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2017年6月12日 (月)

団塊世代の最後の大仕事

前記事より続く>

さて、思いつくままのんびりと生死の哲学を語るのもなかなか楽しいことですが、一方で、現実社会は切羽詰まっています。

この凄まじい少子高齢化という状況は「平時」ではない。
「緊急事態」にどう対処すべきか、ということを考えなければならない時代に私たちは生きています。

近頃、死を語ることの禁忌性が徐々に薄れてきて、「長生きはそんなに良いことか」などと問題提起されることも多くなり、人々が人生の終い方に果敢に向き合うようになってきました。

そうは言っても、老人だって特にやることなくてもなるべく健康で長生きしたいでしょうから、世はまさに健康ブームです。
アスレチック教室に通ったり、健康食品をあれもこれも購入して健康に気を遣います。
お金が廻り経済が活性化するのは、それはそれで結構なことです。やれる人はおおいにやるべし。
健康は何よりです。

問題は回復の見込みもなく寝たきりの状態なんかになった時です。

脚本家の橋田寿賀子さんは、安楽死を法制化してほしい、と発言しました。
いいなあ、あれぐらいの年になるとそういうこと平気で言えるんだもんなあ。
私なんか年寄りとは言ってもまだ69歳。若手のほうだから、そんなこと言ったら「老人は死ねと言うのかっ」って80歳の人から叱られてしまいます。あー、早く80歳になりたい。80歳になって平気ですごいこと言いたい。・・・それまで生きなきゃならんのか。なんてこったぃ。

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「安楽死」という方法には過激な印象を持ってしまいますが、橋田さんは自分が認知症になってしまった時のことを想定して、そういう法律があれば認知能力があるうちに選択することができると言います。

たしかに認知症になって自分が自分でなくなって長生きするなどというのは想像するだけで恐怖です。こんな場合には「安楽死」も選択肢に入れておきたいと思うのはそんなにおかしなことではありません。

しかし、安楽死はともかく、尊厳死さえ躊躇してしまうのが高度に医学の発達した現代社会というものでしょうね。

回復する見込みがなくなった高齢の患者に限り、家族の同意を得て延命措置を施さない、というのは医療現場ではすでに行われているようです。

回復の見込みがなくても機械に繋がれて心臓だけは動いているという状態の時、可哀想だからと言ってそれを人為的に中止すれば、犯罪となってしまいますが。

誰だって自分は機械に繋がれた植物状態にはなりたくないと思っているでしょうに、第三者的な立場になると「人の命を奪う」ことの恐ろしさに身がすくんでしまいます。

死を忌避するあまり、苦しみを長引かせたり尊厳を損なわせながら回復の見込みのない老人の心臓を無理やり動かすことは、善意のようでいて実は誰のためにもなっていないのではないでしょうか。

みんなの少しの勇気で老人も平穏な終末を迎えられるようになるし、次の世代の人たちの生活や未来も救われるでしょう。

社会学者の上野千鶴子先生は「文芸春秋」特集≪安楽死の是非≫でこう述べています。
≪生まれる時も生まれ方も選べないのに、死に時と死に方を選ぶのは人間の傲慢。「生きるに値しない生命」を選別する根拠にもなる。尊厳死と安楽死の間はグレーゾーンで境界がつけられない。本人も周囲も最期の最期まで迷い、悩みぬけばよい。≫

こういう気持ちもすごくよくわかるのですが、人間社会の価値観は時代によって多少は変わるものだと思います。死生観だって、時代により人により、いろいろあるのではないかと思います。

だからこそ、自分で選べる、という制度を整えておくことが必要。

これからは、リビング・ウィル(延命治療を拒否するなどの生前からの意思)を表明しておくということが大事になってくると思います。

リビング・ウィルを残さないまま意識不明になってしまった場合も葛藤はあるでしょうが、決断を迫られることになるでしょう。

昔なら自然に亡くなったであろう状態の老人をどうしてあげるのが最善なのか、みんなで考えていかなければならない問題だと思います。

難しいと言えば難しいけれど、医師を含む周囲の人々がみんなで合理的な判断をして、善意の決断だという自信を持つ必要があるんじゃないでしょうかねえ。

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お医者様の見解です:
             中村ゆきつぐ 「尊厳死 議題へ」 


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過去記事: 「リビング・ウィル」         
        「死亡率100%」        
        「日 本人の死に時」        
        「老人vs非老人」         
        「やっかい者になりたくない

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