日本に背骨がなくなったわけ
先日亡くなられた作家の大江健三郎さんの本を私は一冊も読んでおらず、この人については反戦で護憲、という側面しか知りません。
「戦争は絶対にしてはいけない」「戦後平和憲法は絶対に護らなくてはならない」と主張する人でした。
「防衛大学生はぼくらの世代の一つの恥辱だと思っている」
「日本の自衛隊は憲法違反であり、したがって全廃しなければならない」
「自衛隊員のところに嫁に行くな」
こういうことを言っていた人なんですねえ。
頭が良いのに思い込みが激しいあまり論理的思考ができない人は少なくありませんが、大江さんもそうだったと思います。
なぜ「日本さえ憲法9条を持っていれば戦争にはならない」という考えから脱することができないのか、きっと誰も大江さんに議論を挑んだことがなかったのでしょう。
・・・と思っていたら、数日前の「産経抄」に大江さんと友人の外交官のことがこんな風に書かれていました。 https://www.sankei.com/article/20230314-47KE7M4G7JJR3MDUZYGZNUFDJE/?182216
≪58歳の若さで世を去った元エリート外交官の西山健彦さんの葬儀を取材した時だ。大江さんの講演に西山さんが鋭い質問を飛ばして以来、2人は親交を深めてきた。友との語らいに「文学の世界では見いだせなかった堅固な充足感」が満たされたという。大江さんの弔辞には、心の奥底から感動したと告白しておく≫
この「親交を深めた外交官の西山さん」とはどういう方だったのでしょうか。
大江さんに向けた「鋭い質問」とはどんなものだったのでしょうか。
もしこの外交官が国防の基本を大江さんに正しく伝えたのであれば、大江さんはもう少し柔軟になっていただろうし、外交官が伝えてもなおその考え方をかたくなに拒否したのであれば、二人は友人ではいられなかったのではないか、と思います。
西山さんは戦後左翼思想をまとった護憲派外交官だったのでしょうか。ならば「鋭い質問」とは戦争や国防や外交に関係のない事柄だったのでしょうか。
検索しても何も出て来ません。
結局、護憲とはやはり理屈ではなく宗教のようなものなのだろうという思いが残るだけです。
信じる宗教が違っても友達にはなれるでしょうからね。
今朝のTBS「サンデーモーニング」で、大江さんの作品や主張に敬意を持っているらしいニュースキャスターの松原耕二氏が「この国には背骨がなくなってしまった」と言っていました。
日本に背骨がなくなったのは大江さんのようなことを主張する勢力が戦後ずっと幅を利かせていたからだと思いますけどね。
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コメント
オオカミの群れ(世界)の中の羊(日本人)が、柵(防衛力)もなしにどう生きて行けるのでしょうか?だってチャイナは、沖縄はチャイナ領と平然と言ってるんですよ。巨大な軍備を背景に。防衛力がなければ、どうぞどうぞ食べてください、と言っているようなものですよね。このあたり、大江さんに聞いてみたかったですね。もし攻められたら、わたしたちを守るのは平和憲法ではなく自衛隊です。それをおちょくって…彼らの公式は、常人には全く理解できないです。おっしゃる通りもはや宗教です。似非ですが。
投稿: 十七匹橋 | 2023年3月21日 (火) 09時35分
★十七匹橋さん
>大江さんに聞いてみたかったですね
誰も聞かなかったのかなあ。
もう20年ぐらい前ですが何の番組だったかテレビの座談会で、大江さんが「何が何でも戦争はだめだ」と主張するのを、中曽根康弘さんが「そりゃあ、みんなで歌でも歌って仲良く暮らせれば、こんなにいいことはないですよ」と返していたのですが、議論にはなりませんでしたね。
まあ宗教は「信じる者は救われる」で、議論するものではないですからね。
投稿: robita | 2023年3月21日 (火) 10時10分