通そうとする雁屋氏の態度には不快感を持ってしまいます。

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関連記事: 「追悼 小松左京様」  「noisy minority」 
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2014年5月 6日 (火)

懐かしき「愛ルケ」

作家の渡辺淳一氏がお亡くなりになりました。

氏の小説はほとんど読んだことはないのですが、10年近く前に渡辺氏について書いたことがあります。→「愛の流刑地」

記事中で紹介したにっけいさんのブログは今は休止中のようですが、非常に面白く毎回楽しみに読んでいたことを思い出しました。

そのブログが評判を呼んで渡辺氏の知るところとなり、サイン会で言葉を交わされたとか、たしかブログにコメントされたこともあったような気がします。

ただ、大作家という評価は若い頃にお書きになった医療ものや歴史ものに関してだけなのかなと思います。
「愛の流刑地」はポルノ小説のようだし、最近まで週刊新潮に連載されていたエッセイは内容が陳腐で文体も素人の私でも「これはヘタなのではないか」と思うようなものでした。

また、よくテレビに出ては、どんなに年を取っても恋愛を忘れてはいけないと力説しておられましたが、かなり独善的と感じました。
お年寄りが性愛に執着するのは如何なものかと感じる人のほうが世の中多いのではないかと思います。

そういう意見を一刀両断、「そういうことを言ってるからいけないんだ。気に入った女性がいればあきらめずに何回でも誘ってみなさい」と仰るのですが、なんだかストーカー行為を助長するような発言ですよね。
ちかごろ高齢者の色ボケがよく問題になりますが、渡辺氏の煽りもその原因のひとつなのではなかろうか。

以前テレビ朝日の「サンデープロジェクト」でサブキャスターの小川彩佳アナウンサーが渡辺氏にインタビューしていて、「それは不倫ですよね。奥様はどう思われるのでしょうか」と少し言いにくそうに質問していました。
若い女性らしい潔癖さ、いや、若い女性でなくても当然の疑問だと思いましたが、渡辺氏は明らかにムッとした様子で、ちゃんとした返答をしなかったように記憶しています。
「野暮な質問するな」ということなのでしょうか。
でもあれだけおおっぴらに不倫のススメをあちらこちらでふりまいているのだから、きちんとした回答を持っているべきではないかと私は今でも思います。男女の問題に「きちんとした回答」などないんでしょうかね。よくわかりません。

それでも、訃報を受けて、いろいろな著名人が思い出を語り、多くの人に慕われていたのを見ると、最後のエロ爺さんの時期はさておき身近な人々にとって渡辺氏はきっと人間的魅力に溢れた人物だったのでしょう。

合掌。

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関連記事: 「淳一先生の言い分」   

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2014年5月 3日 (土)

憲法記念日に思ったⅡ

野党結集とか政界再編とか、どれだけ長い間叫ばれ続け、政党の離合集散が繰り返されてきたことでしょう。

単独政権とはいかないものの自民党はほとんどいつも日本の政治を担っているし、国民のほうもやっぱりベテラン自民党の安定感は他のどの政党にも優るとわかったのでしょう、自民党が大きく分裂することはありません。

自民党が壊れてしまってはこの国が立ち行かなくなるような気もします。

けれども、古いしがらみをがっちり抱え込んだ政治家や、引退してなお政界に強い影響力を及ぼす自民党守旧勢力はしっかりと残り続け、それが新産業の成長を阻害していると主張する「改革派」の言い分ももっともです。

先日BSフジ「プライムニュース」に結いの党代表江田憲司氏が出演し政界再編について語っていました。

江田氏は官僚出身で、その経験から脱しがらみ・脱官僚政治を唱え続けています。

国のしくみを変えなければならない、という維新の橋下代表と共通する方向性は間違っていないとは思うものの、何か今ひとつインパクトに欠けるように思います。

江田氏は歴史や領土や教育にあまり関心がないように見えます。

日本経済の発展のために今の枠組みを大きく変えなくてはならないという主張には同意しますが、実務的というのでしょうか、どこか機械的、もっと言えば無機質とさえ感じられるのです。

中国や韓国の誹謗中傷には逆らわなければ丸く収まる、靖国参拝なんかしなきゃいい、という風にも見える態度は何も江田氏にかぎりませんが、国の歴史はそんなに軽く扱うべき問題ではないと私は思うのです。

番組の中で江田氏は、自主憲法の制定(現憲法破棄)には反対で、誇りある国家という文言に「手垢のついたイデオロギー」などと切って捨てるような言い方をしました。

しかし、わずか1週間で仮設住宅のように占領軍に作ってもらった憲法を70年も引きずったままで日本人は国際社会で堂々たる姿勢を保つことができるのでしょうか。

国家の根幹である憲法を自主的に作れていないことが、いじめられやすい国柄を作ってしまっているのではないでしょうか。

過去の記事で私は次のように書きました。

≪憲法9条を持っているだけで世界が平和になるわけでないことはわかるのですが、一方で、9条をそのまま持ち続けて、今までどおり自衛隊海外派遣に際してごたごたを未来にわたって続けていったとしても日本の国益としてはあまり変わらないのかな、という気はします。
しかし、問題はそういうあいまいな国家に生まれ育つ子供たちの精神の支柱のようなものがどうなるのかということだと思います。
国民一人々が国家という共同体の一員である、ということ、そして日本という国も国際社会という共同体の一員である、ということを自覚し、国際社会でそれなりの態度を取ることがこれからの子供たちに求められるのではないかと思います。

≪態度のはっきりしないふわふわした国に育つ子供たちというのはいったいどういうことになるのか。家庭内で、あるいは国内だけでありきたりの道徳だけ教えていれば人作りはそれで済む、という話ではないと思います。

つまり、国が自主性を持たないと、日本を担うことになる子供たちが大人になってもやっぱり防衛や国際協力に関してああでもないこうでもないと優柔不断の態度をとり続けるだけではないか、それは国際社会の一員として発言力を持たないというに等しい、ということではないでしょうか。≫

日本は間に合わせの土台を70年も使い続けているのです。
それでも平和で豊かになったんだからいいじゃないか、という考え方は日本人から大事なものを奪っているような気がしてなりません。

このように国のしくみが老朽化した時に、なぜ、なかなか建て直しをすることができないのか。

「改革しなければ」と言われ続けて20年以上たってもなぜそれができないのか。

決定的に欠けているものがあるのではないでしょうか。

国民に豊かさと安定を提供するのが政治の仕事ではありますが、そのことにのみ専念してきたこの70年の歳月が、老朽化した国のしくみを変えることができない原因となっているのではないでしょうか。

番組で「照らされて光る惑星ではなく自ら光を放つ恒星にならなければいけない」と評論家の伊藤惇夫氏にアドバイスされた江田氏は大きくうなずいていましたが「自ら光る恒星」とは、どういうものか。

「統治機構を変える」ということはたしかに日本の再生のために必要なことだと思います。

だから私は同様の主張をする維新の会と合流し、同じ志を持つ政治家が結集し、自民党も巻き込んで大きな改革への道が開かれることをぜひ応援したい。

しかし「統治機構を変える」「政治のしくみを変える」、そのことだけを言い募る政党が光り輝くのではないと思うのです。

国民の心を動かし、国を良く変えようという気持ちを喚起できる政治家こそが光りを放つのだと思います。

自国の歴史への理解や日本国民としての誇りこそ、「国の形を変える」ムーブメントになり得るのではないでしょうか。

それはイデオロギーなのでしょうか。私はそうは思わない。生まれ育った国への愛情や、公の精神が、イデオロギーによるものだなどとなぜ思うのでしょうか。

むしろ「手垢のついたイデオロギー」と決め付けるその頭の固さこそが問題なのではないでしょうか。

たしかに過激な右翼イデオロギーに凝り固まった人々はこの国にいます。しかしそういった困った人々の言動にとらわれないでほしいのです。

たまたま見ていたテレビに映った江田氏の言葉を聴いていて思ったことなので、別に江田氏がどうのという話ではありません。

そのタイプの政治家は党を問わずたくさんいると思います。

惜しい。実に惜しい。国を良くしようという気持ちがあるのに、その志が生き生きと私たちに迫って来ない。

独立自尊の気概を持ちながら現実的な政治を行うというのは決して不可能なことではないと思います。どこの国もやっていることじゃないでしょうか。

「自民党のやり方ではだめだ、しがらみがあるからだめなんだ」と、これまでもどれだけ多くの人々が政治を変えようと同じような試みを繰り返してきたか。

なぜことごとく失敗するのか。なぜ国民の共感を得られないのか。
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なぜ安倍政権の支持率が高いのか。単に景気が少し上向いてきた、それだけではないと思います。

「ああ、やっと普通に物言う総理が出てきた」と、以前の記事にコメントをしてくださった方がいましたが、そのように思った国民は多いはずです。

「誇り」や「公の精神」はイデオロギーなどではありません。

国民自身に国を想う気持ちがなければ政界再編も改革も成功するはずがありません。

愛国心を何か悪いものであるかのように思い込んでいるかぎりは、どんなに政界工作に励んでもいつものように徒労に終わるでしょう。私はそう思います。

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 去年の「憲法記念日に思った」 

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2014年5月 2日 (金)

Google vs. 太っ腹資産家

≪11年末から、東大助教であった中西雄飛氏と浦田氏がヒト型ロボットの商業化に向け、ベンチャーの設立を検討。12年4月にDARPAのコンテスト開催が発表されたことを受け、まずはそのロボット開発に向けて、12年5月にシャフトを設立したのだ。
 
そのシャフトがいきなりコンテストに優勝したことで日本の技術力の高さを見せつけた反面、大きな課題も浮き彫りになった。実は、米検索大手グーグルがすでにシャフトを買収していたのだ。≫

昨日、ラジオで評論家山田五郎氏が「こんなすごい技術を、なにグーグルなんかに買収されちゃってんの!」と無念の声をあげていたので、記事を探してみました。→週刊ダイヤモンド http://diamond.jp/articles/-/47246

災害地での危険作業を人間の代わりに行ってくれる二足歩行のロボットを開発した東京大学発ベンチャー企業「シャフト」が日本では資金提供を受けられず、やむなくGoogleに身を寄せたというのです。

「『おもしろい技術だね』とは言ってくれるが、」

「本当は日本で資金調達したかった」

誰しもリスクは回避したいものですから仕方がないことかもしれません。

Googleのようにお金がたくさんある企業ならば「おもしろい技術」に投資するのは簡単なことでしょう。

百田尚樹「海賊と呼ばれた男」では、まだ海のものとも山のものともわからない若き事業家に莫大な資金提供をする資産家が登場します。

「こんなにしてもらってもいいのか」と恐縮する若者に、「失敗したら二人で乞食をやろうやないか」と資産家は励ますのです。

今の日本にも途方もないお金持ちはたくさんいると思うんですけど、だめなのかなあ。

どのくらいの資金があれば日本で事業展開できるのかしら。

この間テレビで、アフィリエイトとかデイトレイドで稼ぎ、何十億という資産を築いた主婦や若い男性が紹介されていたけれども、資産の中から少しそういう投資にまわせないものかなあと思いました。

お掃除道具の開発で「10億どころじゃない」資産を形成したという女優さん、技術流出を防ぐために2・3億ばかりポンと出したらかっこいいと思います。

そうは言ってもよくわからない事業につぎ込んで資産を失うのは誰だっていやですもんねえ。

国がなんとかできるものではないのでしょうか。

それともこれは国境を取っ払うことを目的としたGoogleの世界制覇の過程に現れた一つの事象に過ぎないのでしょうかね。

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