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2018年9月21日 (金)

総理大臣の視座

自民党総裁選で安倍首相が3選された。

負けた石破氏は評論家的で総理の器ではないと評されることが多いが、今回、得票が予想以上に伸び、気を良くした反安倍メディアは「安倍氏への不信感の表れ」だとか「石破氏の3年後の総裁選に道筋ができた」とか嬉しそうに報じる。
石破氏の何にそんなに期待しているのかわからないが。


選挙戦の街頭演説で石破氏が女優樹木希林さんの死去を受けて、その出演映画「万引き家族」を引き合いに出し、「万引しないと暮らせない家族がある。どうしたら幸せに暮らせていけるか。その人たちが働ける環境を作っていかないといけない」などと語ったという。

私は見ていないが、この映画の主題は「貧困」「万引き」でなく、「人の絆」ということらしい。

「石破さんはこの映画を見ていないんだろう」とその勘違いぶりがネットなどで指摘されていた。

それより、戦後の混乱期じゃあるまいし、今のこの日本で「万引きしないと暮らせない人がいる」などと平気で口にするその感覚が石破氏の矮小さをよく表している。

石破氏は「正直、公正」をモットーにしていて、演説では、「一人一人の国民に対して誠実な政治家でありたいと思っています」としきりに強調するのだが、誤解を恐れずに言えば、一国の首相がそんなことでは困る。

正直公正でなくて結構。

国全体としての豊かさや安全のためなら、時に強引さや冷徹さも発揮してもらいたい。

それは、一人一人にいちいちバカみたいに情をかけていたら、国全体が機能しなくなることだってあるだろうと思えるからだ。

正直・公正・誠実は当たり前と言えば当たり前で望ましいことではあるけれど、そこに囚われるあまり国の豊かさ・安全を損なうようなことになれば元も子もなくなる。

国内外共に激動の時代だからなのか、今回の総裁選は、「国民の一人一人を見つめて正直・公正にと謳いあげる清く正しい良い人(石破)」は「ウソつきで非情な人(安倍)」に負けた。

まあ、少なくとも自民党議員たちにとってはそれぞれの事情や思惑があることだし、表も裏もすべてわかった上で闘争に見せかけているだけかもしれないなどと思ったりするが。

 

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