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2016年6月24日 (金)

合成の誤謬、とも言えるかな

「全体」と「個人」の利益を両立させるのは難しい、といいます。
 
しかし、この両者は相対する概念ではないはずです。
 
例えば、英国で行われているEU残留か離脱かの国民投票は、そんなことを国民一人一人に選ばせるなんてなんだかおかしなことをやってるな、と思ってしまいます。
 
離脱派の主張は、ヨーロッパ連合の中にいるとイギリスの主権が奪われるとか、移民がどんどん入ってきてイギリス人の仕事が奪われるとかいうことだそうです。
 
でも、イギリスが離脱すると、EUが崩壊する可能性があり、世界は大不況に陥るらしい。
世界的大不況になれば当然イギリス自身だって大きなダメージを受けるんじゃないだろうか。スコットランド独立問題だって再燃するかもしれない。
 
離脱して今より良くなりたい、ということだったのに、よけい悪くなるんだったらなぜ離脱を選択するのだろうか。
 
経済的豊かさのためじゃない、イギリスの誇りだ、ということなら別にいいけど、やっぱりお金に不自由すると個人的にすごく辛いんじゃないでしょうか。
 
現在24日お昼、離脱派優位のようですが、どうなりますか。
 
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「個」と「全体」のこういう問題はあらゆる場面で表出します。
 
「公共の福祉」と「個人の自由」の対立ならば始終あちこちで起こっていることで、当事者たちの調整や和解の努力は日常的ですが、国の運命を左右する問題となると、個人の判断に任せるのは非常に難しいところです。

少子化の問題もそうですね。
 
子供を持つか持たないかは個人の自由だけれども、多くの人がそう思って子供を産まなくなると、生産人口は減る一方で、結果的に国は衰退します。
衰退すれば個人も不幸になります。
 
しかし人は国のために子供を産もうとは思わないでしょうから、子供はほしいけど政府の無策のせいで産めない、という言い分になります。
 
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防衛政策も経済政策も、何がベターなのかよくわからないまま、国民は何かを選び、投票しなければなりません。
 
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先進国では民主主義には常に疑念がつきまといます。
民主主義には成熟などということはないのか、それとも成熟するためにすべきことはあるのでしょうか。
 
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しかし、成熟した民主主義による国家統治を想像してみると、何となくですが、安定と引き換えに人間社会ならではのダイナミズムも失われるような気がするんですよねえ。
 
まあ、日本なんかちょうど良いレベルにあるのかなあ、なんて思います。
 
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コメント

スマホに号外の連絡あり。離脱が確実とのこと。世界中のスマホを手にしている人のところに配信されているんだから。
世界経済が激動する一日になるのでしょう。外野は見ているだけ。世の中なんでもあり、ですね。これからどうなっていくのでしょう。マーケットは大荒れでしょうね。

投稿: 案山子 | 2016年6月24日 (金) 13時16分

★案山子さん

スマホには号外が入るんですね。
私もテレビで速報を見ていました。
どうなるのかよくわかりませんけど、世界経済の混乱の先に何があるんでしょうね。
しばらくすると落ち着くのか、それとも資本主義の崩壊・・・なんてことにはならないでしょうが、私も隣近所の人も何事もなかったように暮らしています。
テレビももう別の話題に移っています。
戦時中のような市民生活の不自由がない限り、とりあえず外野として見ているだけですね。

投稿: robita | 2016年6月24日 (金) 13時36分

かつて「国家間は統合よりも分裂を志向するだろう」とコメントして、robitaさんと激論になったことを思い出します。尤も、その一番手がイギリスになるとは思いませんでしたが。

残留による経済的メリットよりも、「自分の庭を移民に荒らされる」危機に対する防衛本能が勝ったと言えるんじゃないでしょうかね。特にロンドンではテロがありましたし。

EU首脳部が移民問題に上手く対処していれば、ここまでこじれることはなかったと思いますが、対処どころか移民を助長する政策を推し進めようとする、それに対する異議申し立ても制度上できない、となれば、行き着く先はこうなりますわな。

投稿: かせっち | 2016年6月25日 (土) 07時20分

★かせっちさん

はい、覚えてますよ。ここですね → 「脱皮」

あれは激論というより、「どのぐらい遠い未来か」の認識の違いということで一応落ち着いたと思ってました。

短いスパンではかせっちさんの仰る通りですが、私は今のような経済共同体の崩壊による混乱の後に世界は一つに収斂されていくのではないか、という遠い未来への予測をしたつもりでした。

「世界はひとつ その2」では、「EUの失敗については、おそらく『理想』が入り口にあったからではないか」と書きましたが、利害関係で一致しない国同士が話し合いで一緒になろうとしても無理があるだろうというのは私にもわかります。

そうはいっても世界の国々が内向きになって国境を高くする傾向は未来永劫ずっと続くものでしょうか。

崩壊と混乱の中で、否応なく壁を取り払わなければ誰も生き延びることができなくなるのではないかという予測を私はしてしまうのですが。

>EU首脳部が移民問題に上手く対処していれば<

対処のしようがないからこんなことになるんじゃないんでしょうか。

投稿: robita | 2016年6月25日 (土) 10時04分

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