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2015年10月19日 (月)

プロ彼女考

このところ芸能人の結婚が続いていて芸能界は「結婚ラッシュ」なのだそうです。

芸能人同士の結婚も多いですが、男性芸能人の結婚相手が「一般女性」と発表されることがありますよね。

芸能界と一般女性との接点がそう多いとは思えませんが、ちょっと前にテレビのバラエティ番組「ホンマでっか」で、ウソかホントか「プロ彼女」と表現される女性たちの生態を垣間見ることができました。

この番組は、色々な分野の学者や評論家による社会的事象の分析と、それらに面白おかしく突っ込む芸能タレントたちのトークで成り立っています。

なにより番組全体を盛り上げ、爆笑のオチに導く司会の明石家さんまの話術が見事です。

で、芸能人とお付き合い可能な「一般女性」の話なのですが、彼女らは過去に読者モデルなどの経験がある女性が多いそうで、そういう関係で華やかな世界ともつながりがあり、芸能人の集まるパーティーなどの情報も手に入れやすいと思われます。

番組では、4人の女性評論家たちが、プロ彼女の行動を事細かに説明します。こちらにその様子が → http://tv-mania.jp/?p=3457

 

しかし、そのしたたかとも言える彼女たちの周到さに、最初は驚いていた出演者たち、特に男性は、聞いているうちにプロ彼女を「素晴らしい」と絶賛し始めるのです。

女性評論家たちは、「策略をめぐらせて大物をゲットしようとする腹黒い女たち」という視点で、このプロ彼女なる女性たちを槍玉に挙げてみんなで高揚感を共有しようとしていたつもりだったのに、さんまさんにこう言われてしまいます。「男のために専業主婦めざして料理の腕を磨き、家事に励み、いつも綺麗でいること、上品にふるまうことを心がけてる女性の何が悪いねん。ええやないか。あんたらも少しは見習えや」

マツコ・デラックスさんに至っては、「それってさあ、普通に会社で働いてても同じことやるじゃない。情報を集めて相手に気に入られるよういろいろ画策して契約取ったりするわけでしょ。おんなじよ~」と指摘するのです。

結局、女性評論家たちの最初の意気込みはしぼんでしまいながらも爆笑のうちに番組は終わりました。

専業主婦の座を射止めるために努力する女性をあっぱれと褒めたたえる、これが男性一般の本音なのか、それとも生活力のある男性ならではの特権なのか、それとも、あの番組内での冗談として済ませられることにすぎないのか、それは定かではありませんし、日本人の意識が特殊だとか欧米に比べて遅れているとか批判するのは簡単ですが、社会的建前と生身の人間の本能的欲求が裏腹なのは人間社会の常でしょう。

嘗ては勤め人家庭において普通だった専業主婦は今では夢のまた夢です。

今の女性には想像もつかないことだと思うのですが、昔の女性の結婚に至る過程って、程度の違いこそあれ、「プロ彼女」に通じるものがあったなあと思います。

嫁として子供を産み育て家庭を守るという期待をかけられたし、娘たちはそんなことに反発などしなかった。

それは一見、「無私」のようにも見えるのですが、結局は無意識ながらも自分の生存のためであり、幸福追求の一つの手段であったと思います。

「自立した人間同士で共に生きていきたい」という現代女性の真っ正直な姿勢とはまったく違った結婚観を、嘗ての女性は持っていました。

もちろんもちろん「私はそうじゃなかった。精神的にも経済的にも自立していて男女対等な立場で結婚を考えていた」という年配女性も少なからずいるでしょう。

しかしお見合い結婚のほうが多かった時代には、年頃になれば女性の自立よりとにかく結婚相手を探すのが至上目的であった、というのは事実だったと思います。

なにはともあれ専業主婦おおいにありの時代でした。

 <続く>

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