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2016年2月 9日 (火)

マドンナたち

漫画雑誌「ビッグコミックオリジナル」に連載されている「フルーツ宅配便」という漫画、デリバリーヘルスの経営に携わる男たちとそこで働く女たちの悲喜こもごもの物語なのだが、これがなかなかおもしろい。

女たちはそれぞれに源氏名として果物の名前をつけてもらい、男子従業員の送迎で客のところに派遣される。

デリヘルという風俗形態は法律に触れないから成立しているのだろうが、きっちり法を守るということがされていない場合でも、警察は大方黙認しているらしい。まあそんなものだろう。

デリヘル「フルーツ宅配便」はとても良心的な店で、経営者の男気や従業員の素朴さには好感が持て、女たちは様々な事情を抱えながらも商売と割りきって稼ぐ。
売春にまとわり付く暗さがほとんど感じられず、粛々とした仕事ぶりに、こんな雰囲気なら応援したいという気持ちにもなる。
実際の風俗営業はこんなほのぼのしたものではないだろうが、舞台が地方ということもあって、もしかしたら東京などとは違う雰囲気があるのかもしれないなと思う。

昔、「哀愁」という映画を見た。
第一次世界大戦中、ヴィヴィアン・リー演じるバレー団の踊り子が貧しさのために娼婦に身を落とすという物語だった。
私はこの映画を最初に見たのはなんと小学生の時だった。姉の通っていた女子校の学園祭に遊びに行った時、講堂で上映されていたのだ。
映画の内容がよくわからなかったということだけは覚えている。主人公が何を悩んでいたのかを知ったのはずっと後のことだ。

体を売る女性を描いた映画を中学生も通う女子校の学園祭で上映したのはあの時代としてはなかなか大胆ではないかと思えるのだが、誰の企画によるものだったのだろうか。
貞操教育とか、いろいろな事情で娼婦に身を落とすことを余儀なくされる女性たちへの理解だとか、そんな思惑も働いて学校側が許可したのか、それはわからない。
大人になって見た時に、胸が締め付けられるような悲しい物語だったことを知った。

シャーリー・マクレーン主演の「スウィート・チャリティ」というミュージカル映画も印象に残っている。これも泣ける物語だった。
ブロードウェイのオリジナル版では主人公は娼婦だったのだが、映画ではキャバレーの踊り子ということになっている。これは「娼婦」でなければしっくりこないストーリー展開ではないだろうか。

(因みにこの中でサミー・デイヴィスJr.の"The Rhythm of Life"という歌とダンスが私は大好きだった)

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おそらく世界中で、貧しさから12・3歳の少女が業者に売られ、わけのわからないままに娼館で働かされるという悲惨な歴史がある。
生業として自らその職業を選んだ女性もいる。
女性の人権の観点から日本で売春防止法が制定されるにあたって、生活の手立てを失う売春婦たちが法制反対運動を起こしたという事実もある。

時代と共にいろいろな法律もできたし、女性の境遇も価値観も変わり、意に反して身を売られるということもなくなった。

「フルーツ宅配便」のような業者が本当に存在するのかどうかわからないが、様々な売春の形があるのだろう。みんな頑張れ。
人間が存在する限り、世に売春の種は尽きまじ。

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コメント

さまざまな選択があるだろうけれど、売春している人たちを、頑張れ、とは言えません。
19世紀の社会、レ・ミゼラブルも貧しさから娼婦にというストーリーでしたね。
今も、残念ながら…、かもしれないけれど、「その選択間違っているよ」と言いたいものです。
福祉の窓口につながることができたら、生活苦からの売春は避けれるはずです。
浪費に追われて、というパターンは、考え方から見直さないと立ち上がれないでしょうけれど。
そんな生活、瞬く間に身も心も消耗してしまうのに。
漫画のテーマは読者が満足するように書いているでしょうけれどね。
このコメントを読んでいる人に、そんな生活から抜け出したいと思っている人、あるいは、そんな知り合いがいたら、役所の相談窓口を訪ねてください。絶対方法はあります。
手配師は、それが稼ぎ口だから、抜ける手立てを教えてくれません。
robitaさん、私は、以上のように考えます。

投稿: 案山子 | 2016年2月16日 (火) 15時03分

★案山子さん

仰ることは女性の立場で考えればその通りです。
他方から見れば必要悪でもあります。女性に不自由する男性のための慰安です。
で、その「悪」のために女性だけが傷つけられるのはあまりにも理不尽、なのであれば、どういうものが考えられますか。
専用の精巧なアンドロイドの開発、でしょうか? 私はそれが良いと思う。

いずれにしても、日本人は元々淡白で特に最近はセックスに興味のない人が増えているそうなので、売春がなくなっても困る男性はそう多くはないかもしれません。
一部の本当に不自由な男性(障害者を含む)のために、そういう公序良俗に反するものを残す必要はないですね。
ただ、本当になくなった時何が起きるか。
売春業者は、今は警察のお目こぼしを受けながら緩い環境で商売を成り立たせているのでしょうが、それがなくなった時、暴力団がそういう商売を闇で支配してもっと厄介なことになりそうだという話です。需要があるかどうかで起こることだと思いますが。
働き手の女性がいなくなればそういう商売は成り立たなくなるかもしれませんが、彼らは外国からでもいろんな手段で連れてくるんじゃないでしょうか。
それを想像すると、漫画の話はなんだか童話のようでほのぼの感があるな、と。
そんな安易な話にするから悲惨さが隠されてしまうんだという案山子さんのお気持ちはよくわかりますし、生活苦と無知から仕方なくそういう職業に付いている人には当然救いの手を差し伸べるべきだと思います。

でも、この世から売春をなくすかどうかの話は一筋縄ではいかないと思います。
好きでその職業についている女性たちやありがたく利用している男性たちに「頑張れ」とでも言うしかないなというつもりで書きました。
男性の性についてよくわからないくせにこんな記事を書いてはいけませんね。もう書きません(・・;)

投稿: robita | 2016年2月16日 (火) 22時02分

このコラムを読んでくださるのは、多分中高年の主婦層だと思いますので、恵まれた部類のケースを書きます。

アメリカに海外赴任していた家庭の話です。娘さんは帰国子女として日本の一流大学入学(語学の特別枠だったのかもしれません)。高学歴の親たちは、娘の入学を喜んで期待したけれど、当人は大学の授業についていけない。

大学でも家でもプレッシャー。

大学から足は遠のき、ホストクラブで楽しさを覚え、癖になる。お金がいくらあっても足りない。消費者金融から借金する。

売春してでもお金がほしいと思うようになる。

親が娘の行動を不審に感じ、発覚。

娘を責める。

娘は家を空けるようになる。

親はどうして自分の娘がこうなったのか、思い悩む。
不自由しない生活をしてきたはずなのに、、、と。

途中からお金欲しさになりますが、発端は別のケースです。

人が育つ、人を育てる、って大変で、かつ大切、そして大事なことだと思います。

投稿: 案山子 | 2016年2月17日 (水) 09時45分

★案山子さん

観点が違いますよ。
案山子さんのお話は、良家の子女の転落の物語ですよね。
おそらく、売春なんてものがあるから普通の家庭のお嬢さんまでがこんなことになるのだと仰りたいのでしょうが、お嬢さんが転落したのは売春業界があるからではありません。転落する人はどこにでも転落します。それを阻止するのは周りの支えです。
売春のようなものさえなければこの子はこんなことにはならなかった、というのは違います。
売春はなくなりません。

私はパチンコや覚せい剤などはこの世からなくなってほしいと思っています。中毒性があって、その行為を続ければ人を転落させるからです。
買春はどうですか。人間の自然な営みを満足させるものですよね。
で、それは男性の側だけの都合だ、と言われるでしょうが、女性の方も、自分から進んでその職業を選んでいるのに「身も心も消耗するからやめなさい」という権利はあるでしょうか。
自分の娘がそっちに行きそうになったら、親は誰でも必死にとめます。
他人の行動を阻止することはできないし、女性に不自由している男性のためにそういう女性たちがいてくれる、と私は申し訳ないような気持ちになるのです。

手を合わせるような気持ちを持ちつつ、自分の身内には売春婦にはなってほしくない、という矛盾を解消するには、前述のアンドロイドしかないと思いますが、案山子さんはどうですか。男性の性的慰安のためにどういう方法があるでしょうか。
それともそもそも女性の慰安など必要ないでしょうか。
この問題は深入りすると、いろいろ生々しいことも論議しなければならなくなる恐れがあるので、前コメントで「もう書きません」としたのです。
おそらく案山子さんも私も、男性の性事情についてよくわかっていないと思います。そんな者同士で売春の是非を言い合ってもあまり意味のないことではないでしょうか。

投稿: robita | 2016年2月17日 (水) 11時30分

ごめんなさい。私は意図的に生活困窮家庭以外の話にしました。多分ブログを読んでいらっしゃる方々には、生活困窮した人たちの社会、発想は遠い話に思えると思って。
私は困っている男性側の相談者ではないので、その仕事で泥沼化した生活を送っている女性を一人でも救いたい立場です。(そんな当事者の方はこのブログを見ておられないと思いますが)必ず脱却する手立てはある、と言いたいです。
それ以上でも以下でもありません。

投稿: 案山子 | 2016年2月17日 (水) 14時23分

★案山子さん

>私は困っている男性側の相談者ではないので<

私も男性側、女性側、どちらの相談者でもありません。
どちらの側というのでなく不滅の商売である売春というものについて考えました。
案山子さんは生活困窮する人たちに関わるお仕事をなさっていたのですね。頭が下がります。
そういう人たちや遊ぶ金欲しさの少女たちが安易にその世界に入らないよう指導するのは当然のことですが、それは売春という商売の成り立ちとは別問題です。
でも生活苦から不本意な世界に足を踏み入れる女性たちを見てきた人としては、今回のような文章を読んで黙っていられなかったのはよくわかります。
深刻な問題を軽いタッチで描く手法はよくあるものですが、私のような素人がそういうことをしてはいけないのでしょう。どなたが読んでいるかわかりませんから。
以後気をつけますm(_ _)m

投稿: robita | 2016年2月17日 (水) 23時00分

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