取り戻しつつある日本
昭和45年に割腹自殺した作家の三島由紀夫が、その9か月前に受けたインタビューの録音テープが、未公開のままTBSに保管されていたことがわかりました。
2・3日前、TBSラジオでその音声が流されていたのを聴きました。
私は高校生の頃、至近距離で三島由紀夫にじっと見つめられたことがあります。・・・いえ、別に驚くようなことではないのですけどね

家族で伊豆のリゾートホテルに滞在していた時、建物からプールに続く出入り口で、プールから戻ってきた三島と出会いました。私が道を譲られて会釈し通り過ぎる間のことです。
すれ違う人間から目をそらさないのは、武人としての習いなのでしょうか。澄んだ綺麗な目でありました。
件のインタビューではこんなことを言っていました:
「僕がなぜ軍人が好きかというと、理由は単純で、純粋な人というのは軍人の中にいるから。僕は純粋なものが好きなんです。」
長い間「放送禁止」の扱いで未公開のまま倉庫に眠っていたのは、「憲法9条は偽善」「軍人が好き」などという大作家の言葉はTBSにとって甚だ都合が悪かったからでしょうね。
今「こんなものが出てきた」と公開したのはどういういきさつがあってのことでしょう。
.
三島の行動は理解できないけれど、「このまま行ったら日本はなくなって、無機質な経済大国が極東の一角に残るだけだ」と三島が国を憂えた心情は当時の日本人にとって多かれ少なかれ共感できるものであったかもしれない。
しかし46年たった今、日本は当時より美しくなったんじゃないでしょうか。
「このまま行かなかった」んですよ、三島さん。日本は懸命に美しさを取り戻す作業をしている最中なんです。
.
.
//////////////////////////////////
.
| 固定リンク
コメント
あの時代(昭和30年代後半)にリゾートホテルにとは、robitaさんは豊かな家庭でお育ちなのですね。
まったく今の時代の方がよくなっています。彼の中では、あの選択肢が最善だと思ったなでしょう。切腹のニュースの一報を耳にした光景は今も思い出すことができます。
投稿: 案山子 | 2017年1月17日 (火) 18時12分
★案山子さん
>切腹のニュースの一報を耳にした光景は今も思い出すことができます。<
私は三島由紀夫という人にほとんど興味がなかったし、事件の時に自分が何を思ったのか全然覚えていません。
三島の未公開音声が見つかったというニュースに、15歳の頃の邂逅を思い出した次第です。
偶然ですが、昨日の産経新聞に77歳になった漫画家水野英子さんのインタビュー記事が載っていて、「ファイヤー!」という作品を描いた時の心情を語っていました。
「この作品でもっとも描きたかったのは、とことん純粋に生きるということ。純粋を極めれば壊れるしかない。純粋さを通せば、独りにならざるを得ない。」と。
「純粋」を追い求めて敢えて破滅を選ぶ人っているんですね。
投稿: robita | 2017年1月17日 (火) 22時47分
ムムム、、三島の割腹は純粋⁇ よくわかりません。自己顕示欲に押し潰されたイメージがしますが。でも、あの事件よりずっと前に読んだ『金閣寺』が、私には強い読後感が残っています。
私は、妥協しないで生きることのシンドさに向き合っている人の近くで生きてきました。
投稿: 案山子 | 2017年1月18日 (水) 06時59分
★案山子さん
>三島の割腹は純粋⁇ よくわかりません<
私もわかりません。強烈なコンプレックスと自己顕示欲の人、というのはよく言われることです。
ただ本人は「純粋」が好きと言っています。それだけのこと。
人の頭の中はわかりません。私は彼ではないですから。
三島の作品は一冊も読んでいません。というか、昔から文学には疎くて
投稿: robita | 2017年1月18日 (水) 09時50分