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2016年3月16日 (水)

若者はフロンティアをめざす

ムウェテ・ムルアカ著「中国が喰いモノにするアフリカを日本が救う」講談社+α新書 ¥840  )

元自民党衆議院議員鈴木宗男氏の秘書だったコンゴ出身のムルアカ氏が、「傍若無人な中国に席巻されつつあるアフリカにどうか目を向けてください」と熱心に訴えます。

アフリカは資源が豊富で日本には優れた技術がある。この二者が手を組むことで、日本の経済発展のみならず、アフリカの人材も育成され、雇用を生み出してまさにWinWinの関係を築くことができる、というものです。
それに、アフリカ諸国との絆が深まれば、国際社会でのロビイストとしてきっとアフリカは日本の味方になるでしょう、と。
これはとても魅力的な話ですね。

しかし日本政府も日本企業も、アフリカへの進出にはあまり積極的ではありません。もちろんビジネスのつながりはありますが、中国にはかなり遅れをとっている。

いくらビジネスチャンスがあると言われても、治安の悪さや恐ろしいウィルスの脅威などを考えれば、当然かも知れません。

ムルアカさんは「先入観にとらわれないで。アフリカだって日本と変わらない都会もあれば、安全な地域もあるのです」と説明しますが、やっぱり、資源開発やインフラ整備の仕事となると、危険な地域に足を踏み入れなければならないこともあると思います。

最後のフロンティア、宝の山、ビッグビジネス、と聞けばビジネスマンとしては胸が躍るのではないかと思いますが、リスクを考えるとちょっと腰が引けてしまうところもあるでしょう。

ところが、中国人は勇敢というのか怖いもの知らずというのか図々しいというのか、アフリカにどんどん進出して宝の山をすべて我が物にしようという勢いであるらしい。

金が儲けられるならウィルスでも矢でも鉄砲でもドーンとこい、ということなのか。自国にいてもどっちみち食えないから、一か八か挑戦してやろうという人が多いのか。いずれにしても中国人は用心深い日本人に比べて勇猛果敢なのですね。

しかし、とムルアカ氏は嘆きます:

「中国人は不公平な取引をして平気で人を騙す。ジャングルの自然環境の保護なんてお構いなしにムリな開発を推し進める。援助と称し、多少の雨で冠水して日常的に交通渋滞や事故を引き起こす道路を建設する。危険性の高い食料品や粗悪な商品を大量に生産する。組織的な犯罪組織をつくる・・・。」


日本の投資を待っているアフリカの期待には応えたいし、アフリカへの投資は日本の国富を増大させるチャンスでもある。そうなれば日本が必要とする新しいエネルギー資源開発のための費用も賄えます。

豊富な資源と新しい市場。まさに今、日本が勢いを盛り返す最後のチャンスなのです、とムルアカさんは力説します。

ムルアカさんは「私が来日した頃には国益や大義のためならリスクを冒すことを恐れないサムライのような政治家や民間ビジネスマンがいました」と言います。

現在アフリカで活躍している日本人は、企業の社員やJAICAの職員、ボランティアなど決して少なくないと思います。
しかし日本国籍を取得し日本人として日本とアフリカを行き来するムルアカさんにしてみれば、中国の勢いを目の当たりにするにつけ、日本はもっともっと積極的になれないのか、このままでは日本が入る余地がなくなってしまう、と焦る気持ちが沸き上がってしまうのでしょう。

「希望の大陸」アフリカは数々の難問を抱えている以上リスクもあるとは思いますが、今がラストチャンスであるならば、それをみすみす逃すのは残念に思います。

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ASANTE SANA(スワヒリ語で「ありがとうございます」)
                 
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 過去記事: 「新天地はもうないのか」 

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