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2020年5月 6日 (水)

大河の岸辺

10年ほど前に放映された大人気テレビドラマ「JIN_仁」が3週末にわたってまとめて再放送されました。

大学病院の勤務医が幕末の江戸にタイムスリップし、そこで医師として生きていく話で、10年前、毎週欠かさず見ていました。

設定は荒唐無稽ですが、実際の歴史と絡ませながらの構成はとてもよくできていて、原作の漫画とは違うラストシーンがなんとも切なく、余韻が長く残るドラマでした。

全体の流れの中心にある「医療」を軸に、そのまわりに激動の時代のエピソードが散りばめられます。
恐ろしい疫病ころり(コレラ)と闘う江戸の人たち、絢爛豪華な吉原とその裏側の悲劇、既得権益を手放すまいと足掻く守旧派医師たち、革命的な時代の変わり目に生き方を変えざるを得ない武士たちの懊悩など、今の時代に重ねられることが多いのも共感を得る理由でしょう。

オープニングで、神田川、三田の綱坂、亀戸天神、増上寺、浅草仲見世など、現存する幕末の写真と現代の同じ場所を重ねて見せる映像になぜか胸が震えます。

手が届きそうな近い過去のことなのに、直接触れることができないもどかしさが胸を焦がすのでしょうか。

150年ほど前、だけれども、72歳の私が生まれた時点から遡れば、生きてきた年月と同じくらいの昔に過ぎないと思うと、不思議な気持ちになります。私は江戸時代の最後の年からたったの80年で生まれたのだなあ、と。

前にも書いたことがありますが、亡母の祖母が安政年間生まれで、母がその祖母から「子供の時にお侍同士が剣を構えてじりじりしながら向かい合っているのを家の障子の隙間から見た」と聞いたことがある、と言っていました。

 

近いけれども遠い、つながりながらも徐々に記憶が薄らぎ後世の人の受け止め方が変質していく歴史。
あと7・80年も時が過ぎれば、80年前の世界大戦はどんな物語に再生されているのかなあと思います。

 

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